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幾カルパかの時を経て

 7月27日。

 かつて、朕が娑婆でそれなりに幸福と充実を感じていた時代、成増花和尚の紅蠍が発見した、都会の片隅にひっそりとある夢空間。
 その名を“マジドブ”といった。
 シー、ラージマウスは釣れるがロケーション的には最悪の荒川に流れ込む下水道。朕も一度行ったことがあって、その時はフッコをばらして終わった。
 あれから九年、いや十年経ったか。
 その間に朕は破綻のときを迎え、娑婆で手ひどい仕打ちの数々を受けた末、ようやく宋の漆園に辿り着いた。
 まさか再びこのマジドブに行けるようになるとは、と思うと喜びがこみ上げてくる。
 あの時と違って、今は何かと人生の終わっている朕だが、事、釣りに関してだけはあの頃より進化している。
 再び機会を得た今、必ずやいずれかのバスをキャッチしてやらんものと意気も上がる。
 意気は上がっているものの、ポイントまでの道筋は覚えていない。そこで今回も紅蠍にガイドを依頼しての釣行となった。

 「これからマジドブにシーバスをやりに行く。迎えに行くから15分で準備しろ
 伝説式脅しを決め、板橋区の二竜山に向かったが、到着まで15分どころか1時間もかかってしまった。
 母さんがいつも手ぶらじゃ駄目だと言っていたので、朕は手土産に、最高にくだらないストンコ&ドル映画と、口直しのサモハン映画を持参した。

 かくして夢のドブ到着。
 本当に汚いドブである。
 こんなところでもベイト次第で驚くような釣果を得られることは過去に証明されている。あるのはただ期待だけ。
 と、この汚い下水を眺めてみれば、成功の鍵を握るイナッコの群れが見えなかった。見えた魚は2匹の20センチ程度のボラと、ルアーには無関心のコイのみ。
 今日は条件が揃っていないのかと疑いつつも、下げ始めれば状況が変わってくるかもしれないと時間の経過を待つ。
 アライグマがこちらの様子を窺い、紅蠍はエサで浮き釣りをしている。エサの方にもアタリが無いという。

 やがて光量が落ちてきて、下げの動きが顕著になってくる。
 いよいよ新川で鍛えた本気を出すべき時。
 水面にベートの姿は見えないが、レンジが下がっているだけなのかもしれない、と集中力を保つ。
 しかしここで、決定的な事態が発生。
 近所の小学校で何故か花火大会。
 からでかい爆発音が空気を震わせ、方々から反響音が聴こえてくるほどだが、水面はまったく穏やかなもの。
 普段は魚を怯えさせてしまう迷惑な音も、今回はここには魚が居ないことを示すセンサーとなっていた。
 ベートが居ないとわかれば「もしかしたら釣れるかもしれねえじゃねえかよお!」と、泣いて根性を出すわけにもいかない。
 ここで終了である。

 かくして、長い歳月を経てようやく辿り着いた場所も不発に終わってしまった。
 しかし、今後はその気になりさえすればここへ来るのは容易である。そう思えば、釣れなかったとしても修羅のように泣いて荒れることもない。
 それでも礼儀正しい朕は「おめえがいいって言うから来てみたけどよお…釣れねえじゃねえか!」と、ガイド役の紅蠍に伝説式の礼を尽くした。

 さて、朕がガゾリンを消費して行ったバス殺しの郷、彩国でノーフィッシュに終わった夜、自転車で手軽に行ける中野島に入っていた公孫戍はというと、さらりと7匹のスモールマウスをキャッチしていたのだった。
 明るいうちに釣果を得られるならば、ノーフィッシュを免れたという安心感は得られるが、実際に実入りが多いのは夜になってからの釣果である。
 世間でもいう。
 歴史は夜作られる、と。
 この漆園も、隔世を美徳と謳いながら、世間とは地続きであるため、その習いに準ずることも時にはあるのだ。

 ※マー語

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テーマ : プロレス
ジャンル : スポーツ

tag : ルアーフィッシング シーバスフィッシング バスフィッシング

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天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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