地下よさらば

 6月1日。

 朕の自由時間に対する地下拘束時間上昇比率が去年辺りから顕著化している。にもかかわらず得られる代価は相変わらずペリカという、働き損現象が続く。
 まさに帝愛地下王国に落ちた奴隷のような気分で、連日地上の仲間の奮闘振りを見上げる。

 この日は、李立、ぢょん、穆春が多摩川に挑んでいた。
 李立が順当に釣果を得ているのは当然のこと。
 昨年、朕が理論を唱えナマズを狙い通りに得ていくのを目の当たりにし、ゲームフィッシングの世界に入門、朕や秦明の言葉から学び、自らも考えていったためだ。
 ルアーフィッシングに於ける要諦を知れば、あとは経験を積み重ねていくだけのこと。李立はこのルアーマンなら通るべき順当な道をしっかり通り、加えて卓越したセンスがあった為、先輩アングラーを上回ることさえ出来ているのである。

 一方、バギーのおっちゃん、ぢょんも釣果を得ていた。
 奇手を好むぢょんではあるが、ルアーフィッシングのベーシックはバスフィッシングの経験でみっちり養われている。釣れる状況にあれば釣ることが出来るのもまた当然のこと。

 残念ながら穆春はノーフィッシュ。
 それもまた当然のこと。
 これまでにナマズ狙いの肝を伝授していったつもりだったが、その行動に思考が欠如しているためである。

 それぞれの資質の差が、如実に釣果となって現われていたようだ。

 6月2日。

 この日はバギーのおっちゃんがX140という、ここで使うか?的なビッグサイズのミノーで小型を得るという結果。
 李立は穆春を率いてノーフィッシュを回避させようと奮闘したようだが、穆春の思考が欠如した行動が災いしたようで、無思慮な岸際の徘徊が魚を散らし、ポイントが潰れ、結局ノーフィッシュだったという。

 6月3日。

 これまでにナマズ狙いの要諦を説明してきてはいたが、聞いていなかった、理解されていなかったことが判明した穆春。ナマ師三号の称号剥奪、ナマ師見習いに降格か。
 しびれを切らした李立、自らの釣果を優先した行動に出る。

 流量、スポーニング経路、ベイト、フィーディングスポット、時合を考慮に入れ、岸に寄った対象を脅かさぬ繊細なアプローチ。
 満たすべき当たり前を満たした上で得られる、当然の釣果。
 三匹という結果を出し、昨晩の無念を晴らしていた。

 6月4日。

 流域の要所、キーを押さえている李立、またしても釣果を重ねる。
 相変わらずのヘドンルアーの活躍。
 李立のサーフェスレンジでの釣果のほとんどはチャガスプークによるものである。
 このルアーが良く釣れるのは、動きと、ナチュラルかつ大きな存在感であると考えているが、他にもラフな使用に耐える頑丈さと、キャスタビリティに優れているという点も見逃せない要素である。

 6月5日。

 ハードベイトはバスを釣るために欠かせぬルアーである。
 これはワームと違い、正解のアクションを誰でも容易く演出できるためだ。
 しかし、実際は対象の生態と使用するベイトの特性を理解しないからハードベイトで釣ることは難しいなどと言われるのだ。

 この日、李立はポップX、プロップダーターでスモールマウスを得ていた。
 ハードベイトで釣ったから凄いなどとは思わないで欲しい。
 賞賛に値するのはそういった表面上のことなどではなく、タイミングとポイント、その状況での適切なベイトを、観察眼と思考の結果捉えられたことなのだ。

 長きに渡る地下拘留の日々にあって、朕の肉体はすっかり損耗していたが、送られてくるデータは空けていた日々を補い、次回釣行に役立てるには十分なものであった。
スポンサーサイト

テーマ : プロのお仕事
ジャンル : 就職・お仕事

tag : ルアーフィッシング バスフィッシング 多摩川

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

dragon

Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

最新記事
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
QRコード
QRコード