輪廻三輪

 6月6日。

 先日、西湖でのライブベイト釣果を食らわせられたと思ったら、今度は河口湖でのライブベート釣果を送ってきた李立。
 「あいつは見込みがある。おめえもいろいろ教えてやってくれねえか」と、他人のことには関心の無い朕に、李立へのルアーフィッシング指南を伝説三輪氏に押し付けられたのは今から5、6年前か。
 バスフィッシングにはルアーだけではなくライブベートで釣るという楽しみ方もある、と提唱したのは朕であった。それが今や、朕がライブベイトでも釣ったことの無い50アップを釣り「ライブベートやるなら河口湖のほうが良いですよ」と言うようになった。
 そこで朕は、自分が優位に立っているという感覚が、自尊心、虚栄心を満たしていたのに、その中身の薄っぺらなことを見抜かれ、やがて敬意を持たれなくなっていったことが面白くなかったレジェンドⅡのように「そのビッグマウスがいつまで続くかな!?」と泣いた。

 同日、童威が和泉多摩川で登戸名物らしきものを見た、という報が入る。
 確証は無いが、伝説三輪氏と伝説アナザー氏に関する出没の疑惑。吹き止まぬ伝説の風。
 原題は忘れたが、デビッド・キャラダイン主演(?)の『キル・エヴィル』であったような、ちっぽけな舞台での、しかし壮絶な修羅とはぐれ者の対決がいずれ見られるのかもしれない。
 或いは人知れずその戦いは既に繰り広げられているとか、或いはそれぞれに帝国の再建を目指しているとか、或いは同盟に至り“釣りという低レベルな競走”に興じる“ガチ”な釣り人を見下しているのかもしれない。
 「プロレスについて考えることは喜びである」という言葉もあったように、レジェンドについて考えることは喜びである。

 この日は平日ということもあり、ひとまず伝説諸氏への執着は置き、短い時間でいかに手軽に釣りを楽しみ、かつ、釣果を得るかを優先することにした。
 ということで調布、五本松の様子を見に行く。
 
 アユの量が増え、サイズも大きくなってきたことにより、前回はまるで手ごたえを感じなかった去年のアユ瀬下に入ってみる。
 アユは豊富で、流れの合流点でバスらしきボイルを見、フェイキードッグにコイらしきバイトが出る。
 ここは粘るべき良いポイントかといえば違う。
 強い流れ、地形変化は明確にあるが、去年に比べると全てにおいて直線的、平面的である。
 もしかしたら魚はそれなりにストックされているのかもしれないが、フィッシュイーターの認識の誤りにつけこむのは難しい条件だと判断し、五本松に下る。

 五本松。
 「前にここで釣れたから」「前にこれで釣れたから」というわけで、レンジバイブをキャスト。水勢のある流れを釣るのに、これより優れたベイトを知らないということもある。
 キャストのたびにどこかしらに絡み付いてくる、流れに紛れたアオミドロは腹立たしいものの、今はここより良い条件の揃った場所が思い浮かばない。
 絡み付くアオミドロによってキャスト&リトリーブにストレスを感じていたが、強い流れの一帯に魚が濃いのは間違いなく、魚が当る感触も度々あり、やがてストライクの感触があった。
 時同じくして「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」の声。
 振り返れば蔡沢さいたくだった。
 ちょうどヒットがあった時に現れるとは気分が良い。しかしナマズではなさそうだ。
 30クラスのスモールマウス、はたまたニゴイか。とにかくバラさないようにと寄せてみればマルタ…。
 期待は裏切られたが、とりあえずとはいえノーフィッシュを免れることはできたということで安心。
 蔡沢に今日の様子を聞いてみたところ、堰より上のエリアでバスを釣ったという。
 写真を見せてくれたので、ここは昭和の荒技で。
 何と、ドッグXでの釣果ではないか。
 さり気なく芸達者の蔡沢。
 勿論「おめえこの前までドッグX全否定だったじゃねえか!」と、レジェンド式で称賛である。
 羨ましい釣果を得ていた蔡沢であったが、このエリアもやはりのっぺりとした印象のつくりで、粘りたくなるだけの強さは感じなかったとのこと。

 朕も蔡沢も、伝説の人たちのように絶望的にヘボいわけではないが、傑出して上手いわけでもない。環境を味方に付け、得意を活かせる条件を見つけられなければ釣れない、凡庸の釣り師である。
 故に、川のつくりが単調になってしまえば、魚の集まるポイントを絞れなくなり、たちどころに苦戦を強いられてしまう。

 ベート、流れを恃みに魚からの回答を待つが、朕はキャスティングでPE30lbを二回もぶち切ってしまったところで意気消沈。帰宅準備をしていた蔡沢に「おめえには根性が無え」と罵っておきながら、結局時同じくして撤退することになってしまった。
 偉そうなことを口にしながら、いちばん情けない結末で終える三輪氏のごとき過ちを犯してしまったことを恥じる朕であった。

 
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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