生而不有

 7月14日。

 次回釣行は土日と重なる。
 この日、伝説三輪氏降臨に思いを馳せつつ激浅ワンドに辿り着いた頃、思いもよらぬ人物からのコンタクトがあった。
 入雲竜とも呼ばれ、電脳界に風を呼び、雲にも乗り、行方不明になっていた公孫勝だった。
 何と、現在は開封府から遠く離れ、若くして悠々自適の生活を送る心身共に超俗の人となっていて、この日は相模湾にカヌーを漕ぎ出し、ジギングでマダイをキャッチしていたのだった。
 彼もまた伝説を知る人物なので「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と、その羨ましい釣法、釣果をレジェンドⅡ式で僻んでやった。
 ちなみに現在、公孫姓の者は二人いるが血縁関係は無い。

 一方、朕は心こそ超俗に在っても、その身は忌まわしき衆俗の虜となっているため、多摩川で“新川で鍛えた本気を実釣をもって示す”のが精一杯だ。
 しかし、朕は僭称釣りウマのレジェンドⅡと違って人並みに釣る腕はあるので、釣り易い魚を見つけられればそこそこに釣ることはできる。
 もはや勝者の称号を得られるだけの希少価値は無いが、とにかく連続ボーズを食い止めることが出来たことで良とし、ナマズ狙いに移ることにした。

 この堰間流域のナマズのスポーニングはどこで行われているんだ?という疑問を抱えたまま今まで来てしまった。
 増水のタイミングでこのフェラガモポイントが最適の場所になるのではないかと見ているが、それらしき兆候は捉えられていない。婚姻色の出ている個体を釣ったことがある、ぐらいである。
 また、それとは関係なく、生きた水が緩やかに通るこの水路はベートを求め徘徊するナマズにとって易しい場所である。
 この日は確実に五匹のナマズの出入りが見えた。
 大はオオサンショウウオのようなものから小は50前後のものまで。
 トップウォーターに反応はするが食うまでには至らず、ジグヘッドリグやスピナーベートといった沈むベイトではラインの水切り音を嫌っているのか逃げてゆく。
 これまでの経験上、これだけの数が見えるような時はたいてい一匹は釣れるという法則めいたものがあるため、今釣れずとも気にしないでいた。
 ところが、そんなことが続くうちに風がメガバス的になり、魚の姿が捉えづらくなってきたかと思うと大粒の雨が降るようになってくる。
 これでは例え釣れたとしてもキャメラが機能しなくなる。
 GETTの聖衣合羽で身を守らねば、とポイントから逃げ出した先に蔡沢が居た。
 蔡沢はその健脚を生かし、そこそこにスモールマウスを釣っているようだ。
 また、蔡沢は把握していても、朕は知らない読者の存在を知らされた。その人こそ、李立のアラバマリグを救出した恩人様だったのだ。朕は李立少年の社稷を回復させた功を認め、王孫賈おうそんかとも知り合いであるというこの処士を安平君に封じることにした。
 と、我々は小康状態を待ち、次の機を捉えようとしていたが、雨はいよいよ強まり、雷が近付き、普段は涸れた水門からごうごうと濁流が流れ出るようになる。
 ついに蔡沢は諦め撤退。
 朕は今日は粘ることが可能な日であるため、貧乏性が働き、雷が去ると再び川岸に向かった。

 駄菓子菓子…。
 水の勢いもさることながら、流れに乗じて混じるゴミのためにベイトがまともに機能しない状態で、釣りなどできたものではない。
 このような状況ではたとえ諦めて帰ったところで、伝説三輪師も「おめえは根性が無え」などと言いはしないだろう、と思い納竿とした。
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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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