謹賀新年

 5月5日。

 昨日、降臨跡に師匠が見えたという。
 「明けましておめでとうフィ――――ッシュ!」と、三輪式にはしゃいだかどうかは定かでないが、今年初の釣行にして二匹のスモールマウスを釣っていたとのこと。
 様子を伝えてきた公孫戍自身は6匹のキャッチに成功したという。
 娑婆に押し込められていたために行くことのできなかった朕は「オレにかまうな、上手い連中と仲良くやってくれ」と、僻み節全開の伝説三輪式で泣いた。

 泣きの三輪式と共に迎えたこの日。
 公孫戍と夏侯章はこの日早めにフィールド入りするとは聞いていたが、朕はハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなるぐらいどうにもならない眠気に襲われていたために、一寝入りしてからの多摩川行きとなった。

 行きの道中、橋の上から降臨跡を見下ろしてみれば、アオミドロがシャローフラットの広範囲に点在し、水の動きが鈍いことを示していた。
 師匠、公孫戍、セニョールの姿が見え、向こうもこちらに気付いた様子。ということで朕も降臨跡に入ってみることにする。

 まずは久しぶりの師匠に挨拶だ。
 月並みな「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」では失礼に当る。そして今は降臨元年である。
 ここは降臨元年の伝説の第一声を用いるのが時宜に適っている。
 「おう、おめえよお、オレが僻んでるみてえなこといってるけどよお、オレは別に僻んでるわけじゃねえからな」
 朕の物真似の上手さに、師匠は笑っておられた。
 冬の間、師匠には来られない事情があるというのはわかっているが、降臨の時不在だったとうのは甚だ残念である。
 今日はバイトこそあったものの釣れなかったというので、「アタったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」と、師匠の知らないもうひとつの伝説式でキレてみせた。
 強い南風が吹いているが、既に降臨跡の水の悪さは確認済み。
 朕は「オレはおめえらと違ってガチだからよお」宣言し、一人韓流ポイントに向かった。

 韓流ポイントには下野さんと蔡沢が居た。
 下野さんはこの日、ベントミノーでペケニシモと40アップのスモールマウスをキャッチしたという。
 ノーフィッシュの続く朕は「多摩川のスモールは韓流ポイントでベントミノー、トゥイッチするのがパターン。つまらねえ釣りだ」とレジェンド式で僻んだ。
 波気は弱く、光量十分な今、プラグでの釣りは厳しかろうと思い、キャロライナリグを組んでいたところ、おもむろに蔡沢が水面付近のバイトを捉えていた。
 ベントミノーに食ってきたとのことだがバスではないという。
 確かにそれはコイだった。
 巨大で容易には寄ってこない。そして蔡沢のロッドは無理の利くロッドではない。どうなることやら、という場面であったが、ここで蔡沢の技量の片鱗を見ることになる。
 強い引きを上手くいなしながら、きれいにランディングネットに導いてのキャッチ。
 ベントミノーをがっちり咥えていた。
 バスこそ釣れなかったものの、関東巨鯉倶楽部達成である。
 バス以外の魚を釣ってやろうと思っていながらも思うように釣れていない朕は目を白黒させて「自分根っからのバサーなもんで」と、バスもまるで釣れていなかった伝説三輪氏のように振舞った。

 師匠、セニョール、公孫戍、夏侯章の他、童威も韓流ポイントにやってくる。
 社会人になって身辺が何かと慌しくなったフェラルキッドやベストキッドが来られないのは仕方がないにしても、バスキチガイのはずの修羅が居らぬのは不思議でならない。或いは、ベイトとならなくなってしまった人々の前ではその威を揮えないからか。
 そして今日は休日の割にはベイトとなるような釣り人も少なかった。
 師匠とセニョールは釣りをすることなく帰宅。
 「何だ、もう帰るのか。おめえらは根性がねえ」と見送り、再び新川で鍛えた本気を実釣をもって示すべくキャスト再開。
 童威はここでペケニシモとスペルペケニシモのスモールマウスをキャッチしていた。今日は上流域でナマズも二匹キャッチできたという。
 「今年、ナマズ何本釣れましたか?」というので、朕は涙目を怒らせ、ドスを効かせて「突き落としてやろうか」と答えた。

 少し離れた場所に居た公孫戍より「今日のオレの仕事は終了」と、伝説式名文句とともにメールが送られてくる。
 四匹釣ることができたという。
 一切の反応を得られなかった朕は「オレはおめえと違ってガチじゃねえからよお」と言って、わかっていないから釣れないだけなのに、それでは自分が侮られてしまうという伝説式心理を働かせての保身につとめた。
 
 公孫戍と夏侯章が体力的な限界を訴え、撤退するという。
 現状打破の策も浮かばぬ朕もこれに便乗することにした。
 混沌氏の廟に食べ物とおビールを持ち込み、明日の本気や、朕が混沌廟に奉納した“佐藤寛子、聖なる裸体”について論じ合い、アフターフィッシングの喜びに浸る。
 何と楽しい休日であろうか、と感慨に耽ってはいたが、朕と夏侯章が完全ボーズであったということは忘れてはならない。

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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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