蝦夷地彷徨

 8月21日。

 南部錦豹子の楊林とは一年ぶりの再会である。
 今年も数多のライギョをモノにし、勢い盛んの報は伝わっていた。

 しかし、はからずも朕が帰省する前日までは豪雨が続き、朕が来てからも夜間は雨が降るという天候。
 日中は暑さを感じるほどだが、陽が沈めばたちどころに涼がやってくるこの土地にあっては、浅い溜池の、環境変化に弱いライギョにとって致命的である。
 楊林もそのことを危惧していた。
 津軽は早くも秋の様相を呈しているのである。
 日中の気温上昇がどの程度、事態を上向かせてくれるかがキーであった。

 峠道を抜け、幾三ハウス付近まで来た頃、楊林から電話着信があったことを知る。
 折り返してみれば、我々のひいきにしていた溜池が大増水とのことでウエーダーなしにはキャストが厳しいという。
 しかし、待ちに待ったライギョ釣りの機会。
 ある地方では、勇壮な祭りとしても知られているそうだ。
 そんな祭りを、タンクトップなど着ない朕ではあるが、諦めるわけには行かぬ。

 かくして合流。
 駐車場に入る前に楊林と、昨年も来ていた馬麟が藪の中から現われた。
 近くのボンドポンドの様子を見に行っていたが、まったくだめだったという。
 とりあえず本命池を打ってみるが、すぐに移動を提案した楊林。
 もちろん異存は無い。

 次に行った場所は初めての溜池。
 池に向かう途中、近所の農家のおっちゃんとあいさつ。おっちゃん曰く
 「ルアーやるんだば十三いいってら。スズキ釣れるってろぉ」
 とのこと。
 朕はその言葉を心に留め置き、まずはライギョに専念。
 この池で、ライギョの捕食を一度確認することは出来たがそれだけ。
 ためらうことなく移動。

 次なる池もまた小さな溜池。
 ルアーをキャストしてみれば、この池の規模に見合わぬほどのアオサギが葦原から逃げ飛んでいき、それは一帯にベイトフィッシュが豊かな環境であることを示すものであった。
 にもかかわらず、ここでは朕と楊林がワンバイトを得るのみに終わる。

 ならば全体的にシャローであっても、水塊としては大きな、県内のメジャーフィールド芦野湖はどうだろう。
 地元ライギョ師の判断は望み薄とのことだが、打ってみて案の定という次第。

 もはや気候的にライギョではないのかもしれない。
 しかし、晴天ならば時間の経過と共に水温が上がり、可能性は増えるかもしれない。かすかな望みを元に、再び移動。

 金木町を転々とし、大きな水塊のある溜池へ。

 ただし、この池はウエーディングしなければ打てないほどに増水しており、朕には攻略不能。
 しかし、ライギョ職人の楊林と馬麟はこのような事態に対する備えも万全であり、ウエーディングで一本ずつライギョをキャッチしていた。
 しかし、渋いというのは相変わらずで、昼時には撤退。
 
 好転の兆しは見えぬまま昼食。
 万策は尽きている。妙案も何も、自然条件がすべての可能性を拒んでいるかのよう。
 言葉少なく、軍鶏などを読み耽る朕であった。

 午後、水温の上昇に望みを託し、スタート地点となった溜池へ。
 水温変化が急激で、魚の活性が低いのであれば、水深のある水塊は比較的水温が安定し良いのではないか、と、これまでにきっちり攻めたことのない堰堤周りの一帯に朕は入ってみた。
 ここでは四度のバイトを得、うち一尾は手元まで寄せられたが撮影の段に入るとフックが外れ、逃れてしまう。
 見える魚を相手にアプローチを試みたところ、バイトに至るまで長らく時間を要するということも判明した。

 別のポイントを打っていた楊林らと合流。
 職人たちが、どうにもならぬとギブアップ宣言。
 名残惜しくはあったが、来年の再会を誓い、南部組撤退。

 その後も年に一度しか来れない朕は、せめて一本、と日没頃まで粘ってみたが結局ノーフィッシュ。

 来る時期を誤ったのは明白であったが、これはどうにもならなかったこと。
 千夜釣行のエンディングテーマが流れる中、朕も撤退することにした。

 明日は、ソルトでしっかりキャッチ&イート。
 帰宅後、FGノットをしっかり組み備えていた頃、ナマ師仲間の李立より多摩川は激アツとの報が入る。

 雨による増水が、こちらではプラスに作用していたようだ。
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tag : ルアーフィッシング 青森県 多摩川

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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