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ダイナマイトプッシーキャット

 8月27日。

 昨日は楡柳荘の面々との酒宴のため、朕は参加できなかったが、多摩川降臨跡では伝説人以外の人々がアタったとかバレたとかそんな話は聞きたくねーんだよ!とばかりに楽しめていたようで、公孫戍こうそんじゅはガニをキャッチしていた。
 いつから起こったのか、まではわからずとも、着実に次の季節に入っている。

 さて、迎えた当日。
 今年はナマズの動向がまったく掴めていないうえ、例年ナマズを見失う時期に入ってしまった。そこで、今回はブラックを釣ることのみを意識してライトリグから中量級のベイトまで対応出来る、AVS66MF2のスピニングタックルで臨んだ。8lbのナイロンラインを巻いたスーパーフィネスである。
 また、買った当時は気付かなかったが、スティッコーにフィンテールモデルがあったので、「今日はフィンテール・スティッコーが釣れるかの実験」と宣言し、ボーズを食らっても自分がヘボいからではないという方向にもっていけた気になれる伝説式保険を掛けた。

 日曜日の降臨跡。
 かの伝説人にかかるプレッシャー緩和策のため、今日は自転車で出発。
 道中、橋の上から川の様子を眺めれば、ドロップオフのラインにアユの群れが見えていた。しかし規模は小さく、容易に釣れるための要素としては弱かった。
 まずは師匠に伝説三輪式を決め、笑いを取らねば、と土手に下りようとしたところ、オペラ座追放者がどこかへ出かけようとしているところに出くわす。
 この動きはきっと一座の誰かが察知していることだろう。
 土手に下りてみたところ、これまで吐いてきた大言壮語もむなしく、今日も降臨跡周辺に登戸名物は見られず。
 師匠を発見し、挨拶しようと近付くと、隣に見たことのない餌釣り師…と思ったら張横だった。
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!
 お約束の伝説式やり取りの後、話を聞けば退屈しない程度に釣れているとのこと。
 テトラ帯には伝説三輪氏の好物が数名。
 このように舞台は調っているのに、肝心の主役が居ないのは勿体ない限りである。
 通り一遍の挨拶に始まり、新川節や野池武勇伝など、初対面の人に只者ではないという印象を抱かせる修羅の勇壮なる様をもう一度見てみたいと思っているのは朕だけではないはずだ。

 実釣開始。
 テトラ帯は岸から数メートル先に流れの通る筋があり、これに絡むボトムのカバーへのコンタクトを求めベートを送り込む。
 しばらく経つと公孫戍と夏侯章かこうしょうがやって来る。
 昨日の詳細が語られ、キャストしながらも多摩川伝説の思い出話で盛り上がっていた。
 やがて、琵琶湖ポイントと称される一角が妙にハイプレッシャー化してきたことと、長らく反応を得られずにいたこと、そして君主である夏侯章がハナクソをほじくりだしたのを機に、侯嬴こうえい島に渡ることにした。
 侯嬴島は淀みの水が死ぬような盛夏であれば間違いなく一級のポイントだが、ここ最近の水温低下の流れにあっては魚を寄せる要素が希薄である。
 しかし、伝説三輪語録に「やってみなきゃわかんねえじゃねえかよお!」とあるように、ひとまず行って様子を見ておくことにする。

 侯嬴島に入り、朕はスプリットショットリグを解き、Bフォロワーを結んで魚食ゴイ、ニゴイを求めたが、その姿は見えず、ベートの規模も真夏とは比較にならないほど薄かった。
 表層のプラグ、ボトムのワームにも何ら反応は無く、ボイル、中、大型の魚影も見えない。
 水温低下の流れにあっては水が集まる場所の方が良いのだ、ということで移動。

 降臨跡で張良に会う。
 張良の観察眼は衆に秀でているので、その話を聞き漏らすわけにはいかない。ここではこの日のベイトの動きについて突っ込んだ話を聞くことが出来た。
 但し、張良の近隣で釣りをすることは得策ではない。狙いの精度が狙撃銃と拳銃ほどに違うためである。
 というわけで、我々は降臨跡下流側に入った。

 この一帯もまた流れが効いており、かつウィードと急激な地形変化が絡んでいる。
 再びスプリットショットリグを組み、探りを入れてみる。
 見た目にも、リグを引いてくる感触も良さそうに思われた場所だがまったく反応を得られない。ここは韓流ポイントに移動すべきか。こちらが捉える印象は良いものなのに何も良いことが起こらないのなら移動であろう、と公孫戍と相談していたが、夏侯章は遠く離れた場所に居る。
 携帯電話があれば移動の意を伝えるのは容易だが、夏侯章は携帯端末を持っていない。何ともじれったい気もするが、今すぐ、を求めるならこちらが直接訪ねていけば良いだけのことであり、その労力を惜しむぐらいなら急を求めてはいけないのだ。
 夏侯章と過ごしていると、現代社会にあってはなかなか意識することの出来ない善、不善についてが明らかになってゆく。
 故にこそ、朕はこの無自覚のうちに混沌氏の術を実践する夏侯章を君子として崇め、慕っているのである。
 書を嗜まぬ蒙昧な若者たちでさえ、皆彼に親しみ誉むるのは、不言の教化が行き渡っていることの証であろう。
 遂に、夏侯章がこちらにやって来る。
 「ロッド折れちゃった…」
 折れたカリ棒。
 筋肉君子がその筋力を恃みに、強引に根掛りを外そうとしたために起こった喜劇であった。
 さぞ落ち込んでいるのかと思いきや、「折れたロッドで釣れるかの実験」と、伝説三輪式をぶちかます余裕を見せていた。
 君子の同意を得たうえで韓流ポイントへの移動決定。

 追放者不在のオペラ座を通れば、全作の蜜月に忍び寄る不穏や、いい匂いを待っているかのような乙女心といった新たなる展開を予感させるリハーサル風景を見ることが出来た。
 ソープオペラ・オン・バワリーは安定供給されないレジェンドたちと違って、比較的安定した登戸エンターテイメントのコンテンツといえるかもしれない。

 韓流ポイント到着。
 この一帯の上中下にそれぞれ散り、朕は下流側のカバーを打った。
 緩い流れがボトムに付いたベイトを運び、水面には生き物たちが活動して已まない様が見える。
 リトリーブコースを変えながら引いてくるうちにバイトを捉える。早く合わせればすっぽ抜け、待ち過ぎれば呑まれる恐れがある。
 やはりスティッコーか、と、にやつくほど間を置いての合わせだったが抜けてしまった。ウルティモペケニシモだったのだろう。
 公孫戍がやって来て、早々に「食った」という。
 ところがどうもそれからの様子がおかしい。
 どうしたのか、と訊いてみるとアタリを感じた瞬間、後ろに居た高校生カップルの手マンに目を奪われてしまい動作が狂ってしまったとのこと。
 朕も是非その光景を眺めてみたいと思ったが、我々が釣り場を右往左往しているからか、姦り場を失った少年少女はすごすごと退散して行ってしまった。
 やりたい盛りのティーンネイジャーを前に、我々の行いがデリカシーに欠いていたのは認めなければならないが、「オレはおめえらと違ってガチじゃねえからよお」と、最もガチだった人に言わしめた朕である。釣果を得るためには他人の情事など気にしていられないのだ。
 上流側に居た夏侯章がやって来る。
 ナイスサイズを掛けたまではいいが、やはり折れたロッドではホールドしきれず、アタったとかバレたとかそんな話は聞きたくねーんだよ!な結果に終わってしまったとのこと。
 さて、20時になったことだし、そろそろ僕たちは今恋をしているコンビニで伝説式疾駆を見てノーフィッシュの悔しさを忘れよう、と話し合っていたところ、公孫戍がバイトを捉える。
 今日はダメかと思っていたところに有終の美、であったはずが、ここで夏侯章に火が点いてしまい延長戦突入。
 しかしこれは“功成りてらず”に反する、君子にあるまじき所業。結局その後何事も起こらず、伝説式疾駆を見るための時間を削らなければならなくなってしまったのだった。

 恋するコンビにでは汁物をすすりながらの疾駆待ち。
 案の定、限られた時間の間に都合のよいことが起こるはずもなく、どこか物足りなさを感じての解散となった。

 帰宅し、飯の仕度をする。
 ノーフィッシュに終わってしまったので「メシなんか食わねえぞ!」と、ブチキレておくのが伝説式の作法である。
 威勢よくキレておいて、結局空腹に耐えきれず、たやすく言を翻すのもまた伝説三輪氏の持ち味だ。
 ブチキレたことも忘れ飯を食っているところに史進よりメール着信あり。
 高山ダムなるところで、ようやくBフォロワーの使いどころがわかったという。
 Bフォロワーで釣れるかの実験が成功したからには、次はスティッコーでラージマウスバスが釣れるかの実験であろう。





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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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