回想の修羅泣き

 11月21日。

 「登戸に居る。15分で準備しろ」
 かなり雑な伝説式脅しのメールが李立より届く。
 北風、雨という予報に怯みを見せていた朕であったが重い腰を上げる。
 朕は昭奚恤しょうけいじゅつをおそれているのではない。その背後にある宣王の軍勢をおそれているのだ。
 伝説の威を借りた檄文に動かされ、出発の準備をする。
 今回はこれといった伝説式保険も用意できぬまま、多摩川伝説跡を目指した。

 現地入りしたところ、ポイントには李立ただ一人。
 どのタイミングで「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と挨拶してやろうかとのんびり歩いていると、李立のやつめ川面に向かって何やら遊んでいる。
 たいくつして、確保したライブベートでもいじっているのか。いくら釣りが上手いとはいえ幼いのう、と眺めていたが、すぐに駆け足になる朕。
 なかなかの魚を手にしているではないか!
 画質の悪い携帯のキャメラではこの魚に対し礼を欠くように思われたので、デジタルキャメラで撮ってやった。
 「50いってるんじゃないの?」と、スケールを当ててみれば49cm。
 きっちり測らなければ“50はありそうな”という表現ではったりを効かせられたのに、早まったことをしたものだ。
 とはいえ、ルアーでこのクラスの魚を騙したのだから大したものだ、と感心していると、次はライブベートでもヒットさせていた。
 それなりのサイズではあったが、先程のバスの前には翳んでしまう。

 一方、朕はライブベートフィッシングの素晴らしさを認識しながらも、その手間を面倒臭がり、ルアーをキャスト。
 キャスト後、すぐに当ったかのような感触を得るが、呆気なく外れてしまった。アユでも掛かったんだろうと回収してみれば、ラインにナマズのぬめり。加えてドラグは思いっきり緩んでいた。
 貴重なチャンスを凡ミスで逃すというヘマをやらかす。
 「だらしがねえなあ」と、伝説式で突っ込まれるが、これでは「オレだってちゃんとやってるよ!」とレジェンドギレで返せない。

 北風が水面を波立たせ、やがてブラックは姿を消していた。
 しかし、アユは何度も水面に現れ、魚食鳥も漁を行っている。
 ルアーでは何の反応も得られていなかったが、魚食魚がすべて居なくなってしまったわけでもない。
 何故なら、ライブベートを使う李立が度々バイトを得ていたからだ。
 朕もライブベートを使いたいところではあったが、捕獲できないためルアーにこだわるしゃなかった。
 めげずにキャストを繰り返しているうちに、幸いにもルアーにアユが掛かる。ここで朕は仕掛けを組む手間を惜しまず、ベイトをノーシンカーリグにセットした。
 やはり、バイトはあってもフッキングを決められないという苦労はあったがキャッチ成功。
 本命魚キャッチ成功、と喜びたいところではあったが、ルアー釣果のナイスバスを見てしまった後だけに、いまひとつ喜びは小さかった。

 やがて風ばかりだけではなく、雨まで降り出してくる。
 盛んにバイトでもあれば、頻繁に狩りが行われていれば根性の出しようはあったが、どちらも無かったので「まあ、オレらは伝説の人と違ってリアルガチじゃないから、これはこれでいいんじゃない」と、和やかに解散とした。

 ※マー語



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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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