南面の魔女

 3月17日。

 先日、朕と李立が、伝説三輪氏ばりに「多摩川はもう飽きた」と、無様に逃げ帰った夜、同じく釣り廃人侯嬴こうえいは夜からスタートし、ジャークベートでスモールマウスをキャッチしていた。
 9センチミノーで釣っていたなら、このクラスのジャークベイトにひとかたならぬこだわりを持つ伝説アナザー氏の不興を買っていただろうが、11センチのレイダウンミノーでの釣果だというので謗りを受ける恐れは無い。
 勿論、朕は「オレはおめえと違ってガチじゃねえからよお」と、伝説式でその功を称えることは忘れなかった。

 迎えた当日。
 この日は土曜日。
 かつて登戸を愉快に彩った二大伝説はその消息をくらませたまま。韓流ポイントは日中、貴公子訪韓のため平民の進入は憚られるようになっている。寒も戻っているので、いさんで出かけようという気にならない。
 ということで、草庵に戻る前にザ・タックルボックスに、先日注文したUSAシマノのロッドとズーム・ファットアルバートグラブを引き取りに行くことにした。
 商品購入後、ゆるりと自宅に戻り、「今日はUSAシマノのCLARUSが釣れるかの実験」と、伝説式保険も用意できたところで多摩川に向かった。

 どうせ韓流は北の領地になっているだろうから、と降臨跡に入る。
 既に、公孫戍、夏侯章、ナマズさんが居り、固まって何やら話し込んでいる。
 朕は「おしゃべりしてないで釣りしなよ!」と、金切り声を発して挨拶とした。
 ナマズさんに約束していたファットアルバートグラブを渡し、ひとまず「今日のオレの仕事は終了」である。
 風はこちら側に吹き付けており、流れもあるが魚の気配を感じられない。
 良い潮回りなのにこの有様とは、冷え込みの影響か、水門工事の影響か。
 こんな時は韓流手マンポイントの様子を見てみたいところだが、ここからは見えずとも他国領になっているから行ったところで無駄だろう、と、ここで半ば諦めのキャストを続けることにした。
 すると、ナマズさんがついでに見てくるよ、と足労を買って出る。
 年長者の気遣いに、朕と公孫戍は恐れ入っていたが、至人の夏侯章は意に介さず、独りテトラ帯でハナクソをほじくりながらシコっていた。
 「魚居ねえ」
 ナマズさんが戻ってくる。
 手マンに人は居るが、貴公子は不在だったという。
 更に、我々に接風酒を振舞い、ぎすぎすした釣り人の心を和らげた。
 一服、一手間の時間を授けてくれたナマズさんに礼を言い、主従は韓流ポイントに向かった。

 移動の道中、夏侯章が「あ、乞食居た」という。
 「章子しょうし、乞食は放送禁止用語ですぞ」と、朕は笑ったが、歩を進めていくうちに、土手に顔を布で覆って寝ている追放者が居た。
 身を隠す自前のカバーが無い以上、日中のプレッシャーは避けられない。ならば自分が外を見ないようにすればいいと考えたのだろうか。そうすれば、かつてのベイトの群れが通ってもプレッシャーとならずに済む。
 朕は追放者なりの知恵に感心した。

 手マンポイント入り。
 蔡沢のほかに、先日朕が講釈を垂れた若者が居り、対岸には下野さんが見える。
 若者に「どうですか?」と尋ねたところ、「今来たばっか」との返答。
 なかなかのやり手だ。
 蔡沢に「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と伝説三輪ギレしたところ、今日は本当にポイント独り占め状態だったとのこと。
 まだ釣れていないというので、ここが駄目だったら堰下にマルタを狙いに行けばいいさ、と堰下エリアを一望してみれば、少なくとも4,5人の釣り人。
 期間限定の釣りだけに相変わらずマルタ人気は高い。バスが駄目だったからといって逃げるところは無いと知る。
 マルタのために壊れても惜しくないリップレスクランクも用意していたが、使う機会は無さそうだ。
 ドブ臭のしない濁りが発生していたのでいけそうな気もしたが、バス釣りは不調で、ウルティモペケニシモが釣れるのみ。
 とりあえず「USAシマノのロッドが釣れるかの実験」は成功だが、春は進行しているはずなのに平均的なバスの状態がどうなっているのかがまったく判断できず、内容的には完敗だった。
 かと思えば、波立つシャローフラットにX70をキャストしていた蔡沢が30前後のスモールマウスをキャッチ。
 エリアはここで良いのか、釣り方の問題だけか、と、あれこれやっていたが、そこから進展の無いまま蔡沢が撤退。

 ケーポップに入っていた公孫戍と夏侯章もウルティモペケニシモを一匹ずつキャッチするのみ。
 これ以上粘っても無駄であろうという結論に達し、ではそろそろ僕たちは今恋をしているコンビニで寛ごうかという話になるが、我らが主君が体調不良のため断念し、ここで解散となった。
 






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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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