泣きの技巧

 4月7日。

 ネストが目に付くようになってきた。
 去年のようなカみちょうに良型ばかりが釣れる状況は諦めなければならない時期に入ってしまったということだ。
 このままボーズが続けば「釣りという低レベルな競争からの卒業式」といって、伝説三輪氏のようにいじけて釣り場に行かなくなってしまうのか。
 新川で鍛えた僭称釣りウマのプライドをズタズタにしてしまった多摩川である。
 落第を“卒業”に置き換えるだけの機転が働かない朕は今年も留年確定である。己を上手く飾れる三輪氏のような巧みな弁舌を持たぬ朕は、今日も愚直に多摩川に向かう。

 降臨跡一帯は一瞥するに止め、韓流ポイントへ向かった。
 ほどなくして李立が現れ、何故今年は降臨跡が冴えないのかについて論じ合っているうちに、李立が呆気なく連釣を決めていた。
 全て表層寄りでの釣果である。
 同じく表層を巻く朕といえば、マニック、ワンダーではチェイスに止まり、ストレートワームを巻けば反応すら無いという有様。
 波気は弱く、光量も多いのでボトムもいけるだろう、ということでスピードワームでボトムを引いたところバイトが出る、がバラしてしまう。
 「何やってるん!」
 容赦なく李立がマー語で叱咤。
 そんなひと時も虚しく、群れが去ったのか、その後一切の反応が無くなってしまった。

 ナマズさんと蔡沢さいたくがやって来る。
 既に、ナマズさんは二匹、蔡沢は一匹のキャッチに成功したとのこと。
 釣れていない朕は当然「オレはおめえらと違ってガチじゃねえからよお」と、レジェンド式涙目である。 
 夕刻に入り、再び魚が入って来る。
 李立がペケニシモをキャッチ。
 次いで蔡沢が二度バイトを得るも、二度ともバラし…。
 「今日は新しく買ったダウンショット用フックが釣れるかの“実験”だったんだけど…」
 何と、伝説式保険を掛けていたのだった。
 伝説式には伝説式で応えなければなるまい。
 「アタったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」
 と、朕はアナザー式でキレてやった。

 遊説の士、蔡沢の話ではこのエリアのバスは難しく、更に上流のエリアではほとんどの釣り人が釣れているほどに易しいとか。しかし、向こうまで行ってみようという気力も無く、マルタはどうかと尋ねればマルタの動きは掴めていないという。

 さて困った。
 この釣れなさ加減、まるで伝説三輪氏並みではないか。かくして朕は「釣れなくても関係ありましぇ~ん」と、泣いた心を誤魔化し、レジェンド式で気丈を装った。

 ※マー語

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鉱脈無限

 4月6日。

 ハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなる的事情に加えて、すっかりオクタン価の下がった血液のため二度の釣行機会を逸してしまった朕であったが、サマナたちは修行を怠らず、ワークの結果を顕していた。
 江南の蕃地の住人となった史進より、琵琶湖での釣果と彼の地の風俗が伝えられる。
 また、“勝ち組”になった修羅が飽きてしまったという多摩川では李立がラージマウスを混じえての20匹越えを達成していた。
 功のあった彼らに対し、思いつく限りの伝説三輪式僻みの罵倒で祝福したことはいうまでもない。

 そして迎えたこの日。
 長潮と重なってしまったが、気温、水温の上昇というプラス要素の方が勝るだろう、と、多摩川へワークの実践に向かった。
 登戸エリアでは、ベッドが見られるようになっているという話も聞く。そこまで進行してしまったのなら、強気の攻めでナイスサイズばかり容易に炸裂する機会は諦めなければならない。
 ひとつの問題を解決したと思っても、すぐに次の問題が生じ、未解決のまま次へ進まなければならないことも多い。
 これまでに正解はやり尽くしてきた、というレジェンドⅡのように、釣りという低レベルな競争から卒業できる日は来るのだろうか。

 南風が強いので降臨跡が良い、というのは去年までの話。今年はどうにも魚の入りが悪いという印象。ぽつぽつ釣れているという話は聞くが、スポーニング前の当たりエリアではなかった。
 とはいえ、川がいつも同じ状況であるはずはないので「やってみなきゃわかんねえじゃねえかよお!」と、伝説三輪式に一キレし、降臨跡から始めてみることにした。
 岸沿いはコイが猛威を振るっていて、バスを寄せ付けそうもないように見える。
 表層系のベートでオープンウォーターを流し、覚えのあるスポットにフィネスワームを通してみたが反応は得られず。あるいは、用いるベイトが誤っていたのかもしれないが、この段階で詰めるようなことをしてもしょうがないという気がする。
 何故釣れないのか、原因を突き止めることはできないが、とにかく今はここではない。
 移動である。

 韓流ポイント。
 一帯の上流側は、岸沿いこそ複雑なつくりになっているが、これは人造のものであり、流れは通るが地勢としては平坦。固執するだけの魅力に乏しい。
 結局、下流側のほうが構成的に相応しいものを備えているように思える。
 と、下流側に向かってみれば童威とナマズさんが居た。
 童威は朝から来ていて、現段階で三匹のキャッチに成功しているとのこと。
 勿論「そこまでして釣りてえか?」と、レジェンド式で僻むことは忘れない。
 「オレだってちゃんとやってるよ!」と、伝説三輪ギレで応える童威。祭祀を絶やすまいとする気概は立派だが、用法を誤っている。

 ここでもコイの勢いは盛んだったが、降臨跡ほどではない。
 しばらく何の反応も得られず、自分が釣るべき魚を探すことにも飽きてきた朕は、産卵床のバスを相手に無聊をしのぐことにした。
 かといって、この時期ありがちな、ネストの魚を釣りまくってボロボロにしてしまうのは忍びないので
 このように針を落として対応。
 正解をやり尽くしてきたベテラン以上にバスを釣っているナマズさんだが、その習性についてはあまり知らない。ナマズさんに解説しながらネストのバスの排除行動を見せ、釣り上げることなく楽しんだ。
 何箇所かのネストの魚の反応を見て時間を過ごした後、コイの群れに紛れたナマズを見ることができた。が、ナマズは手出しする間も無くコイと共にどこかへ消えてしまった。

 依然、南風は強い。
 やはりこんな時は上流側のシャローフラットが気になる。
 岸寄りは水が澱んでいるが、足労を厭わず中洲側まで行けば本流筋に隣接したシャローフラットを打てる。流芯に近い場所なら、水温の上昇に伴い、積極的にベートを求め回遊してくるナマズに遭遇できるかもしれない。
 現に侯嬴こうえいは今年、バスだけでなくナマズもキャッチしているのだ。
 ということで降臨跡から更に上流のポイントへ移動。

 移動したところ、早々にボイルが見られた。
 ボイルは本流筋からスタートしている。
 しかし、追っているバス少ないのか、発生に気付いてキャストする頃には手後れとなり、マニックを引いていた時に偶然ボイル発生と重なったタイミングに浅いバイトを一度得ただけに止まった。
 日没に入り、波気による視界不良を考慮し、水中を引けるBスイムトリガーにチェンジ。
 さほど待つことなく、小型のナマズ、スモールマウスのストライクを得ることはできたがいずれもバレてしまう。
 キャッチは出来なかったものの、ポイントはここで良いようだ、と集中力が保たれる。

 侯嬴が現れる。
 侯嬴は紳士的な人物なので「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と、伝説三輪氏のようにキレたりはしない。そこで安心した朕は、これまでに起こったことを偽ることなく侯嬴に語った。
 「アタったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」
 と侯嬴。
 そういえば、伝説三輪氏は知らずとも、伝説アナザー氏とはゆかりのある人物だった…。一つの伝説ばかりに気を取られ、もう一つの伝説のことはすっかり忘れていた。

 やがて朕はスピニングリールならではの悪質なバックラッシュに悩まされ、風に体温を奪われてきたことにより集中力を失う。
 侯嬴はルアーを追うナマズは見たもののバイトにまでは至らせていないという。
 まだ粘るという侯嬴に対し、朕は「見たとか追ってきたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」と、アナザー式でブチキレ、別れの挨拶とし、先に撤退することにした。


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釣りという低レベルな競争に敗れる

 3月30日。

 この日、開封府に戻る。
 朕不在の間、登戸では民がそこそこに釣れていたと聞く。
 無釣果が続いている上、シャローに根魚の居ない会寧府で過ごさなければならなかった朕は、鍍金が完全に剥がれてしまった時のレジェンドⅡのように「殺してやる…殺してやる…」と呟いていた。

 帰宅し、そそくさと降臨跡を目指した。
 現地には蔡沢、童威、ナマズさんが居り「おめえらばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と、伝説式で挨拶。
 蔡沢も童威も、釣れないこともない程度に釣れているという。
 童威が早々に目の前でペケニシモを釣って見せ、こちら側からは届かない下流側のポイントに居た釣り人はナイスサイズばかりを調子よく釣っている。
 釣れる場所、釣れない場所の差は歴然であり、ブラックがだめならマルタやその他の魚種に逃げたいところだが、こちらは一層望みが薄い。

 李立、公孫戍こうそんじゅ夏侯章かこうしょうがやってくる。
 「なんだ、釣れてねえのか。だらしがねえなあ」「オレだってちゃんとやってるよ!」
 滞りなく祭祀を行う。
 コイ、マルタ、小魚の群れ、ナマズ、ラージマウスの姿まで目にし、水中が春の陽気を反映していた。
 しかし、実釣のほうは振るわなかった。
 そんな中でも李立は4匹のキャッチに成功したという。話を聞くに、魚は居るが釣れないだけ、という朕の最も苦手な状況にあるようだ。
 時間はまだ十分にあるので一同「もしかしたら釣れるかもしれねえじゃねえかよお!」と、伝説三輪式で泣きキレながらキャストを続けるしかない。

 やがて、誰も何も得られないまま、今日はもう終わりかという雰囲気に来ていた時、夏侯章がファイトしているのが見えた。バスではなさそうだが大魚である。
 隣の釣り人を巻き込んでの大騒ぎ。
 ナマ師の朕を差し置いて70オーバーのナマズか?と、寄せてみれば70以上は間違いなくあるライギョ。
 白線香に食ってきたとのこと。
 隣の釣り人がネットを差し出し、朕が取り込みを手伝おうと柵を跨ごうとした時、痛恨のバラシ。
 「オレだってちゃんとやってるよ!」と三輪ギレする夏侯章に対し、皆「アタったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」と、アナザーギレで応じた。

 温かくなって魚は釣りやすくなっているはずなのに、かえって釣れなくなっていることに頭を抱える朕であった。
 

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旋風無窮

 3月25日。

 晴れた土曜日。
 南風ではあるが、風は冷たい。
 威勢のよさは天下第一でも、その実はからっきしである修羅には厳しい天候か。しかし、大言壮語を吐いておきながら容易くケツをまくれる太さもまた修羅なればこそかもしれない。
 伝説三輪氏の降臨は望めない感じだが、もう一つの伝説はといえば…。
 レジェンドⅠよりは釣れていたものの、レジェンドⅡほどにも釣れないうえ、ハードベイトで釣ることにひとかたならぬこだわりを持っていたとも聞くので、ワームでの釣りがストロングだという現実を見せつけられてきた過去がある以上、やはり厳しいか。
 レジェンドウォッチは諦めなければならなそうな雲行きだが、ルアーフィッシングは楽しめるだろう、ということで多摩川に向かった。

 現地入り。
 土曜日にしては人出が少ない。やはり冷え込みが効いたか。
 先日、ブラックを見た場所に相変わらずブラックがいたのでちょっかいを出してみる。
 人目につきやすいカバー周りに定位しているためか、危険信号は幾通りもプログラムされてしまったのだろう。ルアーが通れば消えていく。
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」
 お約束の挨拶と共に現れたのは公孫戍こうそんじゅ
 上流側に居る侯嬴こうえいと、釣りしないでおしゃべりばかりしていたとのこと。
 のんびりとそんなことが出来るのは、アナザーレジェンドが来ないと安心しきっているためである。
 どうにもならないと思いながらも、バスを威嚇行動に走らせるあの手この手を試していたところ、朕は気付かなかったが、離れて様子を見ていた公孫戍によればポッパーのポップ音にのみ反応していたとのこと。
 しかし、この先に進めることは出来ず、侯嬴に油を売りに行くことにした。

 降臨跡を歩いていると二人組の釣り人のうち一人が朕に近付いてくる。
 「覚えてますか?」と、その釣り人はいう。
 確かに見覚えのある顔だ…おお!
 数年ぶりとなる関勝だった。
 伝説三輪氏が君臨していた時代を知る人物にして、かつてはレジェンドⅡ以上にヘボかった施恩を一人前のルアーマンに育てたリアル釣りウマの人である。
 再会を喜びつつ、昨今の登戸エリアの様子を説明する。

 やがて下野さんと夏侯章もやってくる。
 気付けば、朕は生アナザー氏を知る人物に囲まれるという恰好になっていた。
 侯嬴は今日、魚種は不明だがミノーにバイトがあったという。
 「アタったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」と朕が言ったところ、アナザー氏の本名を被せる侯嬴。
 これを聞いて下野さんが凍りついていた。
 「それ、最強の呪いの言葉だよ…多分今日は釣れねえな」
 「え、アナザー氏ってそんなに凄かったの?」
 安易なウケ狙いの発言を懺悔する侯嬴だった。

 長らく反応を得られず、朕はそのうち釣りにも飽きて、他の釣り人の様子を見ていると夏侯章がファイとしているのが見えた。
 ところが、キャメラを構え駆け寄っていたところバラすところが見えた。
 「何があったんですか?」
 「バレちゃった…」
 期待通りの回答だ。
 「アタったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」
 結果は出ずとも、この時間を楽しめている。
 しかし、釣れないからといって「オレはおめえらと違ってガチじゃねえかよお」と、自分を偽ることができない我々はどうしても釣りたく、いつまで経ってもよくならないウィンディサイドを捨て、風向きに関係なく実績の高い韓流ポイントに移動することにした。
 この時、李立が現れる。降臨跡に向かう途中だったが、これまでのあらましを話したところ、それならば自分も、ということで韓流ポイントへ同行することとなった。
 韓流ポイントに入ろうとしたところ、関勝と友人の郝思文かくしぶんが出てくるところだった。
 我々が何故このポイントに入ろうとしたのか理由を話したところ、ポイント選びは間違ってなかったのか、ということで韓流ポイントに戻る。

 朕は表層に反応してくれる協力的な魚を求め細かい移動を繰り返していたが反応は得られず。その間に郝思文が一匹釣ったとのこと。
 その後も朕は表層を打ち続けたが一切の反応も得られないまま終了の時間が来てしまった。
 解散前に全員集合してみれば、下野さんが40あるかないかのスモールマウスをジグヘッドリグのスイミングで釣ったというので写真を見せていただく。
 昭和の荒技、写真の又撮りだ。
 呪いの力に打ち克ち、釣果を得たのは見事と言わねばならないが、証拠写真を見てしまったので「みんな下野さんは上手い上手いって言うけどよお、あの人本当に上手えかあ?」と、終わりを伝説式僻みで締められなかったのが甚だ残念であった。

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それぞれの冒険心

 3月23日。

 「おめえには冒険心が無え」
 同じエリアに長く通い、思いつきのポイント移動をしない朕は、伝説三輪氏よりたびたび非難されてきた。
 時勢を知り、理に適った魚を釣ろうとしてのことだが「おめえら大層な御託並べてるけどよお、釣れてねえじゃねえか」とも罵られていた。
 そんなレジェンドⅡだが、現れなくなって久しい。
 白痴なおじさんの戯言、と気にすることもないのだろうが、今年の正月に降臨して来られていた。伝説の威光を畏れる朕は、万が一降臨があった際、礼を失わぬよう冒険心を発揮し、和泉多摩川一帯の様子を見に行くことにした。

 ポイントに入ってみればフィーディングを行う30センチ前後のブラックが居た。しかし、見えた魚はその一尾のみ。
 北風や強い流れからプロテクトされるワンドはあるが、岸からは届かない。冬の場所からこちらに至るまでの道筋の要素がプア。
 こちら側が釣れているとの話も聞くが、大きな括りからこぼれたものを拾う細い釣りをするようなエリアに思われたので長続きせず。

 登戸降臨跡に移動。
 セニョールが居たので様子を聞いてみたところ、今日はこのルアーの実験だ、と伝説式保険を掛けていた。
 このベイト、放置してもゆらゆらと誘いをかける、ナマズにも実績の高いルアーであるとのこと。しかし、この実験もまた、三輪氏のような魚を釣るための要諦を知らぬが故の外に対する誤魔化し、というピュアさが無い。
 張良も来ていて、ちょうど帰ろうとしているところだった。
 曰く、どうにも状況を理解できず頭を抱えてしまったとのこと。
 この「見えてくるものが無いのう」は、伝説三輪氏のそれとは重みが違う。
 かと思えば、アンダーショットリグでンボなスモールマウスを釣ってる者も居た。
 ここは違うと思えば魚を見たり、ここかと思って探りを入れてみれば違ったり、と迷いが生まれるばかりである。

 童威とやはぎがやって来る。
 童威に“弟が釣りを再開するまで”という伝説三輪な条件付きでタトゥラを渡す。
 やはぎはジョイントのソフトプラスチックというまた手の込んだ自作ベイトを持ってきていた。先日見せてもらった蝉ルアーの飛びの悪さの理由も判明。羽根は樹脂で固定されているため空気抵抗がダイレクトであった。朕は、空気抵抗を減らすための具体策を提供。工芸の才はあっても、実釣に関するノウハウはまだまだのようだ。
 
 南風が弱まったのを境に、朕と童威は韓流ポイントへ移動。
 水路を隔てて驚くべき人物を発見。
 何と、伝説界の高祖にして、レジェンドⅠとも称される伝説王倫氏ではないか!?
 十数年の時を経て、よもや多摩川に降臨なされようとは!!
 ところがこれは大いなる勘違い、目の迷い、他人の空似というものでしかなかった。
 何故なら、バスを釣っていたからである。
 王倫氏は、朕の最初のルアーフィッシングの師匠であるが、その釣れなさ加減はこれまで見知った釣り人の中では第一であり、そのヘボっぷりにかけては誰もが認める三輪氏をも寄せ付けぬほどの凄まじさであったからだ。
 魚の釣り方を知っている以上、王倫氏であるわけがない。
 もう降りてこられるような状態にないとは承知していたが、人は徒に“もしかしたら”を期待してしまうものだ。

 李立、蔡沢がやってくる。
 蔡沢はマルタを狙いに下流域に居たとのことで、様子を聞いてみたところマルタの数自体は増えてきているとのこと。
 今日は早上がりしなければならない事情があるので、やむなく撤退するという。
 蔡沢を見送ったのち、ワンダー45にチェイスが見られる一角があったので、ここであれこれの表層系ベートを試す朕だったが、結局釣果を得たのは2インチ・センコーでボトムを取っていた李立だった。
 いわゆる“嘘つきのバス”といわれるものだが「周りが釣れてない時に釣るのは気持ちがいいのう」と、伝説三輪氏の言葉を捧げていた。

 朕は光量が落ちてきたのを機に、朕は冒険心を発揮し堰下エリアに移動し、マルタ及びマルタの瀬付きに伴って現れる肉食コイ科やナマズを求めてみることにした。
 蔡沢のいう通り、マフィアの妨害を乗り越え上がってきたマルタは目に見えて増えている。
 しかし、残念ながら日没後も瀬入りは起こらず、周辺にリップレスクランクを通してみるもバイトは無く、まだ条件が満ちていないと知るのみであった。

 韓流ポイントに戻る。
 マルタの様子を話したところ、李立が諭すようにいう。
 「待っていれば、嫌でも爆釣の時が来る魚です。何故わざわざそんな魚を追うのですか。求めるのですか。まことにあなたたちに言います。今我々が追うべきはこの時期に追うべきなのに捉えられないブラックであり、我々は“根っからのバサー”であったはずではりませんか」
 ジーザス・クライストのような説得力の前に、朕は逸っていた己を羞じるのだった。

 やはぎと童威は、先に朕がここは無理、という判断を下した狛江側に行くという。
 「行きませんか?」
 とのことだったが、朕と李立は応じなかった。
 確かに実績の話は聞くが、岸から打てる範囲に強く寄せる条件が見出せず、そういう場所では集中力が保てない、という訳である。

 その後、朕も李立も一切の反応を引き出せず、伝説三輪式で罵り合っての解散となったが、しばらく経って、童威より狛江側で一匹キャッチできたとの報が入る。
 伝説三輪氏の名言、冒険心が功を奏し、ポイントに入って一投目のイモのフォールで食ってきたという。
 やはり、狛江側には朕の釣るべき魚は居なかったようである。

 ※マーのようによく肥え、丈もある様

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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