奮戦記

 7月17日。

 その身が地下にあっても、他のナマ師たちが次のワークに有用な情報を与えてくれる。それぞれに刻んだ点はやがて線となり、像は鮮明になっていく。
 
 この日は、夕刻の雨という好機に乗じられたバギーのおっちゃんぢょんが三本のナマズを得ていた。
 やはりチャガースプーク、オリジナルザラスプークはサーフェスレンジの最大公約数に値するベイトであり、エリアさえ誤らなければ、誰が使っても結果の出せるベイトであることが証明された。

 数学の苦手な朕が、最大公約数について語るのも妙な話だが、ルアーフィッシングに於ける最大公約数の概念についてはいつでも語れる類のものであり、何を言っているのかと訝る者には大いに語ることの出来る内容である。

 ルアーフィッシングに於ける最大公約数を、当然理解しているぢょんは、ガチの場面ではこのように至ってオーソドックスなゲーム展開をし、順当な釣果を得ていたのであった。


 しかし、プロレスラー的気質によって、パフォーマンスを重視せずにはおけないようで、敢えてセオリーを外し、他人が驚くような釣果を求めて、鮎邪なるビッグペンシルを投入。

 今回はその目論見が裏目に出たようで…驚くような超小型を得ていた。

 7月19日。

 同じエリアであっても、毎日その表情は違う。
 それは、ナマズが回遊魚であることもあるし、季節、天候、月齢が生き物たちの動きを左右するためでもある。
 よって、通い慣れたフィールドであっても、どのような表情であるかについてしっかりと観察しなければならない。
 怠らずとも及ばず、敗退することがしばしばあるというのに、そこまで考え及ばず単にルアーをキャストしているのなら、多摩川でルアーやってもあまり釣れないというのは当然のことなのだ。
 偶然釣れてしまえば簡単な魚で片付けられてしまうが、狙って釣ってみれば、これまで培ってきたゲームフィッシングのスキルが試される、多摩川中流域では一番のゲームフィッシュとなるのがナマズという魚である。

 この日、秦明は最初のエリア選択を外し、得られたのはニゴイ。

 しかし、その後の軌道修正が功を奏し、本命を得る。

 秦明が少ない釣行機会の中、高確率で結果を出していくのは何故か。
 それは運がいいからとか、使っている道具がいいとかというものではない。勿論、公約数の数値が高いベイト、良い道具を使ってはいるがそれは補助的要因でしかない。
 間違いなく知の領域のものが根幹を成しているからなのだ。

 一方、発見したパターンの普遍性を確信した李立は、いつものエリアより更に下流のエリアにパターン再現可能な条件を求め、そして探り当てていた。

 この行動力と実力。
 やはりホーリーネームHNを李立としたのは失敗だったか…朕の見る目の無さを痛感。

 7月20日。

 投げ始めた頃は、得意の奇手ていどにしか見ていなかった、おっちゃんのビッグベイトへの固執。
 しかし、ゼル・ローランド先生がひつのベイトについて理解することの重要性を説いていたように、おっちゃんも投げ続けることによってビッグベイトについて何かしら理解を得ているようになってきたようである。

 ビッグベイトで釣るべき条件を得ての釣果を得ていた。

 彼らの釣果と、それに伴う報告は、朕の“次回”を照らす灯台のような価値があり、地下にいても安んじてどう備えるべきかを考えられる、まことにありがたいものなのだ。
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tag : ルアーフィッシング 多摩川

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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