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サブリミナルTBS

 9月22日。

 この日は夕方から用事があったため、当初はワークを休もうかと思っていた。
 しかし、世間が三連休に入った休日初日。登戸の景色を見るだけでも価値があるだろうということで、昼の時間帯の降臨跡に行くことにした。
 もしかしたら修羅がベイトを捕食しに来ることが無いとも限らないからだ。
 他人から「この前、例の三輪車が停まってましたよ」とか「この前、人にこんなことを話している人を見たのですが、あれが新川節というやつなのでしょうか」などと言われたりしたら、きっと朕はプレミアを見逃した悔しさのあまり悶絶してしまうことだろう。

 降臨跡。
 師匠の姿は無く、セニョールと二人の短パンモモヒキがルアーをキャストしていた。短パンモモヒキのうち一人は張横だった。
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!
 朕はいつでも礼儀正しい。
 それというのも伝説人の遺産があればこそである。
 修羅の涙の結晶が無ければ、せっかく知人に会っても、朕はこちらの意を上手く伝えられず、太宰先生のようにへどもどしていたに違いない。

 昼過ぎには公孫戍も現れる。
 我が君は15時に来られるとのこと。
 かくして降臨跡琵琶湖ポイントは、ヘンな臭いとヤな臭いが充満してしまった。この混合臭は釣り廃人には何も感じないようだが、バギーズベイトにはたまらない悪臭のようで人を寄せ付けない。故に、修羅に対する結界となってしまう。
 しかし欠点ばかりではない。この悪臭はイイ臭いさえも打ち消すのでメーデンのごとき怪物を寄せ付けることもないのである。
 萬物には陰と陽、表と裏、善と不善があるように、これらの悪臭も造化の働きに組み込まれているのだ。

 流れの通るところ、逆巻くところ、これらに絡む緩みでは大から小までのスモールマウスが活動する様が見られていたが、良くてもルアーを見に来るまでに止まる。
 やがて朕が撤退しなければならない時刻が迫る。
 もうひとつの伝説史官、公孫戍の携帯電話はまたしても不調だ。夏侯章を呼び出したくても呼び出せない。
 セニョールも張横も釣れていない。
 魚の顔を見ることなく、ついに15時を知らせるアラームが鳴る。

 この時ちょうど、我が主君の夏侯章が現れる。
 朕は小走りの礼で進み出て、昨日のドブシーバス釣果を奏上し、お褒めの言葉をいただいた。
 名残惜しいがいつまでも聖人の徳に浸ってもいられない。
 朕は居残る釣り廃人たちに「正解はお前らに任せた」と言って彼らの度肝を抜き、登戸を後にした。

 魚を釣りに来ているのに、始めから正解を他人任せにして何をするつもりだったのだろう。
 自分は努めて正解を求めているわけではないのだから釣れなくても仕方が無い、お前らは正解を求めていながら釣れないとは情けないな、という具合に持っていこうとしていたのだろうか。
 確かによく考えている。
 「オレが考え無しにやってると思うか」と凄みたくなるのもわかる。
 ただ、残念なことに、自然界の実相にはかすりもしないことに思考を費やしていただけで、これではいくら釣り歴が長かろうと上手くなるわけがない。
 また、他人がせっかく正解を示してやっても「シーバスにジャーク、トゥイッチは邪道」とか「西湖はポンプ小屋のところでバイブレーション引いてくるのがパターン。つまらねえ釣りだ」と、汚ねえ唾を吐くという有様。
 「お前、分裂症だろ」と吠えていたのも、自らが分裂症だったからなのかもしれない。

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テーマ : プロレス
ジャンル : スポーツ

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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