宋襄の仁

 12月30日。

 昨日捕獲したベートは童威が管理しているとの報が入る。
 盗られる恐れがあるらしい。あんな物盗む者など居るのだろうか、とも思ったがせっかくの申し出。断る理由もない。
 走り使いにするのも悪いので褒賞を用意せねばなるまい。

 昼過ぎに登戸入り。
 すぐに童威は見つかった。
 小泉シークレットの守人をしてくれた礼として、朕は使えるジャークベート、リッジ90Fを進呈した。
 降臨跡にはセニョール、張横、侯嬴こうえいが居たが、彼らへの挨拶は後に回し、早速朕は相羽リグを投入。
 キャストした後は根掛りに注意しながら抛っておくだけだが、なかなか反応を得られない。
 ベイト自体が動くので、付近に魚が居れば早い段階で反応を得られる様子を今年の初めに何度も見せれられてきた。
 すぐに反応を得られなければ次の候補地に移動だ。
 挨拶がてら、セニョール、張横、侯嬴に相羽リグを見せびらかし反応を待つ。
 しかし、朕もミミズ釣り師も反応を得られないまま時間が経過。
 エリア違いであろうかと思われたので、オペラ座下に移動してみることにする。

 オペラ座下でも反応を得られず。
 相羽メソッドの魔力を信じる朕は、バッカンを持っての移動も厭わず、この時期最も魚影が濃いと思われる韓流ポイントに向かった。

 韓流ポイントに入ろうとしたところ、公孫戍と童威が移動しようとしている最中だったが、相羽メソッドの実際を見てみたいということで韓流ポイントに留まることになった。
 水深やカバーのことを考えれば、手マンの方が餌釣りはやり易いが、今日は伝説三輪氏が居たなら狂喜乱舞しそうなほどのベイトの数。手マンには入れず、とりあえず空きのあるケーポップでやってみることにする。
 しばらくして施恩がやって来る。
 今日、バンキッシュとデプスロッド他諸々を買い、10万以上の散財をしてきたという。
 バンキッシュほどのリールでも、修羅にいわせればハンドルのがたつきが気になる、駄目なリールであり、ステラでなければ納得出来ないクオリティだとのこと。
 レジェンドⅡがギヤの精度を気にしなければならないほど、高度・緻密な釣りをしていたはずはないのだが、当時、施恩に泣かされていながらも負けていない体を装うにはそれぐらい手の込んだ言い訳が必要だったのである。
 “大人の対応をしてやった”と嘯きながら、当時高校生だったガキと本気でやりあい、しかも返り討ちに遭ったという逸話は今でも語り種となっている。
 施恩は相羽リグを置き竿にし、その付近にアラバマリグを通すというガチっぷり。これには伝説人ならずとも「そこまでして釣りてえか」と言わねばなるまい。
 相羽リグ、アラバマリグ、カットテール、イモ、スティッコーとそれぞれに持てる手を尽くしてがむばっていたが、結局韓流ポイントでは誰も反応を得られず、再び降臨跡、オペラ座下へ。

 降臨跡。
 ルアー組はまったく駄目だったが、ミミズ釣り師がバスをキャッチしていた。
 このエリアは外れだと思って蝦を韓流ポイントに置いてきたことを後悔する朕であった。
 「無くて後悔するよりも、あって邪魔なほうが良い」という、自ら立てた信条を守らなかったがための報いだ。
 ルアーは誰も釣れていないこと、陽も翳ってきたことにより、朕は一足先に韓流ポイントに向かう。
 小田急下に釣り人ではない防寒着を着込んだ人が居たので何をしているのだろうと見てみれば追放者。窟の棲み心地を聞いてみたいところであったが、すぐに何処かへ立ち去って行った。

 韓流ポイントに入ってみればナマズさん。
 勿論「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」である。
 アタリはあったが、フッキングする前に放されてしまったというので「アタったとかバレたとかそんな話は聞きたくねーんだよ!」とブチキレて同情の意を表した。

 ナマズさんが撤退し、公孫戍、童威、夏侯章が韓流ポイントに戻ってきた。
 降臨跡では公孫戍と施恩がそこそこサイズ、ナイスサイズをばらしてしまったというので、ここでも「アタったとかバレたとかそんな話は聞きたくねーんだよ!」と、アナザー式で気遣う朕だった。
 日没後も粘り続けること一時間強。
 誰も反応を得られない。
 施恩が「おめえがいいって言うから来てみたけどよお、釣れねえじゃねえか!」と伝説三輪するので、朕は低水温安定期に有効となるシャローでのトップウォーターの話をしてやった。
 その話を聞くや、「じゃあ、アラバマリグで釣れるかの実験」と伝説式と共にアラバマリグを投入する施恩。
 僅か数投でバイトを得るもバラし。
 「アタったとかバレたとかそんな話は聞きたくねーんだよ!」ではあるが、これはいけるか、と更に数投。
 強烈に根掛からせていた。五千円したんだよ、と必死の施恩。ならば、と朕は巻いていた手を止め、救助に駆けつける。
 しかし、アラバマリグばかりか、朕が巻いていたCD5もロスト。
 無駄な損失、徒となった義侠心。
 施恩はここで意気消沈しながら「オレはおめえらと違ってガチじゃねえからよお」と伝説三輪して撤退。
 施恩の撤退後、アラバマリグを通していた一帯に朕がマニックで流してみたところペケニシモなスモールマウスがバイト。
 とにかく誌面を飾る写真が欲しいので必死である。
 どれどれと夏侯章と童威が見にやってきたが、足元でばれる。
 「アタったとかバレたとかそんな話は聞きたくねーんだよ!」とキレられる。
 今日は何度この言葉が行き交ったことだろう。
 
 ブラックが釣れないのならライブベートの捕獲に専念しようとしたが、風の影響もあって、見える蝦が少なく断念。
 明日は朝からバイトがあるとのことで童威も撤退。
 その後も粘りに粘ってみたものの結局全員ボーズで納竿となる。

 「メシなんか食ってられるような状況か?」と凄むべき場面ではあるが、我々は僕たちは今恋をしているコンビニで伝説式疾駆を見て、ぎすぎす感を和らげようと試みる。
 今日は我らの君主にいつもの冴えが無い。
 釣りをする前に他所へ行き、聖人の徳を食い物にしようとする小人たちに群がられ、本来君子が得るべき陰の恵みを得られなかったがためにうち沈んでいたのだった。
 朕は聖人がないがしろにされる世を恨み「こんな天下無道の世にあっては、テロや戦争がおこるのもやむなしなのでしょうな」と毒づいた。
 いつもならこのような過激な発言をすればなだめにかかる温厚な君子も、今日は力なく笑うのみだった。
 
 
 


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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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