マサオジャンプ

 2月26日。

 好天の日曜日。
 穏やかで過ごしやすい気候ならば、伝説三輪氏のベイトも数多く訪れよう。
 修羅がベイトを漁り、はぐれ者が様子を窺う…そんな光景を期待し、多摩川に向かう。

 現地入りしてみれば、いずこも釣り人だらけ。
 伝説三輪氏にとってみれば豊富なベイトだが、釣りを展開する上ではやっかいな問題である。
 朕は早々に釣果を捨て、公孫戍こうそんじゅと、三輪VSアナザー夢の対決のアングルを論じ合い、気が向いたらキャストという具合に過ごしていた。
 下野さんや、近くに居た釣り人はそれぞれ一本ずつキャッチしていたが、釣れるポイントは限られていて、そこに入れなければ望み薄という状態であった。
 このポイントは人が多過ぎる。その上、調子のよい一角もバイトが止んでいた。
 
 暗くなり、上流側の人影もまばらになってきたように見えたので、我々は上流側に移動することにした。
 童威が現れる。
 「何だ、釣れてねえのか。だらしがねえなあ」
 伝説式作法もだいぶ身に付いてきている。李立の指導が正しく為されている証といえよう。
 それはそれとして、移動先でも反応は芳しくない。
 バイトの感触を捉えることはそれぞれあったが、フッキングにまで至ることは無く「他人が釣ったとかバレたとか、そういう話は聞きたくねえんだよ!」ギレされそうな種のものでしかない。

 陽が沈む。
 「正男さん殺されちゃいましたねえ…」
 沈黙に耐え切れず、朕と夏侯章かこうしょうは社会派な話題に興じるふりをした。「まあ、オレらはあの方々と違ってガチじゃねえからよお」というところか。
 そんな腑抜けた空気の中、突如夏侯章がアワセを決める。
 白線香。夏侯章の十八番だ。
 「どうやって釣れたの?」と突っ込んでみる。
 「オレが考え無しにやってると思うか?バカヤロウ!」
 伝説三輪式に加え、ビートの物真似が入っているところがプレミアである。
 混沌氏の術を用いた夏侯章に対し「突き落としてやろうか」と、皆涙目になった。
 ここで一足先に公孫戍が撤退。 見送りの言葉は「おめえはそれで悔しくねえのか?」が適切である。

 再びポイント移動。
 凪いだ水面、緩んだプレッシャー、水面には魚の存在を示す波紋。
 しかし、ここでバスからの回答を得られる者は無く、終了の時刻が来てしまった。ライブベートを使っていた童威も反応を得られずにいたので、本当にバスが来てなかったのかもしれない。
 朕は「オレらは二軍、おめえらは一軍。そういう考えやめねえか?オレたちそもそもそういう付き合いだったか?」と、四匹キャッチできた下野さんと、一匹キャッチできた夏侯章に、登戸で最もガチだった人の真似をして噛み付き笑いを取り、一同、休日を楽しんだという和やかな気持ちでの解散となった。


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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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