熟練者の技巧に学ぶ

 9月9日。

 “釣れちゃった”はさすがに少ないが、何とか釣れているような感じで、空振りも多い今年の多摩川ゲーム。
 いや、去年もこんなもんだったか…。
 しかし、今年はノーフィッシュ回避の手立てはしっかりある。
 それが小物釣りだ。
 というわけで、この日は小物釣りから。

 好天、風は穏やかで釣りやすく、調子よく数を重ねていく。
 こんな状況の日にバギーのおっちゃんはフナを攻略していたが、兆候が現われるまで辛抱を強いられる釣りは朕にはできぬ。とにかくイージーキャッチだ!と、こつこつと数を稼ぐ。
 ふと上流側を見れば張横。こちらへ向かってくる。
 そして師匠と張横、二人の釣りウマに囲まれて、プレッシャーが掛かる。
 とりあえず、彼らの前で連釣をキメてみせねばと気負いが生じる。
 幸い、朕もこの釣りにだいぶ慣れてきたので、問題なく連釣を演じることができていた。

 精神的にも余裕が出来てきたのを機に、ビッグベイト使いであり、ライブベイトもこなす張横に、先日の西湖の様子を話してみた。
 朕がブルーギルを重用するのに対し、張横は様々なライブベイトを遣う。魚種ごとに利点があり、“ミミズ使えば一発”などとのたまう輩がいかに対象魚の生態を知らずにルアー釣りをしているかを改めて明るみにする内容であった。
 張横の推奨する、コイ科の魚は生命力も強く、ブルーギルが通用しないときの有効な手立てだというのは理解できるが、問題はある。それはそれらの魚は、ギルより確保が数段難しいということだ。
 結局、ブルーギルを確保できない日はライブベイトによるデカバス狙いを諦めた方が賢明であると悟る。

 さて、話は多摩川に戻る。
 この川のバスを追い続ける張横は、同じくバスを追う同輩の李俊とはまた別のアングルを持っていて、カバーに拠るスモールマウスの傾向を掴んでいた。
 これは張横が自らの研鑽によって得た気付きであるからいちいちは述べない。
 ひとつの奥義のようなものであるが、釣りの奥義など特別に難しいものではない。観察する目と、考える力があれば会得することは可能なことである。
 朕は張横の言うことを頭では理解したが、自分が実践するとなると厳しいと感じた。何故なら、結局この釣りは自分の狙うポイントにバスがいると確信できなければ始まらないことだからだ。
 朕には見えぬものが、張横には見えている。

 そして、自らの理論の正しさを証明するかのような、会心の一尾。
 でっぷりとしたマーバス。
 リグやルアーについては書く気も無い。
 大切なのは、これから打とうとする場所がどういった構成で、どういう条件の場所に魚がいるのかを探る目と、そこにいるバスはどういうものを求めているのかを考え、それに当てはまるルアーを選択していくというプロセスなのだ。

 張横の凄腕ぶりに感心し、小物釣りに戻る。
 しばらくすると聞き覚えのある声に話しかけられる。
 施恩だった。
 しかし、約半年ぶりに見るこの男は、施恩であって施恩ではなかった。
 そう、まるで、チャン・シャーに砂漠でもてなされた頃のコードと、チャン・シャーに戦いを挑みに来た時のコードほどに違う。試練を乗り越え、ジタンに会う資格を有していたのである。
 更に、ナマズ釣りに挑戦してみたいとの申し出。
 近眼豹ではなく、金眼豹となった者の申し出なら喜んで受けよう。

 やがて李立も現われ、師匠もルアータックルに持ち替えていた。
 朕も遅れてルアーを始めるが、どうやらこの周辺に来ていたナイスバスはあの一本だけであったかのように、張横を含め、誰一人反応を得られることはなかった。

 夕刻。
 ナマズ狙いに移行。
 ナマズエリアに入るに当り、施恩にナマズ狙いの要諦を説明。
 ポイントに入ったがナマズは現われず、次のポイントへ。
 ナマズの動きに対する予測、どういったルアーが有効かについてを神妙に聞き入れる施恩であったが、ベイトの様子については施恩から教わることもあった。
 状況観察の重要性を理解する辺りは、この半年間に踏んできた場数を物語っていた。
 と、その成長ぶりに感心したはいいが、いかんせんナマズの気配が無い。
 ゲームフィッシャーマンとしては、既に朕より高みにある李立もまた気配の無さを指摘。

 潮回り的にも、現場の様子を見ても、今日はダメかもしれないということを明言した上で入った最終ポイント。
 そこで朕がナマズのバイトを引き出すことはできたが、ナマズはルアーに触っていなかった。
 ベイトの出す波紋を頼りにルアーを打ち込んでいると説明したところ、施恩より、ルアーでベイトを散らすのはどうなの?という質問を受ける。
 「こやつ、本当に目の付け所が鋭くなった。うかうかと間違ったことも答えられんわい」と、内心びびりつつ
 「周りにいるコイが驚いて暴れてポイントを潰さない限り、パニックになったベイトが近くにいるナマズにスイッチを入れる可能性がある」と答えた。
 現実は何事も厳しいので、朕は大仰なことや人を騙すようなことは言わない。経験上の知識を言うだけである。
 そして、この可能性は具現したかに見えた。
 施恩のキャストしたルアーでベイトが散り、アクションをつけるかつけないかという時、バイト…だが、フッキングには至らず。
 ここまでだった。
 
 今年は、変わり目の時期をいかに攻略するかがナマ師としての課題としたが、相変わらずこの時期には見えず、翻弄され、結局条件的に良いとわかっている時にしか釣れていない。
 かくもナマズ釣りは難しいものか。
 ナマ師としての苦悩は続く。
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テーマ : お仕事奮闘記
ジャンル : 就職・お仕事

tag : 多摩川 バスフィッシング ルアーフィッシング

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お疲れさまでした

ライブベイトに関しては経験上季節毎に変えていく事が肝だと思っています。
おっしゃる通りギルは手に入れやすくフィールドのベイト構成上年間を通して汎用性の高い餌だと思います。
翻って、ではギルは富士五湖のメインベイトとなりえるのか?
答えはNOです。
野池やため池などのベイトの少ない小止水域ではなりえますが西湖、河口湖等では恐らくもう少し細身の魚がそれに当たります。
これにも理由はありますが…

自分がライブベイトを使う理由は単にデカイ魚を獲りたいという事。
そして最も重要なのはデカバス(50後半)の捕食行動を見る事でルアーにフィードバックさせるという事です。
昨今出ているビッグベイト(ジョイクロ系では無い)を見ると知っている人間が作っているんだな~とほくそ笑みます。

話を戻しますがフナ系が強烈に効く時期があります。
ハス系でしか反応が無い時期もあります。
それが何故かが見えてくるとベイトの確保も容易になってくると思います。

おそらくドラゴンさんの事安易な答えは求めておられないと思いますのでここでは差し控えますw
ここでは不特定多数の目に晒される事になりますし…

橋の下であれば自分のわかる範囲でお答えしますのでwww

長文 失礼しました

Re: お疲れさまでした

ライブベイトフィッシングの発端は、これまでルアーに見向きもしなかったデカバスが、魔法に掛かったように反応してきたというひとつの偶然から。

何故、特定の魚種に強烈に反応するのかを理解するには、ベイトフィッシュの生態をもう少し突っ込んで勉強する必要がありそうですね。

生態からのアプローチは釣りの成功率を高める一番の近道だと信じているので、こちらももっとバスを観察する機会を増やそうと思っています。

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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