喚起

 6月26日。

 休暇は十分にあっても遠出するだけの金は無い。
 のんびりと昼食を食い終えたところハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなるぐらいどうにもならない眠気が押し寄せてきて寝てしまった。
 目が覚めれば17時少し前。
 李立から、今日は多摩川にくるのか?と、問い合わせが入っていた。
 折り返したところ、降臨跡でスモールマウスが三匹釣れ、ボイルも起きていたとのこと。水が良くなったのかと問えば、相変わらず水は悪いままで何で釣れたかはよくわからないという。
 師匠と公孫戍こうそんじゅも来ているというが、とにかく釣果を得たい朕は、流れとベイトが絡む五本松を目指すことにした。

 五本松入りし、キャストを始めようとしたところ蔡沢さいたくが現れる。
 今、上流側から来たところで、今日はバスどころかコイのバイトすら得られなかったとのこと。
 「何だ、釣れなかったのか。だらしがねえなあ」と、伝説式は欠かさない。
 こんなことを言っていた本人が、ほとんど釣れずにいじけてしまって、亀のように首を竦めてしまったのだから面白い。これでは修羅もかたなしである。
 伝説がただの珍妙な釣り師として縦横していた時代を偲びつつキャスト開始。

 去年に比べ、今年は魚食ゴイが少ないのではないか。いや、蔡沢は何度か釣っている。釣り方が悪いのか。
 そつなく様々な魚種を釣っている、隠れ技巧派の蔡沢にその辺のところを問えば、ナマズはまだ釣っていないとの返答が戻る。
 …それにしてもナマズが釣れなくなった、否、そもそも多摩川は釣れない川ではなかったか。
 そんなことを語らいながら、釣れたり釣れなかったりを繰り返し、今日も釣りに勤しむ我々のごとき者…修羅のように、釣りという低レベルな競走からの卒業はできそうもない。

 光量が落ちてきたことにより、朕は流芯打ちをやめ、激浅の巻き返しを打つことにした。
 巻き返しの中で、時折アユが襲われるところが見られ、その周辺をニゴイがうろつくのが見えていた。
 このニゴイは非常にやる気があって、さほど間をおかず二匹のキャッチに成功。
 更にナマズも入り込むようになり、ミスバイトと何度かのルアーチェンジの後、キャッチ。
 すべて、おめえらBフォロワーは良い良いって言うけどよお、オレには使いどころがわからねえとレジェンドⅡを気分にさせるベイトでの釣果だった。
 蔡沢はというと、ナマズらしきバイトはあったが乗せられなかったとのこと。そこで朕は「アタったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」と、もうひとつの伝説式で応じた。

 納竿時、今日の感触を話し合い、もしかしたらもっと良い場所があるのかもしれないが離れた場所まで行くのは面倒で…と、朕が言うと、元々遠くから来ている蔡沢にしてみれば10分や15分の移動時間などなんとも思わないと言う。
 決して若くはない、朕と同年代の人がそう言うのなら躊躇しているわけにもいかない。
 明日は対岸に渡り、アユ瀬のある上流側に行くことにした。

 ※マー語
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テーマ : プロレス
ジャンル : スポーツ

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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