脱北

 2月18日。

 昨日の多摩川は「こんな向かい風の中、まともにキャストなんかできるわけねえだろ!」というほどの強風が吹いており、対岸から見てもわかるほどカッコ悪いキャストをしても狙いのラインを引いてくることが出来ず難儀したとのことだが公孫戍こうそんじゅはしっかりスモールマウスをキャッチしていた。
 明日はらーめんはうすでの小宴が控えている。
 伝説式で咬みとぅくのはそれからでよかろう。

 かくして迎えた当日。
 温かさは感じないが晴天。
 北からの風が時折強く吹く。
 登戸エリアは全域でバスが釣れているが、構成上最も有力なポイントは現在韓流手マンポイントである。
 実はもっと有力な場所があるのかもしれないが、侯嬴こうえい島から韓流までを見てきた限りでは、水温が上がるまで韓流ポイントで良いだろう。特に川上側から風が吹いている時はここしか無いのでは、と思うほどである。
 既に侯嬴が降臨跡に入ったとの報を受けるが、まずは釣れ易い条件を備えた場所を打ってみたい。

 韓流ポイント入り。
 下野さんと何人かの釣り人が見える。
 とりあえず手マンに入ってみたが、狙いのゾーンはいつまで経っても打てそうもなく、外れた場所で粘っても無駄であろう、ということで侯嬴の居る降臨跡へ移動。
 移動しようとしたところ蔡沢がふらりとやって来る。
 このところの様子と現状を話し合い、満足に攻められるポイントが無いのなら、と蔡沢は調布の様子を見に行くと言ってキャストすることなく立ち去っていった。
 この身の軽さは、称賛に値する。朕と同年代とはとても思えない。

 降臨跡。
 侯嬴、公孫戍、夏侯章かこうしょうの他にも、李俊といった釣り廃人が居たので「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と、伝説三輪式で到着を知らせた。
 ここも釣り人は多いが、手マンポイントほどひどくはない。
 程なくして、調布に行っていた蔡沢がやって来る。向こうは人が多すぎて釣りにならないとのこと。
 どうやらバスが釣れるといわれる場所はいずこも“冬の週末激タフリバー”になっているようだ。
 ということは、三輪氏も登戸エリアさえ避ければかつてのように捕食を行えるのではないか。或いは、既にそのことに気付いている三輪氏は今も多摩川流域のどこかで新川節を謳っているのかもしれない。

 今日の降臨跡は、条件的に韓流に比べ不利である。
 それでもまったく駄目かというとそうでもなく、李俊が40あるかないかというナイスサイズを足元でばらしたり、釣り上げたバスを長い時間こねくり回した挙句リリースしている釣り人も見えた。
 とはいえ、単発の反応はあったとしても、やはり正解からは離れたエリアであるという気配が濃厚であった。
 そんな訳で、まだ夕刻に入ったばかりではあったが、北風が冷たく、釣れる気もしなかったことにより、朕、侯嬴、公孫戍、夏侯章の四人は一足先に釣りという低レベルな競争から卒業することにした。

 らーめんはうすに向かう道中。
 時刻は17時を少し過ぎた頃だろうか。
 かつてのベイトであった釣り廃人たちは普段、各々のポイントに散っている時間帯である。そう思って安心しきっていたのか、開放された窟の中で羽を伸ばしていた追放者に緊張感が走っている様子が見えた。
 不意にナマズさんから電話着信。
 今日は釣りに来られないはずだが…。
 電話に出てみれば、時間がちょっと出来たので様子を見にきているという。朕が立替で買ってくると言っていたセントクロイの代金を持っていくからそこに居てくれとのこと。
 すぐにナマズさんはやってきて、金を受け取る。
 ここではからずも公孫戍とナマズさんによる、らーめんはうすヒストリーが語られた。小さな街での、大きなサクセスストーリーとでもいうべきもので、禍福の潜むところ孰か知る、といったところか。

 らーめんはうす入店。
 地元の繁盛店。
 工業製品、できあいの食品を提供するだけの場となってしまったファミレスなるファミリーレストランが伸している現代にあって、料理人が調理したものを提供する、今や貴重となった大型食堂である。
 朕が幼少期を過ごした地方都市では、まさにこういった食堂こそがファミリーレストランであった。
 昭和の香りが心地よいこの店で、おビール片手に釣れなかった悔しさも忘れて過ごしていたが、人気店だけに次から次と客がやって来る。
 我々は客であるとはいえいつまでも占拠しているわけにもいくまい、ということで次回の合流を楽しみにしての解散となった。


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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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