鉱脈無限

 4月6日。

 ハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなる的事情に加えて、すっかりオクタン価の下がった血液のため二度の釣行機会を逸してしまった朕であったが、サマナたちは修行を怠らず、ワークの結果を顕していた。
 江南の蕃地の住人となった史進より、琵琶湖での釣果と彼の地の風俗が伝えられる。
 また、“勝ち組”になった修羅が飽きてしまったという多摩川では李立がラージマウスを混じえての20匹越えを達成していた。
 功のあった彼らに対し、思いつく限りの伝説三輪式僻みの罵倒で祝福したことはいうまでもない。

 そして迎えたこの日。
 長潮と重なってしまったが、気温、水温の上昇というプラス要素の方が勝るだろう、と、多摩川へワークの実践に向かった。
 登戸エリアでは、ベッドが見られるようになっているという話も聞く。そこまで進行してしまったのなら、強気の攻めでナイスサイズばかり容易に炸裂する機会は諦めなければならない。
 ひとつの問題を解決したと思っても、すぐに次の問題が生じ、未解決のまま次へ進まなければならないことも多い。
 これまでに正解はやり尽くしてきた、というレジェンドⅡのように、釣りという低レベルな競争から卒業できる日は来るのだろうか。

 南風が強いので降臨跡が良い、というのは去年までの話。今年はどうにも魚の入りが悪いという印象。ぽつぽつ釣れているという話は聞くが、スポーニング前の当たりエリアではなかった。
 とはいえ、川がいつも同じ状況であるはずはないので「やってみなきゃわかんねえじゃねえかよお!」と、伝説三輪式に一キレし、降臨跡から始めてみることにした。
 岸沿いはコイが猛威を振るっていて、バスを寄せ付けそうもないように見える。
 表層系のベートでオープンウォーターを流し、覚えのあるスポットにフィネスワームを通してみたが反応は得られず。あるいは、用いるベイトが誤っていたのかもしれないが、この段階で詰めるようなことをしてもしょうがないという気がする。
 何故釣れないのか、原因を突き止めることはできないが、とにかく今はここではない。
 移動である。

 韓流ポイント。
 一帯の上流側は、岸沿いこそ複雑なつくりになっているが、これは人造のものであり、流れは通るが地勢としては平坦。固執するだけの魅力に乏しい。
 結局、下流側のほうが構成的に相応しいものを備えているように思える。
 と、下流側に向かってみれば童威とナマズさんが居た。
 童威は朝から来ていて、現段階で三匹のキャッチに成功しているとのこと。
 勿論「そこまでして釣りてえか?」と、レジェンド式で僻むことは忘れない。
 「オレだってちゃんとやってるよ!」と、伝説三輪ギレで応える童威。祭祀を絶やすまいとする気概は立派だが、用法を誤っている。

 ここでもコイの勢いは盛んだったが、降臨跡ほどではない。
 しばらく何の反応も得られず、自分が釣るべき魚を探すことにも飽きてきた朕は、産卵床のバスを相手に無聊をしのぐことにした。
 かといって、この時期ありがちな、ネストの魚を釣りまくってボロボロにしてしまうのは忍びないので
 このように針を落として対応。
 正解をやり尽くしてきたベテラン以上にバスを釣っているナマズさんだが、その習性についてはあまり知らない。ナマズさんに解説しながらネストのバスの排除行動を見せ、釣り上げることなく楽しんだ。
 何箇所かのネストの魚の反応を見て時間を過ごした後、コイの群れに紛れたナマズを見ることができた。が、ナマズは手出しする間も無くコイと共にどこかへ消えてしまった。

 依然、南風は強い。
 やはりこんな時は上流側のシャローフラットが気になる。
 岸寄りは水が澱んでいるが、足労を厭わず中洲側まで行けば本流筋に隣接したシャローフラットを打てる。流芯に近い場所なら、水温の上昇に伴い、積極的にベートを求め回遊してくるナマズに遭遇できるかもしれない。
 現に侯嬴こうえいは今年、バスだけでなくナマズもキャッチしているのだ。
 ということで降臨跡から更に上流のポイントへ移動。

 移動したところ、早々にボイルが見られた。
 ボイルは本流筋からスタートしている。
 しかし、追っているバス少ないのか、発生に気付いてキャストする頃には手後れとなり、マニックを引いていた時に偶然ボイル発生と重なったタイミングに浅いバイトを一度得ただけに止まった。
 日没に入り、波気による視界不良を考慮し、水中を引けるBスイムトリガーにチェンジ。
 さほど待つことなく、小型のナマズ、スモールマウスのストライクを得ることはできたがいずれもバレてしまう。
 キャッチは出来なかったものの、ポイントはここで良いようだ、と集中力が保たれる。

 侯嬴が現れる。
 侯嬴は紳士的な人物なので「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と、伝説三輪氏のようにキレたりはしない。そこで安心した朕は、これまでに起こったことを偽ることなく侯嬴に語った。
 「アタったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」
 と侯嬴。
 そういえば、伝説三輪氏は知らずとも、伝説アナザー氏とはゆかりのある人物だった…。一つの伝説ばかりに気を取られ、もう一つの伝説のことはすっかり忘れていた。

 やがて朕はスピニングリールならではの悪質なバックラッシュに悩まされ、風に体温を奪われてきたことにより集中力を失う。
 侯嬴はルアーを追うナマズは見たもののバイトにまでは至らせていないという。
 まだ粘るという侯嬴に対し、朕は「見たとか追ってきたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」と、アナザー式でブチキレ、別れの挨拶とし、先に撤退することにした。


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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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