並び立つべき両雄を待つ

 11月18日。

 今や師匠格となった李立の、アユはそのすべてを大いなる一として捉えず、群れを個別に見て、どの状態に属するものかを大別すべし、という指南により攻略の糸口が見える。
 彼を知り己を知る…しかし、独力で彼を知ることが出来なかったのは少し悔しくはある。

 この日、玉屋に寄り、カルカッタ201を買う。
 フライングアームブレーキを嫌ってシマノの現行型キャスティングリールを求めれば、今はカルカッタ※1しゃ無いためだ。
 金属※2デは冬使うには辛いが仕方が無い。それに本格的に寒くなったらスピニングリールきしゃ使わなくなるのだから問題ないだろう。
 それにしても最近は紅蠍大先生いうところの“オカマタックル”がやたらに多い。昭和生まれとしては、重くて疲れるという前に、自分に当たり前の筋力、体力を養うべきではないかと思ってしまう。

 さて、アユを追う上での留意点を教えてもらい、どうすれば良いかが見えてきた気がしていたものの、結局見つけられずノーフィッシュに終わってしまうということも十分あり得る。
 そこで「今日はカルカッタ201で釣れるかの実験」と宣言し、手術を終えたシュガーディープとスキッターウォークもボックスに入れ、伝説式保険のひとつとした。
 
 既に伝説跡に入っていた李立より、今日はアユが凄いことになっているとの連絡が入る。
 そういうことなら群れを見定めていくという手間をかけなくても何とかなりそうだ。
 「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」
 と、一喝し、朕も多摩川へ急いだ。

 現地入りしたところ、李立の他にナマズさんも居た。
 李立はライブベートを駆使しナマズを狙っていた。
 朕もライブベイト肯定派の一人だが、ベイト確保の難しさ、仕掛けを組む手間の煩わしさを嫌い、手を出せないでいる。
 アユの塊は水色を黒く染め、ルアーを引くと群れが割れる様子がはっきりと見える。
 これを下からナマズが窺っているのは明らかで、李立は度々ストライクを得ていたが、ベイトだけ持って行かれるという屈辱を味わっていた。
 バイトさえ得られていない朕ではあったが「何だ、釣れなかったのか。だらしがねえなあ」と、伝説式上から目線でこき下ろした。
 当然のように「オレだってちゃんとやってるよ!」というレジェンドギレが返ってくる。
 朕は実験ネタのベートやレンジ、泳ぎのタイプを替えキャストを繰り返していたが反応は得られず、やがてそれらの作業が面倒になり、アユの波紋が見える全てを打つつもりでレアリスバイブをキャストした。 
 そして三ヶ月ぶりの多摩川本命魚キャッチに至る。
 伝説跡レギュレーションでは“小ナマ”に分類されるサイズでも、釣れたということで喜ぶ朕だったが、その喜びもすぐに李立によって打ち消されることとなる。
 ナマズにはことごとくライブベイトを持っていかれていたが、ナマズよりはるかに嬉しい魚をキャッチしていたのだった。
 測ってみればちょうど40センチ。
 せっかく得たナマズが翳んでしまったことにより、朕は口惜しさのあまり顔を紅潮させ、怒気を含んだ涙目で「突き落としてやろうか」と、伝説三輪した。

 日没が近付くにつれアユの気配は遠のき、バス、ナマズ共に消えたという感覚になる。

 そろそろ帰ろうか、などと言い始める頃、「おめえらばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」という声。
 振り返れば公孫戍こうそんじゅだった。
 用事があって夏侯章かこうしょうを訪ねて行ったが不在。連絡が取れないので伝説跡の様子でも見ておこうかと歩いていたら、朕の原付を発見したとのこと。
 「何で今時携帯持ってねえんだよ」
 と、嘆く公孫戍であったが、朕は、夏侯章こそ混沌氏の術を実践するものである、と密かに尊敬した。
 釣りの手を休め、古今の興亡と得失について論じ合い、伝説姓の人々の逸話について語らっているうちにすっかり夜になってしまった。
 話は尽きぬという具合であったが、GETT防寒着を着ていても寒さを感じるようになり、かつてこの地を闊歩した伝説諸氏たちの降臨、或いは遭遇を祈って解散となった。
 
 ※1 マー語
 ※2 ヘボオヤジ語
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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