いずれミラクルステージへ

 9月29日。

 この日も、現地到着は夜。
 既に陽は沈み、釣果を得るためのフィールド観察には厳しい時間帯。
 加えて長潮。
 昨日よりも望み薄なのは明らか。
 しかし、時間のある限り、フィールドの様子は肌で感じておきたい。

 長潮の日の成功率は低いが、潮回りとフィッシングの成功率の関係性を裏付けるデータを蓄積していくのは意味のある行為だ。
 先人が既に語られていることでもあるが、自らも実感できればそれは単なる受け売りではなく、本当の知識となる。

 行く前から厳しい状況であるということは予測している。
 猪木には「出る前に負けること考えるバカいるかよ」と、殴られてしまいそうだが、偶然の釣果は望まない。
 状況分析も何もなく、ただ事故的に釣れてしまった大型より、例え小型であっても、状況を判断し、狙って得た一尾の方が価値があると朕は考えているからだ。
 また、同じく事故的遭遇でも、考えなしの何となくの偶然と、事故発生確率を増やすために仕掛けを織り交ぜての偶然なら、共に一尾という結果でも評価は違うというもの。

 釣果を得ることを第一としながらも、特にそのプロセスを重要視するのは、偶然の釣果に話を盛られ、それと気付かずにその内容を尊重したために、ゲーム展開に支障がきたされた時期があったからだ。
 やはり、釣り人の話を聞くとき、表面から伝わる“上手いヤツ”オーラのあるなしを第一判定基準にするべきだと学んだ。

 登戸に着いてみれば、李立と若きベテランが話しこんでいた。
 この若きベテランなど、初見で“上手いヤツ”オーラを発していた者である。
 若きベテランに、先日のリッジ90Fの礼を述べ、李立に今日のこれまでの様子を聞く。
 どうやら李哥内ぼっちゃんが、小型ではあったがラージマウスを得ていたようだ。
 また、若きベテランも小型だがスモールマウスを二尾得たという。
 他のバスフィールドなら、小型など大して価値を持たないが、多摩川なら小型でも貴重なブラックである。
 これから帰るという若きベテランに別れを告げ、朕と李立は、日中エサ釣りをしていたバギーのおっちゃんぢょんを探しに行く。

 上流側に、バギーのおっちゃんと、最近師匠に弟子入りしたおっちゃんがいた。
 ナマズ狙いである。
 朕も様子を窺ってみたが、そこに気配は無く、月齢とナマズの行動の関係の確かさを再認識する。
 勿論、長潮だからといって全く釣れないとは言わない。
 ただ、この月齢に入ると淡水であれ、成功率が格段に落ちるというのは事実なのだ。

 朕は、その種の進化の歴史が月の影響を受ける度合いを左右していると考えている。
 その種が、進化の歴史のどの時点で現在の種として完成されたのかについて想像する。そして、古い時代に完成された種ほど月の影響をより強く受けるのではないかと思うに至った。
 このエリアでは、コイやブラックより、ナマズの方が種としては古いため、月齢の影響を最も強く受けているのではないかと考えている。
 これは実釣経験から得たことを元に進めた考察に過ぎず、科学的根拠についてははなはだ怪しいものだし、どの魚種が進化の歴史に於いて最も早く誕生したかについても想像による判断でしかないが、以上の理由によってナマズ狙いを諦め、夜のスモールマウスポイントへ移動することにした。

 上段では、スモールマウスがナマズほどには月の影響を受けないとは述べたが、程度の問題であって、スモールマウスとて月齢によって行動を支配されている生物である。
 ポイントに入るが、このエリアの近況と月齢を考えれば釣果は諦めるべきだと示されている。
 このポイントに入るのは、今や定点観測としてのアプローチである。

 朕の操作するルアーにバイトらしき感触を得るが、一度きりで、バスであったとしても小型であるということが想像できた。
 これ以上続けることの無意味さを悟り、この日は終了。

 失敗を想定しての失敗。悔しさよりも自然の法則の偉大さに対する敬意の方が強く胸中にあった。
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ジャンル : 就職・お仕事

tag : 多摩川 ルアーフィッシング バスフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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