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冷面歯抜

 12月22日。

 明日は、仲間や見知らぬ人々など、多くの釣り廃人多摩川を訪れることだろう。
 伝説降臨、猫肉骨粉問題といった余興を愉しみ、釣りを楽しむ贅沢な週末が待っている。

 今日はこれといったプレミアの期待できない平日。
 時には冒険心を発揮してみようか、と水が落ち着いてから行っていない登戸の堰下エリアに入ってみることにした。
 或いは、以前ここで、対岸からでもわかるほどに特徴的なキャスティングを見たことがあるので、再び見られるなんてこともあるかもしれない。
 全体的に水深が浅く、ポイントは太い流れとそれに絡む変化に集約されるエリアだというのが従来の堰下エリアの印象だったが、現在はどうか。
 また、ライトリグの釣りだけではこちらの気持ちが倦んでしまうので、明るいうちは堰下エリアを巻き倒してやろうと、キャスティングタックルとスピニングタックルのトゥータックルを持って出発。

 現地入りしてみると、台風前は狛江側に落ちていた支流が川崎側に落ちるようになっており、以前から川崎側に落ちていた支流の合流点がより下流側に移っていた。
 この光景を見て、来年のマルタ釣りへの想像が膨らむ。
 意外にも多摩川のマルタファンは多いので、ポイントが分散されるのは好ましいことである。
 地形の激変は予定、予測の組み直しという面倒はあるが、自然の世界は人為という妨害さえ無ければおのずから収まるべきところに収まるもの。そこに法則を見出し、読むという楽しみ方もできる。
 しかし、無為自然を軽んじる文明開化の弊害が社会の至る所に現れている現代ではそうもいかないのだろうな、と悲観的な気持ちになってしまう。
 川辺に下りると、何度か挨拶を交わしたことのあるコイ釣り師のじいさんが居た。
 台風以降釣果から遠ざかり、より良い場所を求めて流浪の身だとのこと。
 狙う魚は違っているが、フィールド環境の移り変わりの話が出来る釣り人との話は、全体を知る手助けとなるありがたいものだ。
 コイはちらほらと見えるが、他の魚種は一切見えない。
 台風前同様、全体的に水深は浅い。
 ベートフィッシュの姿、波紋は見えないが実際はどうなのか。
 川幅が狭いところはBフォロワー、広いところはワンダーという具合に流していたところ、ワンダーを追う魚影を確認。
 このエリアの感じからいけば追っているのはニゴイか、と思ったが40はありそうな二匹のスモールマウスが追っていた。しかし、追うだけで食わず、これは無理な魚だと捨てる。
 少し間を置いて、間違いなく40は行っているラージマウスが手前側を泳いでいくのが見える。視界から消えるまでやり過ごし、泳いで行ったであろう方向に向かってキャストしてみたが何事も起こらず。
 それにしてもまったく小魚の姿が見えない。
 フラットな川底に、カバーといえば護岸の岩だけ。これといった遮蔽物のない一帯だっただけに、あの直線的な激流でほとんどの魚が流し出されてしまったようだ。
 先ほど見えたバスたちも、もともとこのエリアを拠点にしていた個体ではなく、大増水の時に流されてきた個体なのかもしれない。
 このエリアはありなのか無しなのか、虫の羽化が始まってから判断を下そう、と時間の経過を待つ。
 夕刻が近付き羽化が顕著化してくる、が、ライズは見られず。
 ここはマルタが遡上し、生命が満ちてくる来春まで手出し無用かもしれない、ということで堰上に移動。

 韓流ポイントに入ってみれば、手マン側からいい匂いが漂ってくる。
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」は欠かさない。
 今日、童威は二回バイトを得たが釣れなかったとのこと。
 勿論「アタったとかバレたとか、そんな話は聞きたくねーんだよ!」である。
 黙っていれば罵られずに済むものを、わざわざ誘い水をよこすとは、童威もだいぶん伝説式を心得てきたということか。
 手マンポイントの流れは緩かった。
 例えここに今バスが居たとしても、技を持たぬ朕には無理だろう。
 ということで、流れを求め上流側へ。

 オペラ座下。
 こちらははっきりとした流れを感じ取れ、ベートの波紋が数多く水面に見えていた。
 この流れの中でボトムをスローに引いて来れない朕は、童威に「正解はお前に任せた」と、探りを童威に預けた。
 この流れの中で、目に見えない釣れる要素をライトリグで探り当てるのは無理だ。見つけるにはキャロライナリグで攫ってみる必要がありそうだ。
 朕はろくにキャストもせず、水面の様子を見ているばかりであった。
 童威も、反応を得られない、と釣りの手を休めている。
 この場所にこれだけ流れがあるのだから、流れの終着点になる韓流ポイントのどこかに流れを受け止めている所があり、そこから流れは魚道に向かうはずである、と思ったら即行動すべきだ。

 韓流ポイントに向かう道すがら、オペラ座前を通る。
 窟の扉は開いており、追放者の姿も無い。
 あいつ、いい匂いがしてるから、メーデンが来るのを恐れてどっかに隠れてるんだろうな、などと話しながら童威をからかっていると、通りの向こう側からこちらに歩いて来たのは追放者。
 「オレ、童威のことシカトしてんだよ」発言通り、こちらの姿が視界に入っているのに完全無視だった。
 かつては余った菓子を振る舞い、景気は良いが羨ましくもない自慢話を得意げに語っていた豪傑も、猫肉骨粉問題が発生してから何かが狂ってしまったようだ。
 場末姫や全作、半作らと焚き火を囲み、夜遅くまで語らっていた光景も今は昔…といってもあれから一年と経っていない。
 ここでも、大人同士の心の戦いが繰り広げられていたのだろう。

 再びの韓流ポイント。
 先ほどからここに居た釣り人は童威の仲間だったようだ。
 相変わらず流れは緩いが、ボトムを引いているうちにラインが引き込まれる感触を得る。バイトでないのは確かだ。
 偶然掴んだ流れの変化。
 しかし、そこから先の一帯は水深が浅く、これといったカバーも無いはず。
 そんなところで探りに時間のかかるスプリットショットリグはやってられない。
 また、寒くても寒さが安定するようになるとトップウォーターが有効になってくることは年初に知った。
 ここ最近は反応を得られていないがもしや、と思いマニックを引いてみたところさほど待たずして反応を得る。
 ペケニシモだったので童威を呼びつける。
 「あぁ、そのサイズかあ…」発言を期待したが「男らし~釣り、じゃないですか!」と、伝説式をやられてしまった。
 このメソッドがはまる時か、と、にわかに期待したが単発だったようで、その後はトップもボトムも沈黙したままだった。
 それでも、僭称釣りウマの異常なまでに高いプライドを守るため、「今日のオレの仕事は終了」と、してやったり感を演出しての納竿とした。





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テーマ : プロレス
ジャンル : スポーツ

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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