サマナの苦行日

 10月19日。

 大潮。秋のスズキチャンス日…ではあったが、諸事情により諦めなければならなくなっていた。それはこれからの日本円生活のために払わなければならない犠牲というものであった。

 フッコクラスであればまだチャンスはあるかもしれないが、朕の技量でスズキを得ようと思ったら、秋の大潮下げを打つ以外確率を高める手段が無いのだ。
 この機を捉えられなければ、幾つかシーバスを釣っていくうちにスズキが偶然釣れるという運任せのものとなってしまう。

 シーバスフィールドへの出撃を諦め、いつもの多摩川へ向かうことにする。
 水温低下と先日の台風の影響によって、今、フィールドはどうなっているのか気になることころ。
 狙いを絞れるような状況ではないので、いつものバーサタイル仕様で出発。
 すなわち、ミディアムアクション・ファーストテーパーのキャスティングロッドに20lbモノフィラメントラインをたっぷり巻いたキャスティングリールというタックルセッティングに、ペンシル、ポッパー、ミノー、ワイヤーベイト、スプーン、リップレスクランク、4~6インチのカーリーテール、ストレートワームといったベイトを備え、フィッシュイーターなら大抵の魚種に対応可能な仕様にした。

 現地に着いたところ、登戸エリアの地形は激変。
 この変貌ぶりが吉と出るか、凶と出るかはその時の状況次第というものだが、現在の北風という条件下では、本流の水が流れ込むようになった第一ワンドがかろうじて良いといえるポイントかもしれないという程度。
 まだ濁りが抜け切らぬカバー周りをシャッドマンが打っていた。
 以前までカバーエリアは馬の背突端を境に上流側の流れは緩いつくりになっていたが、今回の台風を機に上から下まで強い流れが通るようになっている。
 スモールマウスの生息数が少ない以上、期待は禁物だし、常にプレッシャーに晒される一帯ではあるが、スポーニング期以外であればスモールマウスには良い条件になったのではないかという気がした。
 しかし、今日の風向きを考えればウインディサイドのシャローを目指すべきだろうと考え、このエリアは一度も打たず、下流側に移動。

 下流エリアに入ったところ、秦明と李立がいた。
 先ほどまで張横と若きベテランが来ていたという。
 秦明はロングAでスモールマウスをコーリングアップし、バイトまでには至らせていたが、フッキングまでには及ばなかったそうだ。
 また、盛んに反応を得られるほど魚がいるというわけでもなさそうだ。
 一通り見て歩くが、跳ねる魚の姿はよく見られ、コイの気配は濃厚であったが、肝心のバスの気配は感じられない。
 やがて小雨がぱらつきだし、秦明撤退。
 ここでキャストをしていても見えてくるものが無い以上、続けても無駄だろう。
 現在の風向きと水位ではナマズも期待できる状況にないが、第一ワンドには常に流れが入り込んでいることと、今回の増水によって変化した地形をチェックしておこうということで上流側へ向かう。

 五本松エリア。
 流れは一層強くなっていた。
 ベイトの気配は無く、ナマズを寄せる広い緩みも無い。流芯がらみのカバーを探せばスモールマウスを狙えるかもしれない、と言いたいところではあるが、この流域の絶対数を考えれば可能性は極めて低そうだし、既に速いテンポでバスを呼び出せる光量も無い。

 北風が吹いていればナマズは寄らない第二ワンドをスルーし、風向きはマイナス要因でも、流れという要素で相殺になってくれるかもしれないという希望的観測から、第一ワンドに入る。
 泉には多数のコイが進入しており、この一帯が魚のシェルターとしていかに重要なものであるかを示していた。

 悪人どもはここを取り除こうとしているらしいが、その前に彼らの上に死が降りかかることを願っている。自然破壊によって利を得られるのは悪人の、しかも、ごく一部の連中だけで、人類全体には何の益も無いものだ。自然からのカウンターは平等に降りかかるというのに…。
 もしこのワンドが取り除かれてしまったら、この流域の生産力は著しく損なわれ、朕は再びホームフィールドを変えなければならなくなるだろう。
 そういうタイミングが来ているのかもしれないが、身近な自然が失われていくのは腹立たしいことである。
 
 とにもかくにも、秋の大潮という好適日にノーフィッシュ。
 このエリア、もうダメかもしれない…。
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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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