旋風無窮

 3月25日。

 晴れた土曜日。
 南風ではあるが、風は冷たい。
 威勢のよさは天下第一でも、その実はからっきしである修羅には厳しい天候か。しかし、大言壮語を吐いておきながら容易くケツをまくれる太さもまた修羅なればこそかもしれない。
 伝説三輪氏の降臨は望めない感じだが、もう一つの伝説はといえば…。
 レジェンドⅠよりは釣れていたものの、レジェンドⅡほどにも釣れないうえ、ハードベイトで釣ることにひとかたならぬこだわりを持っていたとも聞くので、ワームでの釣りがストロングだという現実を見せつけられてきた過去がある以上、やはり厳しいか。
 レジェンドウォッチは諦めなければならなそうな雲行きだが、ルアーフィッシングは楽しめるだろう、ということで多摩川に向かった。

 現地入り。
 土曜日にしては人出が少ない。やはり冷え込みが効いたか。
 先日、ブラックを見た場所に相変わらずブラックがいたのでちょっかいを出してみる。
 人目につきやすいカバー周りに定位しているためか、危険信号は幾通りもプログラムされてしまったのだろう。ルアーが通れば消えていく。
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」
 お約束の挨拶と共に現れたのは公孫戍こうそんじゅ
 上流側に居る侯嬴こうえいと、釣りしないでおしゃべりばかりしていたとのこと。
 のんびりとそんなことが出来るのは、アナザーレジェンドが来ないと安心しきっているためである。
 どうにもならないと思いながらも、バスを威嚇行動に走らせるあの手この手を試していたところ、朕は気付かなかったが、離れて様子を見ていた公孫戍によればポッパーのポップ音にのみ反応していたとのこと。
 しかし、この先に進めることは出来ず、侯嬴に油を売りに行くことにした。

 降臨跡を歩いていると二人組の釣り人のうち一人が朕に近付いてくる。
 「覚えてますか?」と、その釣り人はいう。
 確かに見覚えのある顔だ…おお!
 数年ぶりとなる関勝だった。
 伝説三輪氏が君臨していた時代を知る人物にして、かつてはレジェンドⅡ以上にヘボかった施恩を一人前のルアーマンに育てたリアル釣りウマの人である。
 再会を喜びつつ、昨今の登戸エリアの様子を説明する。

 やがて下野さんと夏侯章もやってくる。
 気付けば、朕は生アナザー氏を知る人物に囲まれるという恰好になっていた。
 侯嬴は今日、魚種は不明だがミノーにバイトがあったという。
 「アタったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」と朕が言ったところ、アナザー氏の本名を被せる侯嬴。
 これを聞いて下野さんが凍りついていた。
 「それ、最強の呪いの言葉だよ…多分今日は釣れねえな」
 「え、アナザー氏ってそんなに凄かったの?」
 安易なウケ狙いの発言を懺悔する侯嬴だった。

 長らく反応を得られず、朕はそのうち釣りにも飽きて、他の釣り人の様子を見ていると夏侯章がファイとしているのが見えた。
 ところが、キャメラを構え駆け寄っていたところバラすところが見えた。
 「何があったんですか?」
 「バレちゃった…」
 期待通りの回答だ。
 「アタったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねーんだよ!」
 結果は出ずとも、この時間を楽しめている。
 しかし、釣れないからといって「オレはおめえらと違ってガチじゃねえかよお」と、自分を偽ることができない我々はどうしても釣りたく、いつまで経ってもよくならないウィンディサイドを捨て、風向きに関係なく実績の高い韓流ポイントに移動することにした。
 この時、李立が現れる。降臨跡に向かう途中だったが、これまでのあらましを話したところ、それならば自分も、ということで韓流ポイントへ同行することとなった。
 韓流ポイントに入ろうとしたところ、関勝と友人の郝思文かくしぶんが出てくるところだった。
 我々が何故このポイントに入ろうとしたのか理由を話したところ、ポイント選びは間違ってなかったのか、ということで韓流ポイントに戻る。

 朕は表層に反応してくれる協力的な魚を求め細かい移動を繰り返していたが反応は得られず。その間に郝思文が一匹釣ったとのこと。
 その後も朕は表層を打ち続けたが一切の反応も得られないまま終了の時間が来てしまった。
 解散前に全員集合してみれば、下野さんが40あるかないかのスモールマウスをジグヘッドリグのスイミングで釣ったというので写真を見せていただく。
 昭和の荒技、写真の又撮りだ。
 呪いの力に打ち克ち、釣果を得たのは見事と言わねばならないが、証拠写真を見てしまったので「みんな下野さんは上手い上手いって言うけどよお、あの人本当に上手えかあ?」と、終わりを伝説式僻みで締められなかったのが甚だ残念であった。
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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