正男幇

 2月25日。

 土曜日の釣り廃人たちの宴の報が届く。
 公孫戍こうそんじゅがスモールマウスを得ていた。
 この日、娑婆にその身があった朕は「オレにかまうな、上手い連中と仲良くやってくれ」と、泣きの伝説三輪式で返信。
 降臨跡、韓流ポイントは週末らしい賑わいを見せていたようだが、新川節という捕食音は聞こえなかったとのこと。
 朕は、かつての主宰者が餓えに苦しんでいやしないかと心配した。

 迎えた当日。
 帰宅時、ハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなるぐらいどうにもならない眠気に苛まれていたが、釣り廃人として気力を奮い立たせ、多摩川に向かった。
 と、出かけようとしたところ、侯嬴こうえいよりメール着信。
 先日の施恩に続けとばかりに侯嬴も落水したとのこと。
 どうやら釣り廃人の間では沐浴が流行のようだ。愛着するフィールドの水温を肌で確かめたかった、とは落水者共通の弁。
 熱心にも程があるというものだ。

 現在は降臨跡よりも韓流ポイントの方が何かと魚を寄せる要素が多いので、韓流ポイントに入る。
 と、手マンポイントは先週に引き続き不動の一団…。
 対岸側には下野さんが居たので、対岸側に入ることにする。

 下野さんに忍び寄り、
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!
 と、一喝。
 礼を重んじる朕は、たとえ主宰者が長期不在であっても伝説式をおろそかにはしない。
 「で、おめえさん釣れてるのか?」と、伝説三輪式で尋ねてみたところ、シンキングのプロップベイトで一匹釣れたとのこと。
 歩ける範囲は狭いが一通り観察してみる。
 魚の寄りそうな変化は十分あり、雰囲気は良い。
 風向きは逆に思えるが、流れが絡んでいるのでこちらにもチャンスはあるかもしれない。流れの通るところはニ、三匹の巨ゴイが徘徊している。
 手マンに入れなかったナマズさんもこちらにやって来る。
 登戸エリアは今日も往年のバスバブル期を思わせる釣り人の数だ。
 この日、もし降臨があったなら、伝説三輪氏は思う存分捕食活動が出来たことだろう。釣り廃人たちはこのエリアの上端と下端に居て、中間の広い範囲はベイトのみで天敵の居ない状態が出来ていたのだから。
 手マン対岸では結局、ワンダーに一度バイトが出たのみだった。
 夕刻に入り、手マンで釣れているのが見える。やはり現状で魚が寄るのはあの一帯なのだ。
 お手上げである。
 ここではどうにもならない、と途方に暮れているところに、降臨跡に入っている公孫戍より40アップが釣れたとの報。
 証拠写真も添えれていたので、僻んでやることができず。
 しかし、朕は思うように釣りができずフラストレーションが溜まっていたので、レジェンドⅡのように怒気を含んだ涙目で「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と、返信してやることができた。

 ナマズさんが撤退。
 日没後、しばらく経って手マンが空いたので移動。

 先ほどまで叩かれまくっていた手マンだが、また別の個体群が来るだろう、と一流し。反応を得られなかったのでケーポップに入り、蝦採りに精を出すことにした。
 波立つ水面が蝦の発見を遅らせ、一匹捕らえるのにも難儀する。
 脇目も振らず蝦採りに興じていると「なぁーにやってんの!?」と、アナザー式金切り声。
 公孫戍と夏侯章かこうしょうだった。
 採れた蝦はわずか三匹といったところだが、使う時に必要な分だけあればじゅうぶんだということで、朕もルアーフィッシングを再開することにする。

 しかし、序盤に挫かれた意気は戻らず、すぐに飽きて仲間に油を売りにいくことにする。
 「ホイッ!」
 暗闇から聞こえてくる夏侯章の声。
 エスパー伊藤の物真似だというが、雑さ加減にもほどがある。これも聖人が発する卮言のひとつなのだろうか。
 駆け寄ってみれば40以上45未満といったナイスサイズ。
 主君の徳を称える朕であったが、これをしても意気は上がらず。
 所在無く過ごしていると、程なくして公孫戍がバイトを捉えていた。
 40には届かないものの納得できるサイズ。
 釣れていない者が「ああ、そのサイズかあ」と、唾を吐きかけることは忘れない。

 寒さが辛くなってきたことと、20時が近いということで僕たちは今恋をしているコンビニへ。
 聖人の日ごと口を衝いて出ずる卮言に心打たれながら、伝説式疾駆を待っていたが、今日も肩透かし。
 ナイスバスを得て満足できた公孫戍と夏侯章に伝説三輪式で咬みとぅくべき時であったが、最後まで序盤に挫かれた心が尾を引いていた朕は咬みとぅく気力も起こらず、解散後、とぼとぼと家路に就くことになってしまった。


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ジャンル : スポーツ

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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