寡人、此処に其れ在るを知らず

 12月7日。

 かつて登戸を主宰していた覇者が消えて久しい。
 今は伝説としてその逸話が語られるのみだが、己を飾る語彙の豊富さは見事としかいいようが無かった。
 あの口上を再び聞いてみたいものである。

 先日は釣行可能な時間がありながら、ハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなるぐらいどうにもならない気だるさのため、ワークを怠ってしまったが、朕より高いステージに在るサマナの李立は怠らず、しっかり釣果を得ていた。
 このような時は「オレはおめえと違ってガチじゃねえからよお」と応えるのが妥当なところだが、行き過ぎて「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と泣きキレたとしても間違いではない。

 迎えた当日。
 この日は、ハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなるぐらいどうにもならない眠気に襲われることを予測し、前日からタックルを組んで備えていた。また、昼食を摂り満腹したら気力が削がれてしまうだろうから、ということで空腹のまま多摩川に向かった。
 日に日に少なくなっていくアユと冷え込みのことを考えれば、今回はブラックに狙いを絞った方が望みを持てそうな流れである。
 スピニングタックル二つで、一つにはスプリットショットリグ、一つにはアンダーショットリグをという具合で、最初からフィネスをやってやろうという構えだ。

 伝説跡。
 この日、三輪氏の姿は見えなかったが、三輪氏のベイトの姿はあった。
 ナマズさんである。
 朕がナマズをルアーで狙うならこれとこれ、という商品をしっかりメモしている。ナマズさんはスピニングタックルなので、レアリスバイブ、レンジバイブ共にシリーズ最小サイズの物が良いということを教えた。
 やむなく朕が教えているが、こういったことは釣り歴が長く、正解はやり尽くしてきた伝説三輪氏が率先して行ってきたことである。現れないからといって、三輪氏の好物を朕のごときが食い荒らして良いものか、と後ろめたさがつきまとう。

 「おめえ、どこに居るんだよ!」
 伝説式ブチキレと共に李立が現れる。
 朕はここで見たラージマウスとスモールマウスのことを話した。
 「何だ、釣れなかったのか。だらしがねえなあ」
 「オレだってちゃんとやってるよ!」
 伝説三輪語の応酬は我々の挨拶である。
 見えるバスは居ても、所謂「見えてくるものがないのう」状態が続いていたため、韓流ポイントの様子を見に行くことにする。

 韓流ポイント。
 ここでもバスの姿が目撃されたが反応を得られることが出来なかった。
 「おかしいねえ、バスは居てるはずやのにねえ…」
 初代JBワールドチャンプの言葉が漏れる。
 菊元がダメでも彼には優秀な後輩が居る。というわけで李立に感触を聞いてみたところ「ダメ、ダメ!ここバス居ない!」とアナザーレジェンドな返答。
 しかし、我々にはまだまだ時間がある。
 「もしかしたら釣れるかもしれねえじゃねえかよお!」
 と、泣きながらも伝説式根性を振り絞る。

 果たして魚は入ってきてたのか、居ても攻め方に問題があって釣れなかったのか。結局一切の反応を得られぬまま帰りを意識する時間になってしまった。

 帰り際、もう一つの伝説に関する逸話を李立から教わる。
 伝説隘路、約束の地…このポイントにあそぶ者が、きょう氏からでん氏に代わるまでの間に何があったのか。詳細は田氏の族である江三子が知っていることだろう。
 魚は釣れなかったが、江三子と合流出来る週末の釣行を楽しみにしての解散となった。


スポンサーサイト

テーマ : お仕事奮闘記
ジャンル : 就職・お仕事

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

dragon

Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

最新記事
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
QRコード
QRコード