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空白期間のAFIに中毒す

 3月1日。

 マラソンもオリンピックもどうでもいい。
 そもそも朕はスポーツには興味がなく、世にいうスポーツマンシップなるものが嫌いなのだ。
 嘘つきやビッチたちと一緒に盛り上がろうなどという気にはとてもなれない。
 かくして今日も多摩川へ。
 但し、もうひとつの降臨跡はフォロワーサン、乞食、雉、未満で溢れ釣りにならないことが予測されるので、日中は冒険心を出して二子玉川方面へ行ってみることにした。

 土手沿いの道からもうひとつの降臨跡に目をやれば、ここからでもカみちょうに人がたかっているのが見える。
 二子玉などいけ好かない土地柄だが、いけ好かない土地だけに釣り人も来ないのではなかろうか、と早くも土手入り。
 土手や周辺の公園に居る人々を見て、朕もかつて身の程を知らず、あの人種の仲間入りすることを夢見ていた時期があったことを羞じた。
 予想通り釣り人は遥か下流に見える瀬周りに二、三人見えるだけで、ルアーを投げているのは朕一人という状態。
 分流がひとつにまとまり、水深は総じて浅いものの、流れは太く、ストラクチャーも変化に富み、なかなか魅力を感じる構成になっている。
 ただ、ぶつかり、溜まりの要素が欠けている。
 高水温期やアユが絡めば良いに違いないが、今の時期の場所ではない。
 今日は公孫戍と夏侯章が15時頃、韓流ポイントに来る予定になっている。そこまでの時間潰しに過ごすには十分だった。
 突如、謎の電話番号より着信あり。
 世間との関わりを避けている朕にこれは奇っ怪な、と出てみれば、何のことはない、施恩だった。
 今日は釣りに行けるとのことなので、主君が来られるであろう韓流ポイントで合流しようということになった。

 原付とペリカ生活が長く続いた朕にとって、今の足は快適そのものだ。
 二子玉川から一度貧乏長屋に戻り、登戸に行くなど造作もないこと。
 持ち忘れた予備リーダー用のラインを取ってから再び多摩川に向かう。

 せせらぎ館到着。
 もうひとつの降臨跡を覗くまでもなく韓流ポイントに入る。
 ケーポップに公孫戍と施恩を発見。
 朕はしょぼ過ぎた昨晩のドブシーバスの話を。施恩は東海道を名古屋に走り、江ノ島でイワシに狂うスズキに無視されまくり、沼津でカサゴを爆釣させ、名古屋では大雨で何も出来ず、来た道を引き返したというバカ話か冒険譚を。公孫戍は昨日、アワビ張りアイウェーバーでスモールマウスを釣り、巨ゴイにそのアイウェーバーを持って行かれ、アバロンの威力を実感したという話を…と、各各好き勝手に話していたはよいが、君似の姿が見当たらない。
 「やはりおかんむりが度を過ぎて、今日も臥しておられるのでしょうか」
 と、朕は夏侯章の身を案じていった。
 「常に戴冠の君似に冠が重荷になることなどあるものか」
 公孫戍が指した方に目をやれば、岩の陰から竿先が少し覗け、その上では二人のわかい女が何やらはしゃいでおしゃべりに興じている。
 聖人の徳があまねく天下を潤すとはこのことに違いない。
 そして有徳者自身は低い岩場に身を置き、ハナクソをほじっている。
 朕は融通無碍の境地に遊ぶ主君の心を妨げぬようそっと近付き、
 「わがきみの冠は今日も輝いております。いかに隠そうとわたくしめの目にはその眩しさが突き刺さってくるかのようでございます」
 と、その徳を誉め称えた。
 それでも夏侯章はいう。
 「寡人は常に無冠の庶人である」
 才に欠けたところがなく、内なる徳に満ちた人を知れば、きっとあのむすめたちも「誰かの妻になるくらいなら、いっそあの人の妾でいたい」と思うことであろう。
 聖人の余徳に与るなど、半端者の朕の如きには恐れ多いこと。
 俗人の卑しさを晒してしまう前に、朕は夏侯章にいとまごいをし、公孫戍と施恩の様子を見に行くことにした。
 改めてもうひとつの降臨跡を眺めれば、何故修羅が捕食に来ないのか不思議なほどに釣り人が溢れている。
 そしてその群れの中に下野さんも見える。
 なるほど、降臨元年元日に修羅と出くわした人が居ることによって、伝説三輪氏にプレッシャーを与えてしまっているのだ。
 伝説のことは諦めなければならないのだと悟る。

 公孫戍がスピニングでキャスト可能な小型クランクベートの数数を持ち出し「釣れるかの実験」と、伝説三輪式を唱えている頃、気付けば夏侯章が下流側の岩場に佇み尻を掻いていた。
 「きっと上に居た女たちが帰ってしまったのでおかんむりなのでしょう」
 朕が笑うと、公孫戍は、
 「そうではない。立派な君似の冠に気付いた女たちが我が身分を悟り控えたのだ」
 と改めた。
 公孫戍の徳は薄いが、知は深い。
 故にその言は正鵠を射る。
 やがてクランクベートをローテーションさせているうちに、ブリッツにナマズをヒットさせていた。
 ブリッツの動きがナマズを誘ったというのは表面的な事実に過ぎない。
 真実は、聖人の徳が魚にまで及んだと見るべきである。

 17時を迎える。
 相変わらずもうひとつの降臨跡に修羅のベイトが多い。
 しかし、伝説三輪氏が警戒する下野さんがまだ居る。
 対岸から見てもわかるほどカッコ悪いキャストを指摘した人でもあるので、もうひとつの伝説もまた降りてくることを躊躇うであろう。
 ああ、一切のプレミアも見られないまま日曜日が終わってしまうのか。
 神の存在は嘘っぱちでも、伝説の存在は現実だというのに。

 陽が落ちる頃にはもうひとつの降臨跡の人影もまばらになり、入れる余地も見えるようになっていた。
 そろそろ頃合か。
 朕と施恩は新川で鍛えた本気とやらな心意気をもってもうひとつの降臨跡に向かった。

 日中はあれほど居た伝説三輪氏のベイトもすっかり消えており、鄒衍すうえん周通しゅうとうだけが残っていた。
 朕と施恩は、釣れるなら何でもですなもうひとつの伝説な心意気と共にキャストをしていたが、バイトだと確信できる反応は得られず。
 先ほどまで強烈にかかっていたプレッシャーが尾を引いているのだろう。
 そう判断するや施恩は撤退。
 「何だ、諦めるのか。おめえには根性が無え
 「オレはおめえと違ってガチじゃねえからよお
 伝説三輪式の応酬をもって別れの挨拶とした。

 施恩撤退後も朕はキャストを続けてみたが、やはり反応は得られず。
 このエリアの魚たちに伝播した恐怖はしばらく消えないのかもしれない。
 ようやく諦め、鄒衍と周通の様子を見に行く。
 彼らも釣果を諦め、明日の相羽リグの準備をしている。
 相羽リグならプレッシャーを打ち破り、ブラックが居る居ないをはっきりさせてくれることだろう。
 「そこまでして釣りてえか
 レジェンドⅠ、Ⅱ共通のライブベートフィッシングに対する意見だが、この手の輩はライブベイトを用いたところでろくに釣れやしないだろう。
 ルアーをただ水に浸けてこねくり回しているのと同様、ライブベイトもただ水に入れるだけのことだろうから。

 極度のプレッシャーと、脆弱なエリアというものを思い知らされて貧乏長屋に戻ってみれば、北狄の史進より、向こうでは手に入らないというので朕が送ってやったパワーホッグでの釣果写真が届く。
 パワーホッグのテキサスリグでカレイとホッケを釣ることが出来たとのこと。
 カレイも身が厚ければ食べ応えがあり、新鮮なホッケの塩焼きは非常に美味い。
 蝦夷地の味覚が恋しくなった朕は、春のうちに朕の生家で合流しよう、と返信した。

 ※マー語


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テーマ : プロレス
ジャンル : スポーツ

tag : ルアーフィッシング 多摩川

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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