不閉扉

 1月20日。

 晴れた穏やかな土曜日。
 伝説三輪氏が捕食を行うのに最適の日だ。
 この名物的光景を再び見てみたいとは思うが、生き物はプレッシャーが掛かればカバーに拠ってしまうのが相場である。
 期待を抱きつつも半ば諦めての登戸入り。

 窟の扉は開かれており、追放者は不在。登戸名物の三輪車も見当たらない。
 川岸を見渡せば多くの釣り人。
 オペラ座下に蔡沢さいたくを発見。
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!
 朕は一年と十九日も不在の修羅に代わって吠えてやった。
 昨日の状況を伝え、他に釣り廃人も見当たらなかったので、ライブベートを保管してある韓流ポイントに向かった。

 韓流手マンポイントには下野さん。
 今日はバイトを得ることは出来たがキャッチまでには至らなかったとのこと。
 朕は待ってましたとばかりに「アタったとかバレたとか、そんな話は聞きたくねーんだよ!」と、アナザー式にブチキレてやった。
 “アタったとかバレたとか…”に惑わされずに済ますには何といっても相羽リグだ。
 相羽リグを始める頃、蔡沢も手マンポイントにやって来て、早々にストライクを得ていた。
 しかし「アタったとかバレたとか、そんな話は聞きたくねーんだよ!」とキレられるのみ。
 やがて、久しぶりとなる巻物師、毛遂もうすいが現れる。
 相羽リグの話しをしたところ、毛遂は昨年、蝦を使わせてもらったことがあるとのとことで、その威力に驚愕し、しばらくルアーフィッシングが馬鹿らしくて出来なくなったという。
 “アタったとかバレたとか…”はあったものの相羽リグは好調で、短時間のうちに40少々を含む三匹のスモールマウスをキャッチし、餌釣りには満足できたので、ルアーで釣りたいという意欲が湧いてくる。
 蔡沢はキャロライナリグ、毛遂は小型プラグを引いていたので、朕は間で遠方にはマニック、足元のカバー周りにはスプリットショットリグをキャストし、それぞれバスの反応を待っていた。
 そこへ手ぶらのナマズさんがやってくる。
 今日は釣りをする時間は取れなかったが、様子が気になったので見に来たとのこと。完全な釣り廃人である。これではもう三輪氏のベイトにはなるまい。
 蔡沢が「ひとまずキャロで釣って、TDポッパーゼロが釣れるかの実験をしたかったのに」と嘆くほど反応を得られないという。
 毛遂の方はというとやはり反応を得られていないとのこと。
 ならばやってみようか相羽リグ。
 再び相羽リグをキャストしたところ、早々にストライクを得る。
 「かくもルアーとは釣れないものか」
 「いや、我々がヘボいだけでやり方がまずいだけのことだ」
 などと口々に言い合い、下野さんはポイント移動、ナマズさんは撤退。

 時は経ち、陽が沈む頃、毛遂は完敗宣言して撤退。
 「おめえはそれで悔しくねえのか
 と言って送り出すのが伝説の地での礼儀ではあるが、毛遂は趙から来た外国人である。この地の礼を用いたところで意は伝わるまい、と控えた。
 やがて蔡沢も納竿を始めたので、これを機に朕も釣りを止め、今日使った分の蝦の補充をすることにした。
 しばらく蔡沢は見学していたが、あまりにも原始的な捕獲の現場を知り、相羽リグへの挑戦に躊躇いが生じたかのようだった。
 どうにか飛距離を出せるトレーラーを五匹揃えたところで蝦採りは終了。
 残った時間をルーフィッシングに費やし、何事も起こらぬまま20時を迎える。

 さて、帰ろうかと駐輪場に戻ってみれば20時を過ぎているにもかかわらず、窟の耐寒扉は開いたままで追放者は不在。
 宿無し生活から脱出できたのだろうか。
 結局今日は公孫戍こうそんじゅは来れなかったのだろうか…と、川岸には夏侯章かこうしょうの姿。
 君主様に様子を伺ってみたところ「アタったけど釣れねえ」との仰せ。
 いよいよ呪いも解けたようで、普段通りの卮言が出るようになっていた。
 喜ばしいことではあるが、先日の一件で、夏侯章は道に近いところには在るけれども、まだ蠍の一刺しで倒れる脆さがあることが判明してしまった。本人もびっくりしたようである。
 上流側から公孫戍が現れる。
 先ほどまで侯嬴こうえいとささやかな同窓会を楽しんでいたとのこと。
 今日はセニョール、張横といった釣り廃人も来ていたとか。
 上にも下にも釣り廃人だらけでは相当なプレッシャーであろう。追放者が棲家に戻れないのも無理はない。
 
 して、実釣のほうはというとアタったとかバレとかそんな話に止まっている。
 ベートの波紋、地形に絡む流れの存在。魚が寄る条件は揃っているのだが。
 いかに食わせのワームでも、所詮ルアーでは厳しいのか。
 20時を過ぎてから時間が経っている。そろそろ帰ろうか、と諦めムードが覆う中、公孫戍がバイトを捉える。
 どうにかルアーでの釣果を見ることができた。
 そういうことならまだチャンスはあろう、と更に粘り続けるも遂に22時を迎えてしまう。
 いかに釣り廃人だとて、これ以上集中力を保つのは困難であった。
 この時間まできてしまっては僕たちは今恋をしているコンビニでくつろいでいる暇は無い。
 明日の予定などを話し合い、耐寒扉が開放されたままの窟の前で解散とした。
 これでようやく追放者も棲家に帰れることだろう。

 ※マー語









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tag : ルアーフィッシング 多摩川

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