208日後…

 7月30日。

 昨日やりきれなかったという無念が、今日もまた釣りという低レベルな競争に走らせる。
 登戸名物にプレッシャーを掛けてしまうのは気が進まないが、昨晩から今朝まで降っていた雨は、降臨跡に好影響を与えているはずだ、ということで昼過ぎに登戸入り。
 閉ざされたオペラ座前でまごついていたところ、一座の追放者に会う。ソープオペラが開演されなかったのはこれがためだったと知る。
 そして案の定、名物の三輪車は見えず、今日は釣りに没頭する以外の楽しみは無いと悟る。

 降臨跡テトラ帯に先行者あり。
 李俊だった。
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!
 伝説三輪氏が君臨していた時代からの知り合いである。礼は特に厚くするべきだ。
 頻度は低いがボイルは発生しているとのことで、現に何度かボイルが見られ、李俊はペケニシモではあったが一匹キャッチしていた。
 
 水は目に見えて良くなっており、バス以外の魚の捕食、ナイスサイズのスモールマウスのボイルも見えていた。
 張横、毛遂もうすいと、見知った顔ぶれの他、見知らぬ釣り人もやって来るが、伝説諸氏の姿は見えないままだった。
 ここは流れが入り込み、岸際に当る好ポイントになってはいたがプレッシャーがきつくなっている。このような状況の中で朕が釣るのは不可能だろう、ということで侯嬴こうえいの島に渡ることにした。

 降臨跡には下野さん、夏侯章かこうしょう、施恩も見えるようになっていた。修羅をガチで泣かせた施恩が居るとなれば、三輪氏の降臨は200%無いと言ってもいい。
 朕がポイント一帯を見て歩いているうちに、夏侯章もこちらに来ており、ポイントの一角を占拠していた。
 勿論、「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」である。
 張横がナイスサイズ間違いなしの何かをバラしているのが見える。
 ここからでは「アタったとかバレたとか、そんな話は聞きたくねーんだよ!」と、キレてやれないのが悔やまれた。
 向こうもこちらもなかなか反応を得られずにいたが、条件は揃っているのだからいずれ機は巡って来て、いずれ誰かが魚を手にすることが出来るだろうという雰囲気はあった。
 そして、夕刻を迎えようという頃、朕がストライクを得る。
 魚種はともかく、自前釣果で画面を飾れることを喜ぶ。
 次いでイモをドリフトさせていた夏侯章が「アタった」と言い、すぐに「放された」と言った。
 朕は「アタったとかバレたとか、そんな話は聞きたくねーんだよ!」と、アナザー式を食らわしてやった。

 光量が落ちてきたことにより、渇水時には死に水の溜まる奥の奥の浅場に入る。今日は上流側に流れ込みが出来ており、ナマズがやってくる可能性が示されていたためだ。
 魚食ゴイがルアーに反応したり、ルアーを無視するナマズが見えたり、と、やはりここは魚を寄せていた。
 何度かの入り直しの後、ラトル音を殺してあるスーパースプークJrでストライクを得る。
 バイトの出方でコイだというのはわかっていて、釣果を得られた喜びよりも、ナマズの反応を得られなかった悔しさの方が勝った。
 
 こちらの様子を知るや、施恩もこちらにやって来る。
 早々にアユを掛け、そのままライブベートとして瀬の落ち込みに投入。
 ナマズのストライクを得られていたが、フッキングにまで至らず、アユも失っていた。
 施恩が、今年は本当にナマズが釣れなくなったと嘆く。
 朕は、河川工事によって再生産の場と寄り付く地形が破壊されたことと、昨年八月末の台風による増水がストラクチャーのフラット化に拍車を掛けたことが原因ではないか、と私見を述べた。

 釣れなくなってきたとはいえ、可能性が無いわけではない。
 必ずやチャンスはあるのだ、と粘り続ける。
 夏侯章がバイトを捉え、大あわせをくれ、引っくり返っているのが見えた。
 近付いてみるとンションの抜けたカリ棒がそそり立っている。
 横着にも、座ったままですべてをこなそうとしていたことがザとなっていたのである。
 「コイかニゴイだよ、きっと」と、自らの落ち度を誤魔化そうとする君子に対し、朕と施恩は「もしかしたらバスだったかもしれねえじゃねえかよお!」と、三輪式で厳しく諌めた。
 夏侯章は、年長者に対しハナクソをほじくりながらタメ口を聞くという無礼な一面はあるが、耳に痛い臣下の諫言を受け容れる度量がある。
 この頃になると、朕は空腹のあまり立ちくらみするようになっていたので、撤退を口にしたところ、実は皆ひもじさを感じていたらしく、ここで解散することになった。

 ※マー語
 
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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