天傷の功

 11月2日。

 週末に確実に釣りの時間を持てるのは良いことだ。
 ナマ師たちも現われなくなった今、フィッシングプレッシャーを案ずることも無くなっている。
 光量が落ち始めてからのナマズを意識して、ゆるゆると登戸へ向かう。

 登戸到着。
 既に、バギーのおっちゃんぢょんと李立がキャストしていた。
 アユは更にこの一帯にわだかまり、中には尺クラスの群れもある、が全体のサイズはまばら。
 落ちてきたもの、増水で落とされ戻ってきたもの…全体的な状態を断ずるには曖昧な状態である。
 いずれにせよ大量のアユは、捕食者たちの動きに影響を与えるのは間違いなく、一帯にやってくる魚食鳥の種類と数がアユの群れの規模を物語っていた。
 当然、魚食魚も連動していることが考えられる。
 しかし、バスも連動して、という淡い期待はとうに捨てている。エコシステムに組み込まれ、法則によって割り出していけるだけの生息数に達していない種であるためだ。

 テトラ帯を流し、やはり違うか、ということで五本松エリアに向かうことにした。
 
 五本松に行く途中、第二ワンドに寄ってみる。
 先日、ブッシュに引っ掛けロストしてしまったザラⅡを回収するため、岬に回り込んでみたが、ルアーは既に無くなっていた。
 岬周辺のドロップオフも無くなっていて、水深50センチ前後のシャローフラットになっていた。
 カバーも無く、地形変化に乏しければ、水温低下が進むこれからの時期、このポイントがますます力を失っていくのが明らかだった。

 五本松。
 先客あり。
 ナマ師たちが現われなくなって久しい川原に佇むその姿には、行者然としたものがあった。本流筋を打っているところを見るに、スモールマウス狙いか。ならば、ポイントのバッティングもなかろう。
 朕と李立はサイトフィッシング可能なポイントへ急いだ。
 光量が落ちきるまで、場を荒らさぬことを意識しながら待つ。
 バギーのおっちゃんはというと、先客のアングラーを連れ、こちらに向かってくる。
 かの行者が身をこごめていう。
 「わたくし、武松と申す者。ドラゴンどの、ぢょんどの、李立どののことはブログでかねてより存じ上げておりました。よもや実際にお会いできようとは身にあまる幸運」
 我々は慌てて武松と名乗るこの行者をたすけ起こした。

 武松は今年バスフィッシングを再開したという復活バサーであり、流芯攻めで二桁のスモールマウスを得ている遣い手だった。
 トラウト用ミノーの有効性を知る辺りに只人ではないアングルを感じさせたが、ナマズについては初心者で、このブログでナマズを釣っている我々に不思議を感じていたという。
 当たり前のアングルを持つ者にナマズを釣らせるのは難しいことではない。ましてや、スモールマウスを狙って釣っている者である。
 問題は、我々鉄のナマ師たちの見立て通りにナマズが来るかだけだ。
 朕はナマズ釣りに関するあれやこれをレクチャーする合間、武松はバサーとして復活したきっかけを語り、それが悲運の末であることを知り、同じ憂き目を見た朕はおおいに痛み入った。
 朕もすっかり人間不信、女嫌いになったということを語りながらも、例の人妻にまた会いたがっているという矛盾を露呈。

 サイトフィッシングが不可能な光量となってからは、李立はベイト待ち伏せ個体のポイントへ入りキャッチ。

 魚は回ってきていて、反応もしばしば得られてはいたが、盛んという感じでもない。
 そろそろ諦めるべきなのかという気配漂う中、武松、バックラッシュ。
 修復し、リトリーブを開始しようとしたところ、水面が割れる。

 ナマズ初挑戦にして見事ナマズをキャッチ。
 しかし、驚くことではないのだ。
 アングラーとして正当な技量が備わっていれば釣れるのがゲームフィッシュだからだ。
 バスを狙って釣ることができる技量があれば、ナマズも同様に狙って釣ることが可能。
 問題はその事実を認識できるかどうかだけである。

 朕とぢょんはノーフィッシュであったが、新たにアングラーと知り合えた喜びと、本命魚の顔を拝めたことに気を良くし、この日は早めの解散となった。
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テーマ : お仕事奮闘記
ジャンル : 就職・お仕事

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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あの吾人が虎殺しの武松ですか!
流石の風貌ですね。
今日は、厳しい釣りになりましたが、次回に期待ですね。

Re: タイトルなし

身の上話を聞いたら、武松がぴったりかと思いました。
背も高いし。
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dragon

Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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