泡町エレジー

 12月1日。

 先日、急遽決定した霞行き。
 朕はランカーズに注文していたロッドを取りに行くついでに。
 バギーのおっちゃんぢょんは、何としても今年中にラージマウスを得ておきたいとの思いから。
 おっちゃんの好きな新川のみではバスフィッシングの醍醐味には程遠いので、その他のエリアも視野に入れる。
 これに李立と武松も加わり、鉄のナマ師たちがバサーに戻ることとなった次第。

 当日早朝。
 ぢょんが車を手配し、李立、武松合流。
 かりそめの皇居を訪ねてくる。
 朕は帰宅間もなかったが、準備は滞りなく済ませてある。
 陸っぱりならこれ一本というTAS783C・ゼルのトップウォータースペシャルにカルカッタ200を載せ、ルアーはスピナーベート、ジグ、リップレスクランクと、パドル、グラブ、ストレートのワームを3袋ばかり用意した。
 また、根掛りによるロストに備え、久しく出番の無かったチャートリュース系のラトリンプラグと、低水温下での深めを意識したステイシー80を予備で用意した。
 ダグ・ハノンのタックルボックスには及ばないが、朕の装備も絞れている。
 ルアーフィッシングの肝は、ルアー、メソッドをどうこうするということではないからだ。 

 かくして早朝からからペンションの高い気違いどもを乗せた車は一路土浦を目指す。
 もはや、かつてのような、頑張れば必ず結果の出るフィールドではなくなっていて、釣れるかどうかもかなり怪しいが、それでも霞水系のバスフィッシングとなると胸が高鳴る。

 土浦到着。
 まだ暗い。
 水面から湯気が立ち上っている。
 花室川河口でとりあえずのキャスト。
 アオサギが一羽いたが、水は冷たく、ベイトの気配も無い。
 浅い水深でこの気温では魚を寄せる道理も無く、見切りをつけ、しばしの休憩。

 ディージェーアキによって気分にされる不安はあったが、ファミリーマートへ。
 冬の釣りの恒例、カップラーメンを食す。
 「フィールド行ってカップラーメン食うだけでも十分じゃないですか」というやつである。

 シャローレンジの水温のあまりの低さに、ここはいかにプレッシャーがきつかろうと温排水の効いている新川しかないか、ということで新川へ移動。
 朕、李立、武松ともに仕方無しの選択であり、いちばん新川に行きたがっていたぢょんが不眠不休の疲れでダウン。

 新川はバスバブルの頃と変わらない賑わいがあった。
 温排水という、この時期の決定的な好条件がありながら釣れる気がしないのはあの頃と同じだが、どこか嬉しい空気がそこにはあった。

 ワカサギ釣り師はぽつぽつとワカサギを釣っていたが、ハマっているという感じではない。バスが釣れる決定的要因ではなさそうという感覚。
 また、新川を外れると水の状態が明らかに悪い。
 やはりこのエリアでは無理だろうと思っていたが、ぢょんの回復が見込めるまで時間を潰すしかない。
 陽光の温かさを感じられるようになる頃、ようやく実釣準備を始めたぢょんではあったが、我々は探りの釣りを楽しめる桜川への移動を促した。

 桜川。
 今回、朕にとっての本命エリア。
 釣れるかどうかは、ベイト、水温、水質という条件次第だ。
 しかし、回ってみた感じ、水は冷たく、目に見えるベイトも居ない。だからといって諦めてしまうのは早計である。
 流れはあるかないかのごとくだが、ここは川。流芯の温度は安定しているかもしれないし、適度な水深を控えたポイントがあるかもしれない。これにベイトが絡めば、そこはホットスポットになり得る。
 ゲームフィッシングの醍醐味とは、単に釣れる釣れないといったところにあるものではない。
 そして足を使い、積極的な探究を行っていれば素晴らしい発見もある。

 そう、ここは土浦なのだ!
 かつて、ここらに営業に来ることができればクールだと思っていたものだ。
 遊ぼうと思えば遊べるだけの金はこの日持っていたが、この金はすべてランカーズに注ぎ込むべく用意したものであり、使うことはできなかったが、いずれ機会はあるだろう。
 ぢょん曰く、都心で一線を退いた嬢が集まるとのことだったが、駐車場で三十代と思われる嬢を見た限り、美熟女好きの朕には全然OKだと思った。
 色町を背にし、からペンションが高まるも、ボートでやってきた手練れ風の地元バサーとの会話で暗雲。
 ワカサギの群れがキーなのだが、今日はそれを見失っているという。
 成功のためのポイントを押さえている彼らとてまだスタート地点にいるのだ。
 これはもう、カみちょう打ちまくるきしゃねえだんべ、ということになる。

 プラス要素を探し、ひたすら移動。
 水はこの水系の割には澄んでいて、偏光グラスの性能は活かされていたが、同時に危惧が生じる。
 通常、偏光グラスでは地形変化など見て取れなかったはずの水域で偏光グラスが大いに活躍しているということは、富栄養の水の死、すなわちプランクトンの喪失を意味する。
 これではベイトが集まるわけがない。視界の効く範囲に一切のベイトが見られないのはこのためか。さらに水温的なマイナスも加わって、明るい材料を失う。
 水温低下は溶存酸素量を増やすというプラスの面もあるが、マイナスを上回るほどではないことが明白。
 もはや魚釣りの巧拙の問題ではない。このエリアに魚が居ないのだ。
 ランカーズ開店までの間、次々に希望の芽が摘まれていったが、たとえ魚が釣れなくとも“何故”を読み取っていく一連の作業こそがゲームフィッシングの面白味なのだ。
 勿論、結果が伴えば言うこと無しなのだが。

 ランカーズ開店。
 店長はメディアへの露出で、顔は以前から知っていたが初顔合わせである。
 ぢょん経由で朕がの常連客であるということは知られている。
 物色すべき品もあるが、何はともあれプラチナムである。
 6,6フィート、5/8ozまで背負える2ピースのスピニングロッド。
 超軽量リグをキャストするには難儀しそうだが、期待通りのテーパーデザインで、フィネスワーミングから中量級プラグまでこなせる万能スピニングだ。
 意外だったのは、ガイドリングがアルコナイトではなくsicだったことである。オールスターより高いのはこのガイドのせいだろう。それでも国産の使えるロッドより遥かに安い。
 店内にはラパラの新作リップレスクランク、ノンラトルのリッピンラップが5個あったので4個を購入。一個残したのはラパラを知る者に対する“武士の情け”というものだ。

 また、ズームを始めとする皇居周辺店舗ではお目にかかれないアメリカンワームを漁り、円天放出。
 ぢょんはUSAシマノの10フィート近い化け物キャスティングロッドを勧められていたが何故か購入せず。おっちゃんのキャラにマッチするロッドだと思うが…。
 また、店長から新川の近況を聞き、見えてくるものもあった。いかにプレッシャーがかかっていようとバスはバスであり、プレッシャーが緩和される条件が揃った時にのみバスが入ってくるとか、捕食行動に入るという感じだった。

 ランカーズを後にし、駐車場に戻りがてら、ぢょんと李立が備前川にちょっかいを出す。
 良い水が流れ込み、生命感濃厚なスポットを発見したようだが、案の定玉砕。
 一帯は水深が浅過ぎ、かつフラット。低下した気温の影響を受けやすく、ポイントと退避場所を繋ぐ線が存在しないためであろう。

 確実にバスが入ってくるのは新川であることは理解したが、バスがプレッシャーを感じにくくなる日没以降でなければ手の施しようがない。
 しかし、土浦周辺の本湖に望みがあるかといえばそれは無い。盛期を過ぎたここ十年余りの霞ヶ浦に、魚の集まる場所を岸から投擲可能な範囲に求めることの無為さはじゅうぶんに心得ている。
 そこで、日照によって温められたシャローに魚が入ってくる、ある程度閉鎖的な水域で、確信ではなく事故の発生を狙う釣りをしようということになる。

 と、その前に人間のフィーディングタイムである。
 急遽決定した強行軍に、皆一様にグロッキー。こうなることは百も承知で来てしまうのは、求道者ゆえの必然ともいえる。
 朕はネジの巻き直しのつもりで地獄ラーメンなるものを食すが、あまりにも長く続いた禁欲生活のためか、アルコールだけでなく辛さに対する耐性も失われていたようで、文字通り地獄を味わうこととなった。

 再び桜川。
 清明川、花室川も候補に上がったが、気温低下の影響を考えれば、水塊として最も大きい桜川が少ないながらもいちばん可能性があると思われたのだ。偶然を求めつつも、偶然の発生が望めるエリアを選んだという形だ。
 相変らず目に見えるベイトはなかったが、水量、水深、陽の当たるシャローが絡むカバー要素を求め、ひたすらジグ&スピナーベイト。
 見えてくるものがあるまで打つべし、だ。

 しかし、発見できたものといえば魚釣りには使えないバイブだけ。そしてこれは公序良俗に配慮し、画像を一部加工させてもらった。
 もはや状況的に、朕が望む霞水系ランガンシャローゲームは諦めなければならないと悟る。

 夕刻迫る。
 新川は人の気配をごまかせる光量にならなければ勝負にならないので、それまでを土浦港で過ごしてみることにした。
 表層にベイトフィッシュの気配濃厚で“もしや”と思わなくもなかったが、過去、バスの魚影が濃かった頃でもそうであったように、カバー、水深、水量、ベイトという要素はあっても、水が動かないエリアだけに、バスにとってさほど魅力的なエリアではないように感じられるのは相変らずだ。そしてフィッシングプレッシャーも常にかかっているエリアである。
 そんな中、ぢょんが貴重なワンバイトをバラすという失敗を犯す。

 やがて陽も落ち、新川へ。
 上空からの恐怖が打ち消される状況になってようやくバスが動き出すということが明らかになった。
 新川スタイルとは、何か特殊なものに感じられていたが、それは釣果、メソッドがバスフィッシングの本質を離れ、針小棒大に語られていただけに過ぎなかったものだった。
 光量が無くなれば、バスは目線より上にあるシルエットを頼りに捕食を行う。そして、地上から水中を窺う天敵の姿は見えなくなりプレッシャーは緩和される。
 それを証明するかのように、スイムベイトの表層攻めで40アップのバスをキャッチしていた者がいた。
 そして武松はピックアップ中のスレッジへのバイトをバラし、李立はF13で三度のバラし。
 かなり上で食ってくるんだな、と思ってみたところで朕には表層をスローに引いて来れるルアーが無い。ダウンショット、ステイシー80で通さざるを得ないが、ボトムレンジのみの攻めでは当然ノーバイトである。
 そして、鉄のナマ師軍団の中で唯一釣果を得たのは、やはりニュータイプの李立だった。

 バスではなくヘラであったが…。

 かくして鉄のナマ師たちの求道の旅は終わった。
 釣果こそ惨々たるものであったが、懲りずに次の合同遠征について語らう帰路であった。

 ※マー語
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ジャンル : 就職・お仕事

tag : バスフィッシング ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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