釣り初め

 1月1日。

 昨年、地下を脱し、日本円を得られるようになったのは個人的な幸運だが、施恩が有為有能のアングラーに変貌を遂げたことと、武松という筋金入りのアングラーが仲間入りしたということは鉄のナマ師全体にとっての幸運となった。
 昨年はこの道を究めるための再起動の年となった。これからも娑婆には目もくれず、“あの頃”の回生に邁進していく所存。

 かくして迎えた元旦。
 薬物中毒から回復し、バギーの修理も完了したバギーのおっちゃんぢょん、朕と同様悪しき魔法使いどもに陥れられ、道に平和を見出した武松、先日遂にラスティンブックバスフィッシング上級者への道を手にした才気溢れる少年、李立が登戸集合の運びとなった。

 現地には朕が一番乗り。
 フィールドには誰も居ない。独占状態だ。だからといって期待できるようなフィールドではないということはいうまでもない。
 タックルセッティング中、初見のアングラーが現れ、目が合ってしまったのでとりあえず挨拶。
 英語で返答が来る。
 げっ、外人だ。
 通常なら「英語はわがんね。日本語でしゃべれ」と、ガッツ石松するところだが、朕はアングラーには優しい。
 ステイシー90を持っている。ラッキークラフトのワールドワイドぶりを身近で実感。
 見ればロッドはバークレイ、リールはカルカッタ50。悪くないセッティングだ。
 朕の聞き取り能力は怪しいが「何が釣れるんだ?」と聞こえたので、バスとキャットフィッシュだ、とカタコト英語で答えた。
 「このベイトで釣れるか?ラッキークラフトのステイシーというルアーなんだが」
 「ってかそれ日本のルアーだよ」
 「Realy?」
 その後、聞き取り不能だが、聞き覚えのある言語で早口に言うので「Thailand?」と尋ねる。
 「そうだ、タイから来た」というのでまたびっくり。アジア系アメ公だと思っていたが、ネイチブのタイ人だった。
 シマノ、ラッキークラフト、メイドインジャパンのご威光は遠くタイまで行き届いていたのだった。
 タイ人といえば、ムエタイ戦士のような精悍なイメージがあるが、彼はタイ人なのにふくよかだった。朕の脳裏に、かつてトーワ杯に参戦したタイ人ボクサー、アタポンが思い浮かび、内心、アタポンと名付けることにした。
 バスを釣りたいようだが、タイと日本ではあまりにも気候が違いすぎるし、ここでステイシーは無謀だ。
 そこで朕はアングラーとしてアドバイスすることにした。
 「ステイシーは良いベイトだが、ここではノーグッドだ」
 「何故?」
 「ステイシーはストリームに弱い。ストリームの中ではパフォーマンスを発揮できないのだ」
 「そうか…タイではステイシーはビッグフィッシュベイトなんだけどな」
 「ここではこういうベイトが有効なのさ」と、朕はボックスを開けて見せた。
 「Rapala!」と返ってくる。
 ラパラは本当に偉大だ。
 更に突っ込んで説明。
 今はボトムレンジに魚がいるが、ハードベイトではロストのリスクが高く、このフィールドのボトムレンジで効率の良いベイトはこれだよ、とワームの袋を取り出したところ、アタポンはフィネスワームを指し「これはビッグフィッシュによく効くよ」と言った。どうやらバスやスネークヘッドで活躍しているらしい。
 また、アタポンはバスと聞いて、ラージマウスバスだと思っている節があったので、ここで釣れるバスはスモールマウスだということを教えてやった。
 言葉が不自由でもアングラー同士である。意思の疎通は可能だった。

 やがて、バギーのおっちゃんが変態カスタムを施した、バスロッドともメバルロッドともつかぬロッドを持って登場。
 ほどなくして武松も到着。
 カレント、カバーを意識したボトムレンジ攻めをしていたが、風が上から下に吹きつけるようになる。
 このような風向きになったら最下流部が適切なポイントになるだろうから、と移動しようとしていたところ、李立到着。
 これまでの流れとこれからについて話したところ、昨日もこのような状況になり、最下流部が正解ではなかろうかと秦明、李俊、張横といった只人ではない面々と共にみっちり探ったが、まるで気配が無かったという。
 まったく可能性が無いとは言わないが、このエリアが面積に対し魚影の密度がきわめて薄いということを示すものである。
 ならば、自転車の李立と武松にはしんどかろうが、せんずり地蔵前のほうが釣果を見込めそうだ、ということで大幅なエリア変更決定。
 アタポンと別れの挨拶を交わす。
 朕の知ってるタイ語は「マイペンライ」と「テンカオ」ぐらいなので、英語でのさようならとなった。

 せんずり地蔵前。
 この日はプチトーナメントも兼ねていたので、それぞれ何も言わず思い思いのポイントへ。
 朕は陽光が明るいうちは、流れとカバーが重なるポイントのボトムレンジをスプリットショットリグで舐めていく作戦。強い流れの中で、シンカーの軽いスプリットショットリグを思い描くコースに通すのはしんどい作業である。
 前回のように早い段階でバイトを得られれば何の問題も無いが、ノーバイトの時間帯を長く粘るのは非常に辛い。
 やがてハッチが目立つようになってくる。
 光量がどうあれ、ベイトが浮いてきたのだ。風が上から吹いてきているし、集中力を要するメソッドにしびれていたこともあり、迷わずエリア最下流部のシャローを目指す。
 まちまちに釣りをしていた面々だが、このようなわかり易い状況になると、ポイントに全員集合となる。
 フィーディング回遊個体を意識しての爆撃合戦が始まった。
 それぞれの自信のベイトでひたすら線を探っていく中、魚を得たのはCD9をキャストしていた武松だった。

 70越えのンボナマズ。
 新年をナイスワンで飾る。

 スモールマウスを釣ってきたという経歴があるとはいえ、ナマ師としては半年以下のキャリアの者にまくられたことによって、先輩ナマ師たちはくやしがることしきり。
 賞品として、朕が用意したSKジャークと、ぢょんが用意したゾーイなるリアルブルーギルは武松の物となった。

 新年早々勢い盛んなジャンキーども。
 次回はハナクソみたいなジグヘッドの釣りを満喫してやろう、ということで解散となった。

 ※ マーのように肥えていて、丈もある様
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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No title

喪中に付き新年のご挨拶は控えさせていただきますが本年も宜しくお願い致します

2日3日と出ましたが2日は1バイトで痛恨のフッキングミス
3日は40あるなしの魚を掛けましたがランディング寸前でまさかのフックアウト…

という事で新年はノーフィッシュでしたwww

元旦のポカポカ日和で魚は動いていたみたいでしたがまだまだ未熟という事で
今年も更なるレベルアップ目指して精進してまいります。

Re: No title

自分も今年はバスを狙う機会を増やそうと目論んでます。

いずれまたフィールドで!
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dragon

Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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