それぞれのカバー

 1月16日。

 温和な冬の日。
 今日はフルアーマーガンダム程度の装備で間に合いそうだ。
 しかし平日である。
 ベイトとなる釣り人はそれなりに訪れるだろうが、修羅がベイトを捕食するシーンは諦めなければならない。
 見たいものが見られなくとも、釣り廃人として新川で鍛えた本気を実釣をもって示すべきであろう。

 登戸に到着したところ、窟の扉は開かれていたが追放者は不在。
 平日でも新川で鍛えた本気を実釣をもって示さんとする釣り廃人は何人か居て、降臨跡には侯嬴こうえいの姿があった。
 侯嬴は昨年、圧倒的な数のナマズを釣り、ライギョまで得た達成者。そのような者に並みの礼で当るのは失礼に値する。そこで朕は侯嬴が手を振っても無視し、じわじわと近付き、十分なためを作ってから「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と、伝説式で吠えてやった。
 先ほどまで李俊が来ており、二匹のスモールマウスを釣って帰っていったという。
 ああ、伝説式にキレてやることが出来ず残念だと思っていたが、侯嬴はアタリらしき反応を一度得ていたが釣れなかったというので「アタったとかバレたとか、そんな話は聞きたくねーんだよ!」とキレることができた。
 さて、礼を尽くすこともできたことだし、ここはスプリットショットリグかアンダーショットリグでじっくりいこうかとバッグを見たところライトリグ用のフックとシンカーを忘れてきたことが発覚。
 明らかに自分の落ち度だが、その怒りを他人にぶちまけることが出来るのがレジェンドたちの特質である。
 いかに世間に唾吐く朕であっても、さすがにそんな恥ずかしい真似はできない。
 一度家に戻り再びの登戸入り。
 この間に何かあったかといえば、特に何もなかったとのこと。
 流れははっきりとあり、しかもライトリグでボトムを取りづらいというほどでもない。
 ただ、流れの中に硬い感触でコンタクトするものを見つけられず、集中力が続かなかった。
 風は3~4メートルの南からの風という予報だったが、ほぼ無風。ヤフー天気予報の風予報はあまり当てにならない。
 今は流れだけを追ったほうがよさそうだ。
 ということで、朕は侯嬴に別れを告げ、韓流ポイントへ向かった。

 韓流ポイントにはナマズさん。
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!
 程なくして蔡沢も現れる。
 足元付近を30台、40台のスモールマウス、40台のラージマウスを見るがルアーには反応が出ず。相羽リグを準備しておかなかったことを後悔する。
 にわかに温かくなったことが魚をシャローに寄せたのだろう。蔡沢はバス以外にもライギョも見たという。

 シャローに隣接する流れの筋までキャロライナリグを打っていた蔡沢が「アタった…抜けた」と言う。
 いうまでもなく「アタったとかバレたとか、そんな話は聞きたくねーんだよ!」だ。
 レジェンドルーチンはともかくとして、魚が岸側に寄っているのは間違いない。
 バイトらしき感触もある。
 そして遂に蔡沢がフッキングに至らしめていた。
 2インチのバルキーホッグ。
 寸は短いが、ごてごてとパーツが付き、ソフトプラスチックとしてはうるさいほうである。
 うるさいソフトプラスチックはソリッドな形状のものに比べるとバイトが少ないという印象だが、小さいものならうるさい形状のほうが良いのかもしれない。
 ルアーの強い弱いの感覚は、時と場合によって常に変わるのではっきりとした線引きが出来るものではないが、ベイト選択の際は常に考えることだ。
 魚が来ているのは間違いなく、その後日没までにバイトはボトムにもトップにも出たが、結局、朕も蔡沢も「アタったとかバレたとか、そんな話は聞きたくねーんだよ!」から先へは進めず、蔡沢の撤退後、朕も納竿とした。

 魚の写真は撮れたが、朕自身が得たものではない。
 しかも無邪気にバスを見て喜ぶだけで、釣果を得た者に対する伝説式の礼を忘れてしまった。
 わずかな後悔と物足りなさを覚えて駐輪場に戻ってみれば、窟の耐寒扉は閉じられていた。
 マイグレーション、そしてサンクチュアリへといったところであろうか。



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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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