おめえらは一軍、オレは二軍泣き

 4月18日。

 驚くような陽気。
 根性を口にしながら、実はいちばんからっきしな修羅でも楽しめそうな気候である。
 しかし、残念ながら今日は平日。
 ただでさえプレッシャーに敏感になっている大物が出てくることなど望めようか。
 それでも「オレたち今までバスに限らずいろんな魚種狙ってきたよな」と、朕に念押ししてきたことが物語るように、朕と同等、若しくはそれ以上の技量を持っていると思われる節があった修羅である。
 朕程度でもよく釣れているということを見せてあげることが出来れば、降臨を促す効果はあるかもしれない。
 また、ハードベートで釣るのが上、ソフトベイトで釣るのは下、という感覚の人でもあったので、ハードベイトをメインに使う朕が釣果を稼いでいけば再び多摩川にも興を示すだろう。
 新参の釣り人を捕まえては“根っからのバサー”ぶりを謳う登戸名物をまた見てみたいものである。

 伝説三輪氏の降臨など無いと割り切ったうえでの登戸入り。
 平日だけあって、降臨跡に釣り人は少ない。それでも万が一降りてこられても困らない程度にベイトとなる釣り人が居る。やはりこの土地は伝説のための場所なのだと思う。
 南風吹く波立った水面に、朕はマニックやBスイムトリガーを流していったが反応は得られず、ボイルを見ることも無かった。
 下流側に移動しようとしたところ、李立と張良がやって来た。
 張良は先日の土曜日、トップで五匹のキャッチに成功したという。絶対偶然ではない。朕には見えない何かを見ているのは間違いない。
 彼らと同じ魚を狙おうとしても無駄だろう。ここは「オレはおめえと違ってガチじゃねえからよお」と、伝説式負け惜しみを言って逃亡するのが賢明だ。
 そして朕は下流側のポイントでスポットに数回ベイトを通し、反応を得られなかったことで韓流ポイントに移動することにした。

 韓流ポイントにはナマズさんが居た。
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と、挨拶し、スプリットショットリグ、表層系のローテーションで流して過ごす。
 しばらくして「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」の声。
 童威だった。
 更に「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と続く。
 李立と公孫戍こうそんじゅだった。
 朕が去った降臨跡では張良がボイル打ちを成功させ40アップのスモールマウスを釣り、バス狙いでは張良に敵わぬと見た李立は素早く視点を切り替え、ナマズ狙いにシフトし、キャッチに至らしめたという。
 その鮮やかな手際に感心するも、自分を完全に上回った後輩の技量を素直に認められない僻み体質のレジェンドⅡに倣い、朕は「突き落としてやろうか」と泣いた。
 この一事で賑やかな雰囲気になってくるが、釣り自体は不振で、長らくだべくっていた末、公孫戍が李立から借り受けたタックルでようやくペケニシモを一匹キャッチ。
 不振の中の一本であったのでその功は大きい。しかし他人の功は認めないのが伝説の時代以降の作法。
 「何だ、小バスしか釣れねえのか。だらしがねえなあ」と、謗るのが正しい。
 やがて夕刻迫り、ナマズさんと公孫戍は撤退。
 「オレはおめえらと違ってガチじゃねえからよお」
 「何だ、もう帰るのか。おめえには根性が無え」
 お約束のやり取りは欠かさない。

 朕は先日、その数を増やしていたマルタが瀬付きするのかを見るため、堰下エリアに下った。
 陽が傾いて光量も落ちてきてはいるが、最初の瀬に目立った動きは無かった。
 更に下流の瀬か、と下ってみたがこちらはマルタの姿そのものが見えず。
 最初の瀬に戻れば李立と童威が来ていた。
 童威は降臨跡の小バスポイントのことが気になってマルタどころではないという感じだったので、李立に感触を訊いてみる。
 居るには居るし、アタリらしき感触はあるとのこと。ここでいいのだろうか、と疑念を口にするが、しかし、下流側はもっとひどいと話したところ、ならばここで粘るしゃないという結論に至る。
 完全に陽が沈み、釣り人が居なくなると瀬で暴れるマルタが見られるようになった、が、散発かつ小規模過ぎ、どうにも調子が上がらない。
 それでも卵を狙ってつけ回す魚は存在しており、かろうじてという感じで朕がニゴイをキャッチすることができた。
 既に多摩川勝者としての地位を失った魚種ではあるが、とりあえずノーフィッシュを免れ安堵する朕であった。しかし、このことが三輪氏の知ることとなったら「何だ、ニゴイしか釣れねえのか。だらしがねえなあ」と謗られてしまうことだろう。

 ※マー語

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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