PSYCHOⅡ

 9月7日。

 ローザルクセンブルクの『かべ』を口ずさんでいた時、急遽決定した西湖行き。

 散々な目に遭いつつも、ソフトプラスチックベイト使用禁止というルアーフィッシングの可能性を限定されたレギュレーション下にありながらも、それでも挑戦意欲の掻きたてられる魅惑のフィールドである。
 このフィールドの魅力は溶岩帯を除くほとんどの湖岸線が陸っぱり可能だというところにもある。河口湖、山中湖も同様の条件を備えているが、岸から狙える変化に富んでいるのは西湖が一番である。
 ワーム使用禁止によって深いレンジをルアーで攻略するのは困難になったが、ならばどう対応するか、を考える機会が与えられた。
 朕が出した答えは、ライブベイトの使用であった。
 ライブベイトの、バスをコールアップする力と食わせる力についてはバスバブル期に検証済みであったので、ワーム使用禁止になった時、いよいよ本格的に用いるべきと思ったものだ。
 問題は現地の水温の動きである。
 最も確保が容易で、エサもちも良く、大型にアピールするブルーギルは水温低下があればすぐに深場に落ちてしまう。
 そうなってしまう可能性も十分にある現在、ルアーも十分に用意して臨まなければならないだろう。

 今回はギル狙いのエサ釣りタックルと、ライブベイト用のタックルと、ルアー用タックルの計三点のタックルを用意した。

 史進到着。途中李立を拾い、一路西湖へ。

 西湖。

 既に陽は昇っていたが曇り空。水はやや白濁り気味。
 ギルの捕獲はもっと晴れ間が広がってからでよかろう、ということで、風の当るシャローフラットのあるワンドからスタート。

 ベイトの気配を頼りに、朕はレッドペッパーJrをキャスト。
 朝イチはトップというお約束というより、まずは手早く視覚情報を得たいという考えから。
 すぐにバイトは出たが小型。シャローエリアはトップが有効か。サミー、ザラ、カレカをローテーションしながら引いてみたところレッドペッパー、カレカのみが反応を得る。シャローのバスは動きの早いトップ、すなわち逃避アクションのディフォルメが有効のようだ。
 と、バスの好みを掴んだような気になるが、フッキングに至るものは一本も無いし、すべて小型。
 良型はシャローに入ってきていないと思われたので、陽が照るようになったのを機にライブベイト作戦に移行。

 放水路エリア。
 相変わらず打ち捨てられたワームが目に付く。
 実際、ポンプ小屋周りにはワームを付けたバカ者がいた。まったく気分が悪い。
 朕自身、熱烈なバサーであり、この釣りの為には…と、常日頃思っているが、こういうのを見てしまうと「死ね、バサー!」と思わずにはいられない。
 富士五湖には山中湖や精進湖といったソフトプラスチック使用可のフィールドがあるのに、わざわざ使用禁止を明言しているところでやるやつは頭がおかしいのだろう。 

 ポンプ小屋周辺にギルを求めるが、姿は見えず、レンジを落としても延べ竿では限界があり、一切の反応を得られることが無かった。
 ルアーで臨んでいた李立、史進も反応を得られていなかった。
 ボトム寄りにウィードが繁茂しているとはいえ、無風、水中丸見えのシャローでベイトの大群もいないとなれば、今は厳しいだろう。
 ということで早々に切り上げる。

 漁協周辺エリア。
 ライブベイトフィッシングを諦められない朕は、再びギルタックルを持ってエントリー。
 見えバスは居らず、ギルも居ない。
 偶然、20センチクラスのレインボートラウトを捕えることが出来たので、普段デカバスを見かけるポイントの少し先の落ち込みを意識し、トラウトを投げ入れてみる。
 トラウトは弱りが早く、どんどん沈んでいく。着底した感触があったので、ゆっくり引き上げてきたところで魚が暴れる感触を得る。
 バイトか。
 この時点でまだ疑いがあったので、ゆっくり引き上げてきたところ、視界が利く水深で40センチ程度のバスがトラウトを凝視しているのが見えた。
 しかし、すぐにバスは沈んで行ってしまった。
 トラウトは既に息も絶え絶え。湖のエコサイクルの中に還っていただき、ライブベイト作戦はこれにて終了。
 良型を諦め、トップに反応の良いシャローの小型をルアーで釣る作戦で通そうと意識を変えた。

 簡単に口を使う小バスだが、エリア選択はシビアで、風が当り、ベイトの見えるようなシャローでなければならず、逃避とかパニックを演出する必要があり、なおかつ潜らせてしまうと見に来るだけという具合。
 そんな中にあって、李立がステルスペッパーで小バスを得る。

 朕がレッドペッパーでバラしを演じて間もなくのヒット。
 ペンシル引きでにわかに一帯のバスにスイッチが入ったようだ。朕のやっていることを観察していたことが生きた、クレバーな狙い。

 朕と李立はいつも狙いが被る。しかし、それは仕方がないこと。田辺本を読み耽り、田辺先生から直接教えを受けた身近なグランドマスター・秦明を師と仰いでいるのだから。
 同じ狙いをする時、センスが優れる李立が魚を先に手にするという具合。
 サイズこそ小さかったが、この一尾に至るプロセスこそがバスフィッシングの醍醐味である。
 魚を手にしたのは李立だが…。

 夕マヅメまでは小バス釣りと割り切ってやるしかないな、と、昼食を挟んでエリア移動を繰り返すが、全員、バイトは得られても魚は得られずという状況が続く。

 やがて夕刻迫る時間帯に突入。

 向かい風の当るシャローフラットでフィーディングに入ってくる良型を意識し、朕はレンジバイブを投げ倒す。ラトリンラパラやLV200といったものがありながら、レンジバイブを選択したのは限られた範囲を数多く引くため。過剰なアトラクター要素は排除したほうが良いと思われたからだ。しかし、ここではノーバイト。
 スピナーベイトを引き倒す李立も、ルアーローテーションを繰り返す史進もまた反応を得られることなく、最終ポイントへ。

 放水路からヘラ係留ブイのある一帯。
 地形変化とシャローフラット、ウィードの絡むエリア。
 ベイトはちらほらと見える程度だが、光量の落ち込みとともに様子を見に来る良型がいるかもしれない。
 風は弱まってしまったが、こちらに吹き付けている。
 途中、史進がリッジ90Fを巨鯉に食わせていたが、バラしてしまう。バスでなくとも大型魚の写真は欲しかったところだ。
 手を変え品を変え、残り時間を気にしながらキャストを繰り返しているうちに、李立にヒット。

 X80プロップダーター。
 小型ではあるが、今日のシャローバスの傾向にのっとったヒットであった。

 朕と史進は李立のニュータイプ能力に敬意を表し、ストップフィッシングとした。

 帰りの車中、Theピーズやブランキーに耳を傾けていたら、今日の釣りで見落としていた重要なことが思い浮かんできた。
 まずはライブベイトを打ったときに得た反応から、良型のレンジを予測できていたこと。
 沖のヘラ師が「底を釣ればギルが食ってくる」と嘆いていたこと。
 ボーターや岸からワーム、或いはジグを打っていた者たちが点を探っているような釣り方ばかりで、一切釣れている様子がなかったこと。
 小型とはいえ、バスは横の動きに好反応だったこと。
 これらの事実は、午前中にすべて確認できていたことだ。
 そして、そこから、ファースト、セカンドのブレイクが絡むレンジをジグ&ポークのスイミング、集中力を要するがスピナーベイトでのディープロールに良型の可能性があったのではないかという想像が生まれてくる。
 しかし、我々は目先に心を奪われ追ってしまった。俯瞰することの重要性を認識してしているゲームフィッシャーマンとしては致命的なミスといってもいい。
 ノーフィッシュを恐れず、クオリティフィッシュを求め、可能性を切り拓いていくゲームフィッシャーマンとしての姿勢が欠如していた。
 この分野に身を捧げる者として大いに反省。

 散々にやられても、ワーム使用禁止でも“何故?”について考えられるヒントを示してくれるところに西湖の魅力がある。
 だから朕は、難しくても西湖への挑戦がやめられないのである。
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テーマ : お仕事奮闘記
ジャンル : 就職・お仕事

tag : ルアーフィッシング バスフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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