己を知り、彼を知らず

 7月19日。

 昨日、「多摩川で○回連続ボーズなし!」と、伝説三輪氏奇跡(まさに奇跡の)の二回連続釣果有頂天を真似た李立より釣果写真が届く。
 朕には真似できない釣法での釣果だが、朕もレジェンドⅡの口調を真似て「多摩川のバスはイモドリフトさせるのがパターン。つまらねえ釣りだ」と僻んでやった。

 まったくの平日であるため登戸名物降臨が望めぬことと、ハンドルのがたつきに起因する振動がシェイクするたびにグリップで増幅されどうにもならなくなるぐらいどうにもならない眠気のため、一寝入りしてから調布方面に行くことにする。
 目が覚めてからも戻らずいささか肉体的に辛いところではあったが、ワークはサマナにとって最大の悦びであるので怠る気にもならず、夕刻少し前にかりそめの皇居を出た。

 調布入り。
 茂みの小路にタイワンカブトムシを発見。一瞬童心に還るが、娘たちと一緒に育てたカブトムシのトムを思い出し、逆に悲しみが湧いてしまった。しかし、かの子牙は「覆水盆に還らず」と言ったことだし、何より朕は老家に学ぶ者よ、と正気を取り戻しポイント到着。

 激浅ワンドでBフォロワーとフェイキードッグにバイトは出るがフッキングにまでは至らず。
 連日叩いていること、光量十分にあることが深いバイトを得られない原因か、ということで目くらましの利く流芯ポイントへ移動。

 流芯ポイントはベイト、新鮮な水、カバー要素が揃い、特に水温上昇傾向の季節にあるならスモールマウスが釣れてもいいような条件を備えているはずである。
 しかし釣れないのは「ワームじゃなくルアー」を使っているからか…と、これが冗談抜きに真実だとしたら朕にはお手上げだが、本当の理由は一級のポイントを陣取っているのがバスより大きなコイだからではないだろうか。
 そして今回はコイの反応すら得られず、光量が落ちてくる。
 
 再び激浅ワンドに戻り、コイやニゴイを狙ってトップウォータープラグでの“男らしい釣り”に挑む。
 その時、背後から人の気配。蔡沢さいたくがもう一人の者を伴ってやってきた。
 この人物こそ、朕がその功を認め安平君に封じた田単でんたんだった。朕は初めて見える田単に対し諸侯の礼で応じた。
 そしてキャスト再開。
 しかし相変わらずニゴイの浅いバイトしか得られず「このニガーめ!」と、朕は白人を真似た悪態をついてこのポイントを諦め五本松に移動した。

 風はますますメガバス的になっていく。
 本流側を打つつもりでいたが、しばらくフェラガモ水路の様子を見ることにする。
 李立がやって来る。
 「今日はベートフィネスでナマズが釣れるかの実験」と、早速伝説式保険を掛けていた。
 また、朕の知らないアナザーレジェンドの話を聞かせてもらった。
 プディングの味を知るにはプディングを食べてみるしかないように、朕はアナザーレジェンドを見たときが無いので語ることはできないが、あの温厚な江三子の語り草になるほどなのだから、こちらのレジェンドに負けず劣らずの伝説ぶりのようである。
 合間、李立はイモでコイとナマズの反応を得ていたがフッキングにまで至ることはなく、その後ナマズが入って来る気配も無かった。
 メガバスなタフコンデションは続いていたが水路から離脱。
 この風ではナマズを発見するのは困難だが、我々は伝説の時代を生きる者。「もしかしたら釣れるかもしれねえじゃねえかよお!」と、半泣きになりながら“虚仮の一念”を押し通した。
 しかし、結果むなしく…。
 「おめえがいいっていうから来てみたけどよお…釣れねえじゃねえか!」
 「この前おめえさん、ウッドウォーカーで釣ってたよな。オレも投げてるけどよお…釣れねえぞ」
 伝説式罵倒合戦でこの日は終了。
 朕はバスバブル時代末期にようやくヘボを脱出できたというのに、未だ“一勝一負”の領域から抜け出せずにいることを悔やんだ。
スポンサーサイト

テーマ : お仕事奮闘記
ジャンル : 就職・お仕事

tag : 多摩川 ルアーフィッシング

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

dragon

Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

最新記事
月別アーカイブ
リンク
検索フォーム
QRコード
QRコード