目撃の後

 10月14日。

 果たして降臨はあったのだろうか。
 娑婆が三連休にあった期間、鎮座する伝説の三輪車を目撃するという幸運はあったが、朕はフィールドワークを怠ってしまった。
 それというのも、ハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなるぐらいどうにもならない眠気のために、日中の釣りに適した時間帯を逃していたためである。
 しかしながら、ダウンディープハスキージャークのラトル抜き手術を行ったり、ラトル抜きしたスピードトラップの穴埋めをしたりと、内なるワークはしっかり実践していたのだった。
 一方、若きサマナたちはフィールドワークを怠らず、日々の習修に励んでいた。
 フクシマに行っていたという史進はラージマウスをキャッチし、多摩川伝説跡では李立がスモールマウスをキャッチしていた。
 これを見て、どうすれば釣れるのかわからなくなっている朕は半泣きになりながらも「オレはおめえらと違ってガチじゃねえからよお」と、伝説式大人の対応をしてやった。
 更にその後日、李立は40アップ二本という快挙を遂げていたのだった。

 この一週間近い間、ハンドルのがたつきに起因する…的事情によって何度かの釣行機会を逃してしまっていたが、この日ようやく機会を得る。
 明日の霞釣行早朝出発に備え、遅くまで粘ることは出来なかったが、「今日はオールスターのポッピングロッドが釣れるかの実験」と、伝説式保険をかけ、多摩川伝説跡へ向かった。
 平日であるため、当然、伝説三輪氏の降臨は期待できない。

 秋の温和な日々を味わういとまも無く、早くも晩秋の趣という感覚。
 水の中もいつもの晩秋のようになっていればよいが、と川の中を覗き込んでみれば、まだまだな様子。
 ベートは多く、スモールマウスの姿も度々見られる。小は10センチに満たないものから大は40を超えるものまで。目に付くほどにいるのだからブラインドで釣れる魚も居るはず、と様々なルアーやリグで流してみるがまったく反応を得られない。
 やがて師匠が現れる。
 今日はエサ釣りのみとのこと。
 濁りが入っている間はフナが釣れ、バスを釣っている釣り人も見かけたが澄んでからはまったく冴えないとのこと。
 困ったもんだ、と、所在無きキャストを繰り返し、ボイル待ち。
 李立も現れ、ベートフィネスでバスを呼び出すことは出来ていたがそこまでだった。

 師匠が帰り支度を始める夕刻手前。
 シャローフラットでスモールマウスがベートを追うのが見えるようになり、李立からフィーディングシャローでのバスの動きの捉え方を教わる。
 とはいえ、ルアーではなかなか反応を得られず、動きそのものは目視出来てもタイミングまでは捉えられない。
 「多摩川は見えてくるものがないのう」とレジェンド語が漏れ「オレが考え無しにやってると思うか」と泣きが入る。
 ボイルが起こってはソフトスティックベートやペンシルベートを投げ入れるがバイトまで至らせることができない。
 しかし、レジェンドⅡのメッキを剥がした李立は大したもので、ベントミノーでキャッチしていた。
 朕は涙目を怒らせ「突き落としてやろうか」と、伝説三輪した。
 その後もボイルは断続的に起こっていたが、朕は明日の早起きに備え17時を機に帰り支度を始める。
 「おめえはそれで悔しくねえのか」と三輪式で叱責する李立だったが、明日の運転手は朕一人であるため、「オレはおめえと違ってガチじゃねえからよお」と、泣きの入った半開きの瞼で撤退とした。

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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