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上善若水

 1月19日。

 穏和な土曜日。
 望みは薄くとも、捕食が見られることを期待して多摩川に向かう。
 通りから登戸を眺めた限りでは、休日ならではの人出があり、比例して釣り人の数も多いことが予測できた。
 これならば、たとえ天敵が来ていようと人の中に溶け込み、気付いていない体を装って凌ぐこともできる。自前のカバーを持たない追放者の用いる術だが、しっかりとしたカバーを持つ伝説人には無用の技巧なのかもしれない。

 韓流ポイント到着。
 手マンポイントにはナマズさんと下野さんの他、数名の釣り人。
 朕さえ来なければ、修羅はぐれ者もここで羽を伸ばせていたに違いないと思うと、少し悪いことをしてしまった気になる。
 さて、調子の方はいかがなものかと尋ねようと川岸に進んでみれば、強烈な濁り。
 雨も無いのにこの状態では…早くも終わった感に襲われる。
 毛遂、公孫戍、夏侯章とやって来るが、この有り様ではどうにもなるまい、と一様に諦めている。
 しかし、いかに釣り廃人であろうとも、こちらが望む条件の日だけを選んで行けるような生活環境にあるわけではない。
 「オレはよお、釣れなくてもフィールド立ってルアーキャストしてるだけで満足なんだよ」「もしかしたら釣れるかもしれねえじゃねえかよお!」「ミノー投げてるだけで楽しい!」と、それぞれの伝説が遺してくれた言葉のお蔭で踏みとどまることが出来ていたのだった。

 かくして、何事も起こらぬまま時間は過ぎていき、やがて、年明けには来られそうと言っていた蔡沢が現れる。
 相変わらず、健脚の説士ぶりを発揮しており、かつて韓流を北色に染めていた亡命貴公子が版図を拡げたという最新情報を聞くことができた。
 既に釣果を諦めているので、朕はただ村里の話題に興じるのみ。

 釣り廃人、バギーズベイトが次次と去って行く夕暮れ時。
 朕はハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなるぐらいどうにもならない眠気に苛まれていたが、公孫戍は「釣れるまで帰らん、お前も付き合え!」と、伝説三輪式で自らを鼓舞し、夏侯章はただハナクソをほじりながら竿をしごいていた。
 聖人というものは為さずして、しかしすべてを為しているとか。
 そして、夏侯章は、今日は誰も釣れないだろうと思われていた中、センコーでスモールマウスをキャッチする。やはり、とらえようとしても触れることのできないあの道に近い境地にあるのだ。

 聖人は功成りて処らず。
 やがて迎える終了の時。
 まるでかすりもしなかった朕と公孫戍は「おめえは一軍、オレらは二軍。そういう考えやめねえか。オレたちそもそもそういう付き合いだったか」と、伝説式の祝辞を述べ、解散とした。



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テーマ : プロレス
ジャンル : スポーツ

tag : バスフィッシング 多摩川 ルアーフィッシング

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天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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