神行太保

 5月20日。

 昨日、ランカーズからスティッコーが届いた。
 “新川で鍛えた本気”を支える、バス、ニゴイには必須のベイトである。
 今回は自分の分だけではなく、混沌氏の術を修めている夏侯章かこうしょうの分も調達した。媚びるわけではないが、君子にはおぼえめでたくありたいからである。

 昨日は原付のエンジン停止というトラブルがあったため、この日は徒歩にて多摩川に向かうこととなった。
 移動中、橋の上から川を見下ろせば降臨跡の水はいかにも悪い。たとえ実績の話を聞くことがあっても入る気にはならないだろう。
 流れが合流するポイントより下でなければ岸から水の動いているところを打つのは不可能だろう。
 ということで、降臨跡には探りを入れることなく韓流ポイントを目指す。
 また、伝説諸氏降臨の気配も無かったので、今日も釣りに集中するしゃなさそうだ。

 韓流ポイント到着。
 この暑さのせいか、土曜日の割には釣り人が少ないという印象。暑さが堪えるほどであるから、口先だけの根性の修羅が居ないのも頷けようというものである。
 朕のお気に入りのポイントには、若く蒙昧な釣り人のグループが居たが、釣り座には十分な空きがあった。
 ここの水色も澱んでいたが流れは明確にある。ここで良いのかという迷いはあったが、徒歩で来ていることもあり、大きく移動する気にもなれないのでこの一帯でどうにかするしかない。
 しばらく経つとナマズさん、公孫戍こうそんじゅ、夏侯章、蔡沢がやって来た。
 何はともあれ、夏侯章にスティッコーを献上しなければならない。
 夏侯章はスティッコーの価格と量に驚いていた。ヤマモトを使い慣れた者には衝撃の内容だったようだ。

 ナイスサイズのスモールマウスが一匹、ペケニシモの小集団が見え、フィーディングを行っていたが反応は得られず。
 しかし、釣る者は釣っており、伝説三輪氏が捕食したら吐き出してしまいそうな釣り人が二匹のペケニシモをキャッチしていた。

 陽が傾く頃、ナマズさんが撤退。
 人それぞれに事情があり、いつまでも釣りに没頭できるわけでもない。しかし、今は降臨の年である。
 「何だ、もう帰るのか。おめえには根性が無え」
 といって送るのが礼儀だ。

 光量が落ちてから、朕はワームのフィネスからハードベートのフィネスに切り替えた。
 この日はフィネスをやり通すためにラインは6lbまで落とし、ロッドもライトアクションのスピニングを使っていた。
 マイクロスプーンにスペルペケニシモなサイズが盛んにチェイスしてくることがあったが、いずれも寸前でターンされてしまう。とりあえずノーフィッシュは避けたいので、様々な通し方を試みたものの遂にフッキングにまで至ることは無かった。
 流芯と駆け上がりを攻める蔡沢は、バイトはあってもすぐに放されてしまうと嘆いていた。ルアーが合っていないのか、スペルペケニシモのいたずらか、コイ、ニゴイの類か…ここから真実を想像してみるのが面白いところではあるが、朕は礼儀を重んずる者。
 「アタったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」と、アナザーギレしてやった。

 陽が落ちて、朕と蔡沢、夏侯章はあまりの釣れなさに諦めの境地に入り、伝説式罵り合いなどして遊ぶしかなくなっていたが、公孫戍は辛抱強くベートの動きを観察しており40アップ含む二匹のスモールマウスをキャッチしていたのだった。
 釣れなかった者たちは、半泣きで「おめえは一軍、オレらは二軍。そういう考えやめねえか?」と、伝説三輪式でこの快挙を讃えた。

 明日も休日なので、釣り終了後、朕と公孫戍は、夏侯章の混沌廟に詣でることにした。
 夏侯章邸には、子供の頃、昭和の時代に感じた“あずましい”がある素晴らしき場所。ここには安酒も、いかにも体に悪そうなコンビニ食料さえも美酒佳肴にしてしまう霊力がある。これこそ混沌氏の術の賜物であろう。
 伝説が君臨していた時代、伝説生成の物語を吟味するひとときには、いつまでもここに居たいという気にさせてくれる喜びがある。
 とはいえ、ここは夏侯章の自宅でもある。
 登戸から狛江までの徒歩での帰路を思えば気が滅入りそうになるが、千里の道も足下からという。
 たかだか十里程度の道のりなのだ、と、混沌廟を後にし、朕は第一歩を踏み出すのだった。

 ※マー語
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テーマ : 発達障害(自閉症、アスペルガー、LD、ADHD、発達遅滞)
ジャンル : 育児

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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初めまして。いつもブログ拝見させてもらってます。たぶん2匹のペケニシモを釣ったものです(笑) 今度お見かけしたら声掛けさせてもらいます!

Re: タイトルなし

やり込んでる方だとお見受けしたので、吐き出されると表したのはそのためです。
土日はだいたいあの辺に居るので見えることもありましょうて。
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dragon

Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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