修羅の徒花

 12月24日。

 先日の、南風と雨の温暖な日という、メガバスロケ的なタフコンデションの下、李立が釣果を叩き出していた。
 にわかに訪れた好機を捉えた結果であるともいえるが、いかに厳しい状況の中で釣ったかとアピールするのは大事なことだ。
 その日は朕も釣行可能な時間はあったが、例によって、ハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなるぐらいどうにもならない事情によって行くことは適わなかった。
 しかし、今や伝説三輪氏は天上人。眠くてワークを怠ったとしても、わざわざ降りてきて「だらしがねえなあ」と罵られる畏れは無い。

 そして土曜日の今日がやって来た。
 昨日は世間では祝日。今日は連休中日。昨日までと変わって冷え込んでしまったが好天である。
 新川で鍛えた修羅がその威を揮うには絶好の日ではなかろうか。
 帰宅後、ハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなるぐらいどうにもならない眠気のため眠ってしまったが、早めに帰宅できたので時間的な余裕が十分にあったことと、公孫戍こうそんじゅが我が携帯にローランド・ボックを送り込んできたのですぐさま起きることができた。
 寝こみを襲われ、ボックの義理の息子にされてしまったらたまらない、というわけである。

 かくして登戸へ。
 ナマズさんが気を利かせて、駐輪スペースを確保してくださっているにもかかわらず、名物の三輪は停まっていなかった。
 しかしそれも仕方のないこと。
 今日のこの寒さのせいか釣り人の姿が見えない。こんな状況ではせっかく降りてこられたとしても、新川節をぶつ相手がおらずひもじい思いをしてしまうだろうから。
 名物が不在ならここにいても仕方がない。ということで風の当る韓流ポイントに向かってみる。

 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」
 先客に下野さんが居たので、伝説の時代最上級の礼で挨拶する。
 ちなみに“下野さん”とは綽号であって、ホーリーネームは田文という。
 「文子ぶんし、近頃の様子はどのようなものでしょうか?」と、尋ねてみれば、昨日はセニョールがスピナーベートでナマズと40アップスモールマウスをキャッチし、キスラーに入魂したとのこと。釣り人だけではなく魚も食いつく道具であることを証明したという。
 やがて公孫戍こうそんじゅ夏侯章かこうしょうが現れる。
 ボックの写真は公孫戍が自ら後楽園ホールで撮ったものだという。この時はまだ白人美青年を連れ歩いてはいなかったとか。
 更に、栗栖をキレさせぶっ飛ばされたこと、馬場に新日ファンであることを見抜かれたこと、間接的にチャボにブック破りさせてしまったこと、といった貴重な経験を聞くことが出来た。
 朕は、都心近郊で育った者の豊かな春秋をひたすら羨んだ。これを、北狄が華人を見る、という。

 韓流ポイントでは何の反応も得られず、朕が引っ掛けたルアーを回収するため木に登り、北狄の蛮人ぶりを発揮し、華人たちの笑いを誘うのみであったため、上流側の伝説跡へ移動することにした。

 伝説跡。
 やはり名物三輪は見えない。
 或いは、オジさんたちにはわからない新しい愛の形は継続中で、釣りどころではないのかもしれない。
 陽は傾き、風は厳しさを増す。
 かようにして自然環境的には厳しいが、釣り人が居ないのでポイント選びには苦労しないのが救い。
 朕はジギングを続けていたが反応は得られず、フィネスワーミングをやっていた公孫戍も夏侯章も何事もないという。
 完全に陽が落ち、韓流ポイントに戻ろうか、と話し合うようになっていた頃、上流部に行っていた下野さんもこちらに戻ってくる。
 今日は無理か、などと話し合っていた中、下野さんはしっかりキャッチしていたのだった。
 先日、携帯画面を直接撮るという昭和の荒技を習得した今は「突き落としてやろうか」と、伝説三輪する余裕がある。

 再び韓流ポイント。
 風強く、釣りの醍醐味には欠くが、めげずにキャストを続ける。
 こんな状況下で釣れるのだろうか、という疑念は湧くが今は伝説の時代。「もしかしたら釣れるかもしれねえじゃねえかよお!」 と、伝説三輪泣きで、三輪氏には無かった根性を出す。
 しかし…誰一人釣る者は無く、がっかりとうなだれての納竿となった。

 帰宅後、公孫戍よりメール着信あり。
 何と、寒風に吹き曝されたことにより風邪をひいてしまい、明日は行けないとのこと。
 「オレにかまうな、上手い連中と仲良くやってくれ」と、伝説三輪式でその悔しさを表現していたのは伝説の時代を生きる者の意地であるといえよう。
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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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