明日に向かって打て

 8月16日。

 長潮。
 何度も述べることになるが、潮汐、すなわち月の及ぼす引力の生体への影響は圧倒的である。
 朕は科学を修めてはいないが、これまでに得てきた知識を釣りにあてはめていくだけの知能はある。
 月の及ぼす作用については、現場でどう活かすにせよ、思考の中に加えられなければならない要素だ。
 もちろん、これがすべてというわけではなく、フィッシングを成功に導くために考慮しなければならない要素は他にもある。
 朕が主に重視するのは、対象魚の食性、新陳代謝、効率よく安全を見越して生命活動を継続できる条件。
 また、フィールドを俯瞰して思考することも重要だ。

 いずれにせよ、貴重な時間を割き、釣りに出るのだから結果は欲しい。
 であるのなら、単なる魚釣りという行為から脱しなければならないだろう。

 この日も、朕とぢょんは師匠に習いながらのエサ釣りから開始。
 エサ釣りにもだいぶ馴染んできたが、ここにもそれぞれのルアーフィッシングのスタイルが反映されていた。
 アベレージとイージーキャッチを好む朕は、小物釣りのオイカワ狙い。
 その場所場所での大物を求めるぢょんはフナ狙い。
 そんな中、バギーのおっちゃんぢょんが本命を仕留める。

 小物の猛攻に対応するメソッドを構築し、見事二本のフナを得ていた。

 しかし、我々はこの場所でよく釣ってはいるが、師匠に釣らせてもらっているという現実もある。

 やがてルアー釣り開始の時。
 小物狙いの師匠と、スモールマウスの探りに来ていた秦明と別れ、朕とぢょん、そして李立は、これまで温めていたエリア、中野島ダム下流エリアへ向かう。
 エサ釣りに於いては見習いの域にある朕だが、ルアー釣りは座学と実践で築き上げてきたものがあるし、李立にそのほとんどを継承することもできた。
 そんな我々が選んだエリアである。
 月の作用は見込めなくとも、何段にも及ぶ瀬が酸素を蓄え、その水は流芯を形成し、シャローフラットに及ぶ。生き物の代謝がピークに達する夏にはベストといえるエリアだ。
 このエリアへのエントリーには藪をこぎ、道なき道を進まねばならないが、少しでも好条件が揃った場所を追わなければ可能性を高めることはできない。
 ならば、多少の困難が伴おうとも行くしかないのだ。

 季節が進み。植物の成長も進み、行進は以前より難儀したが、無事、陽のあるうちにポイント到着。
 一見して魚の寄りは良く、コイもアユを追っていて、ルアーへの反応もすこぶる良かった。釣りたいとは思わなかったが。
 しかし、カマしてくれたのはやはりぢょん。

 「釣れちゃった」とは言いながら、間違いなく狙っていた。大物がいたら狙わずにはおけない性分なのだ。
 何はともあれ、真っ先にノーフィッシュを逃れたぢょんである。

 朕は、過去のヒット例と、地形と流れの関係から導き出されるナマズの回遊ルートを予測しての待ちの釣り。
 ザラで様子見、テラーやスカジットのウッドペンシルで勝負という構え。
 この思考は半ば功を奏したが、技能面に於いては同行の二人に劣る朕。数少ないチャンスの中、二度も手前バラしをしでかし撃沈。

 三者ともに、鉄のナマ師であるがゆえ、狙いどころは皆同じである。
 一人が瀬周りを打てば、一人は馬の背を狙い、一人は回遊ルートを流すというように、誰が釣ってもおかしくないという状況。

 そして李立が、拾ったハトリーズのウッドペンシルで回遊ルートから一本をキャッチ。
 ぢょんは、瀬と流芯が絡むポイントをフラットラップで攻略。


 状況に合せたベイトの選択が功を奏し、長潮攻略成功という具合だが、朕の技能面の至らなさがチームの足を引っ張る形となってしまった。
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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