小池さん三宝聖

 2月25日。

 幾度かの芒碭山ぼうとうざん巡幸。
 冴えないフィールド状況ながら、とりあえずノーフィッシュを避けられてきたのは、知識と経験、目の確かさの表れである。
 今回狙うは青物カンパチ、と大きく出たが、伊豆というフィールドがどのように動いてきたのかということは大雑把にさえ知らない。ただ青物を釣りたいという思いだけ。
 一応、先日伊豆でアンバージャック、という噂を楽和から聞かされていたが、決して強い情報ではなかった。
 今回は外すのも承知での親征。
 よって、オールスター/スヌークとAVS66MFの二本を用意。ショアジギと、漁港、小場所のライトジギングに対応できるようにした。
 もしかしたら、ライトゲームがメインになるかもしれないと覚悟してマニラ食堂へ向かう。

 朝の通勤ラッシュの時間帯。
 懸命に、誰が定めたか、何のためになるのかもわからぬシステムに従ったところで、恵みを得られるものはごく一部。
 明らかに不自然なこともスルーできる、生き物として正常な感覚の欠如した嘘つきしか幸せになれない、悪しき魔法使いどもの世界が今朝も繰り広げられている。
 しかし、ビッチは悪人や嘘つきを好むものだから、彼らは進んで悪事に加担しているのだろう。
 自然を軽んじる連中だが、その行動原理は生殖という本能に根ざしているところがまた腹立たしい。
 電車という乗り物は、まったくもって朕を※1気分にさせるロクでもない乗り物だ。
 ここは※2ケット中尉の南米潜入になぞらえた気分でしのぐ※3しゃない。

 マニラ食堂到着。
 楽和はすでに待機していた。
 これから小田原から伊東までの長い道のり。
 道中、※4ュを買ったり、心地よいエモコアサウンドを聴いたり、村上晴彦のDVDを見たりしながら遠州入り。

 小田原も東京に比べれば温暖だが、熱海まで来ると更に暖かさが増す。
 伊豆方面の土地柄は好きではないが、気候だけは好きだ。
 田舎にしては交通量も多く、好天のためか、この国最大の暴力組織も涌いてきていて、市民に因縁をつけては銭を巻き上げようと、スピード取締りをやっていた。
 まったく浮世の巷は不快に満ちている。
 そんな中、バーンストーム・トゥルップスのライダーを見れたのは、灼熱の中に一陣の涼風が吹きぬけるような爽やかさだった。

 道中、多摩川に現れる珍獣の話をしていたところ、楽和が沼津に現れる珍獣の話を披露。
 その名も“アルゼンチンキッド”
 響きからして強烈である。
 猛烈な乞食小僧らしく、ワンセット千いくらのタックルを持ち歩き、さっきバラしたとか、この前釣れたとかいう信憑性に欠く虚言を吐いては付近のルアーマン一人一人に話しかけ、ルアーをたかる、色黒で痩せた珍獣だそうだ。
 朕は夏に沼津に行く予定だ。ぜひ一度鑑賞してみたいものだと思った。

 伊東到着。
 伊東まで来てラーメンというのも味気ない気もするが、適正価格で地魚料理を提供する良心的な店を知らぬ我々の、仕方のない選択というものだ。

 いよいよ実釣開始。

 港内では海豚が飼われていて、よく跳ねていた。
 鯨肉料理でも食わせてくれる店があるのかと期待したが、お触りがウリのダイビングスクールがあるだけだった。
 「くうだらない」と、のび太語が漏れる。

 タックルを組み、港内、外海の様子を見て歩く。
 外海には潮の動きがはっきり見え、小さなベイトフィッシュのスクールが岸に寄る。
 ベイトの通り道、潮の動きが明確なところ、風の当たりを気にしながらキャストしてみるが、伊東港周辺にクールな魚食魚の気配は無く、我々はよりダイナミックな変化を求め、どんどん歩いていく。
 キャストしている時間より、好条件を求め、眺め、歩いている時間のほうが圧倒的に多かったが、こういうスタイルこそ北浦バンクフィッシングで基礎を養った朕のフィッシングスタイルの真骨頂。ラージマウスバスの釣りで養ったことは、他の魚食魚でも応用が利く。
 結局、魚の気配は無かったが、バンクフィッシャーマンとしてやるべきことはやっているという充実感はあった。
 しかし、我々は魚を釣りに来ているのだ。釣らなければ、すべての行為が無駄になる。
 というわけで、可能性を求めて次のポイントへ移動。

 城ヶ崎。

 ここに青物の回遊が無ければ、沿岸での釣果は諦めるべきだろう。
 いかに粘ろうと、手を尽くそうと、魚が来なければどうにもならない。
 朕は一帯を見て歩き、一通りキャストはしてみたが、まだ状況はショアジギの時ではないと判断されたので、楽和や李立のいるショアラインに戻る。

 数は少なそうだが、サラシの中にヒラスズキでもいたのか、楽和がらしきストライクをバラしてしまったとのこと。
 とはいえ、致命的にイーターの気配が希薄。
 ただショアから青物を釣ってみたいというだけで、まったく知らないフィールドへ来たのだから、釣れないのも当然といえば当然。
 しかし、実際フィールドに立ち、ベストを求めて進んでいくという作業は、ゲームをしているという気分にさせてくれる。

 既に夕刻も近い。
 わざわざ時間と金をかけてここまで来たのだ。ノーフィッシュのまま帰るのはあんまりというものだ。
 幸い朕は様々なフィッシュイーターの釣り方を知っていて、そのエリアにフィッシュイーターがいるなら、たいては釣ることができる。
 特に海の魚は、淡水の魚より大味なアプローチでも成功を得られる確率が高い。
 潮がだめならどうにもならないが、潮が変わる日を選んできた。どうにかなるだろう。ということで伊東港に戻り、ライトゲームをやることにする。

 結果、この切り替えが吉と出た。
 魚が濃いわけではなかったが、まず朕が巨根をキャッチ。

 己の釣果をまんま見せたいところではあるが、倫理的見地から一部画像を加工させていただいた。

 経験値は少なくとも、ニュータイプ能力とこれまで学んできた知識を活かし、李立はメバルをキャッチ。

 リリースサイズではあったが、名主の猫がショバ代を求めてきたので仕方なく上納。

 楽和も大物を諦め、巨チン狩りに専念。

 そして終了間際、ようやく朕に強い手応え。
 セイゴか匹クラスのメバルかと思ったが、ナイスサイズのガシラ。

 とりあえずの釣果ではあるが、この日唯一のマトモな一匹であった。

 成功には程遠い結果。
 しかし、未知のフィールドでやるべきことはやったし、かろうじてではあるが全員ノーフィッシュという悲惨だけは免れた。
 結果はともかく、充足感はあり、今とこれからについて語らい晩餐…と、またしてもラーメンを食していた。

 ※1、3、4、マー語
 ※2、映画『SNIPER(邦題:山猫は眠らない)』の主人公。トム・ベレンジャーが演じていた
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tag : ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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