修羅の弁明

 4月13日。

 「新川では云々」に始まり、「我々は修羅である」「手堅さに走って自分らしさを見失ってると思わねえか」「オレはおめえらと違ってガチじゃねえからよお」「オレらは二軍、おめえらは一軍。そういう考えやめねえかあ。オレたちそもそもそういう付き合いだったか」と変化して行き、「釣れなくても関係ありましぇ~ん」と遂に開き直ったと思えば、「ハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなった」と、改めて不調の理由を説明。
 殷の紂王は己の非を飾るのが上手く、臣下の諫言を受け付かなかったという。
 紂王は才気ある人だったというからまだしも、身近な伝説でさえも己を飾ることには巧みだった。
 朕にはそんな才気のひとかけらも無く、今は実験ネタとて無い。どうやら今日もまっすぐに多摩川に向かうしかないようだ。

 韓流ポイントからスタートしようと現地入りしてみれば、蔡沢とナマズさんが居た。
 「おめえらばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と、三輪泣きで吠えてみたが、まだ誰も釣れていないとのこと。とんだ赤っ恥だ。
 温暖な南風の吹くこんな日は、降臨跡が良いのかもしれないが、今やあそこでは集中力が続かない。
 蔡沢とここでよく釣れるベイト、釣れないベイトについてああだこうだと論じ合っているうちに、ナマズさんが一匹釣り上げる。
 根掛りに苦しみながらも、サターンワームのファットタイプでキャッチ。
 これを見て「釣れてるやつのマネしねえと見えるものも見えてこねえぞ」という伝説三輪氏の言葉を思い出し、朕もチキクロウやスピードワームといったボリュームのあるベイトからコンパクトなスティッコーに落としてみた。
 すると、さほど間を置かずキャッチできた。
 連続ノーフィッシュに歯止めはかかったものの、この種のメソッドでしか釣れないのは物足りなさを感じる。
 スクールで来ているのか、と期待が高まる中、蔡沢がアンダーショットリグでキャッチ。
 40以上45未満といったところ。
 朕が釣れた魚より断然大きい。
 せっかく連続ノーフィッシュをナイスサイズで止めることができたというのに、サイズで上回られ面白くない朕は「オレはおめえと違ってガチじゃねえからよお」と、僻んでないふりをした。
 とりあえず魚は来てるのだ、更に追加していこうと一同意気も上がるがここまでだった。
 童威がやってくる。
 「おめえらばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」
 この地での礼法もだいぶん弁えてきた。
 今日は早上がりしなければならないというので、現在反応が途絶えているとありのままを伝えると、早々にどこかへ去って行った。

 陽が沈み、反応の無くなった韓流ポイントを諦め、ウィンディサイドとなる降臨跡に向かった。
 すこし先を見れば侯嬴こうえいらしき人影が見える。
 声を掛けてみたところやはり侯嬴だった。
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と、お約束の挨拶をし、様子を聞いてみたところ、スモールマウスのストライクを二度得、二度ともばらしてしまったという。
 当然「アタったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」と、アナザー式でキレてやった。
 スタート地点は気配が無かったことにより、一帯のポイントやアプローチ方法を案内してもらいながら探っていたが、バス、ナマズどちらも反応が無く、空腹に耐え切れず、まだまだやる気満々の侯嬴に別れを告げ、一足先に撤退とした。
 幸い、侯嬴はアナザー氏は知るも三輪氏は知らぬため「おめえはそれで悔しくねえのか」と罵られずに、すんなり帰ることが出来たのだった。
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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