長溝剛だぁ

 6月4日。

 引き続き“釣りという低レベルな競走”に興じる。
 まずは先日悪臭に堪えきれず捨ててしまったPEラインを補充しなければ、ということで玉屋へ行く。
 ラインを巻き終え、昼食を摂ったところ、ハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなるぐらいどうにもならない眠気が押し寄せてきてうとうととしてしまい、気付けば15時を過ぎていた。
 今日は調布側を一流ししてから登戸、堰下と行くつもりでいたが、調布行きは諦め登戸に向かう。
 風は北風だったので降臨跡は捨て、最初から韓流ポイントに入る。

 ポイントには蔡沢さいたくの姿が見えた。
 伝説式一喝をくれてやろうと近付いていったところ、公孫戍こうそんじゅと、先日の読者氏も居た。
 「おめえらばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」
 礼儀正しく伝説式で挨拶だ。
 昨日は岸寄りに見えたベートが、今日は沖側に見える。
 居ついている釣れない良型のスモールマウス、最大でも30程度のスモールマウスのボイルが見え、一帯にはある程度の数が存在していることが示される。
 朕は反応を得られずにいたが、公孫戍は表層にバスをコーリングアップしていた。しかし釣れない。魚は居るが釣れないという困った状況である。
 そんな状況の中、読者氏がボイル打ちを成功させていた。ペケニシモではあるが誰も釣れていない時の一尾。
 妬ましくとも、ポイントを共有しての釣果のため「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」とキレることができない。
 その後は渋いまま時間が経過してゆく。
 流れが弱まったこと、長潮。釣りを難しくしている要因はあるものの、魚が居るのは確かなのだ。

 どうにも出来ないもどかしさにしびれを切らした朕は、ここであちこちに油を売りに行くことにした。
 公孫戍、読者氏、蔡沢にそれぞれの今年の多摩川の感触を聞き、伝説諸氏の逸話を語る。
 登戸名物を生で見たことが無いという蔡沢と読者氏。彼らは今後あの伝説を見ることができるのだろうか…このままでは朕が妄言を吐いているように思われてしまうのではないかと不安になる。
 そういえば今日は朕が、この人こそ君子と仰ぎ見る夏侯章かこうしょうに挨拶していない。
 また、混沌氏の術を修めている人なので、例え釣れていたとしても記録しておく機器を持っていないのだから、誰かが介添役を務めなければならないだろう。
 夏侯章を訪ねると、近くに公孫戍が居た。記録係は公孫戍が務めてくれるだろう。
 夏侯章には臣下としての礼を済ませ、朕は環境を味方につけられない韓流ポイントを諦め、堰下を目指すことにした。
 強い流れのはっきりとある場所のほうが、投げて巻くだけの釣りを成功させ易い、ということだけではなく、まだ見ぬもうひとつの伝説探しの範囲を拡げるという目的もあってのこと。
 読者氏がまた一匹追加したとのこと。
 朕が青年だった頃に見ていた『千夜釣行』を少年の時分に見ていたというだけあって、そのキャリアの長さと伊達ではないスキルが窺えた。

 堰下に入る。
 堰直下のプールには今日も無数のアユ、コイ、ニゴイの姿が見える。太い流れの中に居るアユは、ここでも緩みに居るアユより格段に大きい。
 ポイント対岸にはアングラーが居たが、この程度の数ならスポットが被ることもなく、かなりゆとりのある状態の中釣りができた。
 あとは魚食魚の到来を待つばかりである、としばらくキャストをしていたが、魚のからの反応を得られないまま、やがて北風が強まりだす。
 日没過ぎまで様子を見るつもりでいたが、この風は韓流ポイントのシャローフラットが生きてくるものに思われた。
 そして何より、今日はここでポストイットするべき出来事が起こりそうもない。
 躊躇することなく韓流ポイントに戻る。
 
 蔡沢がまだ粘っていたので様子を聞いてみる。
 今日はまったく反応を得られていないとのこと。
 ここはこれまでの経緯、この日の全体的な環境について鑑みることなく、また自分自身も釣るための手立てが思い浮かばぬのにもかかわらず「何だ、釣れてねえのか。だらしがねえなあ」と答えるのが礼儀である。
 
 下野さん、植野行雄もやってくる。
 植野行雄は今朝ボイル打ちを成功させ一匹釣れたとのこと。
 朝からやってるの?という問いに、自然な笑顔で答える植野行雄。
 本当に根性がある者は、自分に根性があるとか無いとかなんて考えたりはせず、ただ行動を貫くのみなのだ。そして、根性を説く修羅ほど、根性から程遠いところにあるものだ、と二つの対象を比べてみるとよくわかる。

 上流側に居た夏侯章がやってくる。
 今日はまったく反応を得られなかったという。
 釣れない釣りに倦んでいたので、朕がもし富貴を得たら、という前提の元に行動計画を練ることにした。
 大いに富んだなら川崎ではなく吉原が良い、と夏侯章から注文が入る。君子の言うことには説得力があるので異存は無い。中くらいに富んだなら川崎。いずれもリベラは絶対に外せない。
 小さく富んだなら川崎ですべてをまかなおうということでまとまる。
 リベラに行けないのなら二郎はどうか、と夏侯章は言ったが、あの近辺なら絶対龍盛菜館だ、と朕はつよくいった。
 伝説アナザー氏が健在なら「おしゃべりしてないで釣りしなよ!」とキレられてしまいそうな時間を楽しむ我々だったが、釣果をまったく諦めてしまったというわけではない。
 朕はひたすらCD7を、夏侯章はセンコーを投げ続けていた。

 公孫戍がやって来る。
 伝説三輪氏なら出したところでどうにもならない本気を出し、遂に釣果を得たとのこと。
 夏侯章が諦めたポイントに、ひとつだけ突出したカバーを探り出すことができたのだという。
 今回は写真無しのページになってしまうかと危惧していたが、それは避けられた。
 これは感謝したいところである、が、朕が決して使うことの無いヤマモトのワームで苦手とするライトリグでの釣果だということで、朕に三輪式で僻む資格は十分にあるだろう。
 そこで「韓流ポイントのバスはトルキーストレートでカバー通すのがパターン。つまらねえ釣りだ」と、伝説三輪語録をアレンジして用いた。

 20時を迎える。
 遂に連続ボーズ無し自慢が途絶えた夏侯章。
 「オレが考え無しにやってると思うか?バカヤロウ」
 三輪氏とビートがひとつになったレジェンドプレミアをキメる。
 二日連続ボーズの朕は「おめえは一軍、オレらは二軍。そういう考えやめねえか?オレたちそもそもそういう付き合いだったか?」と三輪式で泣いた。
 いつでも自分を貴く見せようとするレジェンドⅡだったが、その噛みつく泣き声は、どこかすべてが負けていた。
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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