乞食浴場へようこそ

 5月18日。

 この日、ザ・タックルボックスでセントクロイ・トライアンフ7フィートミデイアムのスピニングロッドを買う。その気になればいつでも行けるようになったシーバスに備えてのことだが、まずは今日多摩川で使ってみることにする。
 いうまでもなく「今日はトライアンフが多摩川で釣れるかの実験」と唱えることは忘れない。これによって、譬えボーズに終わったとしても自分がヘボいためではない思い込める伝説式保険になるからだ。
 貴い己を守るための技巧において、三輪氏を上回る者は無いだろう。もし誤魔化しきれなければ泣きキレという飛び道具だってある。
 恐れるものは何も無い。

 今回選んだポイントは堰下狛江側。
 追放者の浴場は、窟から徒歩20分はあろうかという距離にある。
 炎暑の折にはいくらここで体を洗っても、窟に戻る頃にはすっかり汗臭くなっていることだろう。
 そうしてまでひとかどの人物を装うのは、伝説諸氏とはまた違った形の“オレは負けてねえ”アピールなのかもしれない。
 これこそが、磁場から発するエーテルの為せる業というものか。

 堰下にはサイズの小さな無数のアユ、口にルアーのついた大きなライギョ、Bフォロワーを追うコイ、フェイキードッグにバイトするペケニシモなスモールマウスを見る。
 雲に覆われた光量の少ない日ではあったが、昼間の時間帯は厳しいのか。
 対岸に李立が見える。
 朕は対岸からでもわかる格好悪いキャストをしてみたが、気付いた様子はなく、数投のうちにどこかへ移動してしまった。
 川の様子を観察しながら徒歩可能可能範囲を見て歩き、魚食魚が足を止めそうな場所、通りそうな場所の予測を立てているうちに17時の鐘が鳴り、気付けば対岸で素晴らしい現象が起こっていた。朕は足早にポイントを去った李立を惜しんだ。
 朕は喜色を浮かべながらポイントを上下する。
 様々なベートをローテーションした中でこの日最も反応の良かったフェイキードッグを引いていたところ、猛烈なチェイスと強烈なストライクを得る。
 アユに狂った巨ゴイかと思い、割とぞんざいなファイトをしていたが、寄せてみればライギョであることが判明。
 スモールマウスやナマズを釣ろうとしてコイやニゴイが釣れることはあっても、ライギョが釣れるなんてことは考えてもいなかったことだ。
 何はともあれ、朕も降臨二年の達成者に名を列ねることが出来たことを喜ぶ。
 日没後にはナマズの徘徊も見えるようになり、二度のバイトを得るがフッキングにまでには至らず。
 残念だったのは釣れなかったことより、「アタったとかバレたとか、そんな話は聞きたくねーんだよ!」というお声がかからなかったことである。
 或いは距離を隔てていたことと、暗かったことにより見えていなかっただけなのかもしれない。
 かくして釣れるかの実験が成功した上に、香ばしい風も吹いたことにより、喜びに満たされての納竿となった。








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ジャンル : スポーツ

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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