三輪書

 6月13日。

 降り続く雨。
 そろそろナマズのスポーニング時期ではなかったか。
 潮汐表を見れば干満の弧が緩い。光量、雨はプラスだが月の力が弱い。
 こんな日に、雨の中行く価値はあるのだろうか。
 今こそ「やってみなきゃわかんねえじゃねえかよお!」と伝説三輪すべき時だろう。
 レジェンドⅡは、どう見たって無いだろうという場面で吠えていたのが残念なところだった。ガチな人だったが、その技量があまりにも拙すぎたために生まれた喜劇といえよう。豊富なキャリアを吹聴していたものだが、やがて徒に釣り歴が長いだけだったことを露呈していった。
 かようにして伝説諸氏の言動は、現代の釣人への戒めとして非常に価値あるものとなっている。
 出発の時も依然として雨が降っていた。聖衣GETTに身を包み、釣場を目指す。

 フェラガモポイント。
 有力ポイントの中で、最もアクセスが容易なので、ここで勝負を決められるのが理想。
 また、増水すれば、スポーニングのナマズが水路上流にできる田んぼ的要素を目指して入ってくることが見込まれる。
 ナマズのスポーニングについて詳しいことは知らない。知識としてあるものと、経験で得たものがすべてである。これらを元にあとは想像してみるしかやりようが無い。
 川を見れば、水位は釣り可能なレベルの増水で済んでいるが、フェラガモ水路の流れは強過ぎた。強い流れからの避難所となる水門にはコイと小魚は見えたがそれだけだった。水がただ抜けていくだけという感触に集中力を保てず、スピナーベートを数投して調布へ移動。

 水門ポイント。
 澄んだ水路と濁った本流が鮮やかな境界線を描いていた。
 アユ、コイの他、数は少ないがニゴイ、マルタ、フナの出入りが見える。
 濁りにスピナーベート、澄みにペンシルベートを通してみたが反応は得られず。
 しかし、普段から釣り人の目を引く大きな変化のあるポイントである。そこへ増水、濁りというプラス要素が加わったのだから、今反応を得られなくても改めて入り直す価値はある。

 激浅ワンドから流芯ポイントまでを歩く。
 普段は打たない支流が増水し、小規模がら緩み、反転ができていたうえ、ベートも溜まっていたのでリッジをジャーク&ツィッチで打ってみる。
 数投でバイトを得る、が、魚種不明のままばらす。それなりのサイズはある感触だったが、逃がした魚は大きくなりがちなもの。
 増水によって出来た水路周辺を見てみるが、ナマズは見られず。
 産卵は次の潮回りの増水時なのか、単にここがスポーニングエリアでないだけのことなのかはわからない。
 何はともあれ釣果が欲しいので、水門ポイントに戻る。

 注意深く探らなければ見つけられない変化より、はっきりとわかる変化の方が魚にとっても意識しやすく、小場所より大場所の方が集まる魚の数も多い。
 変化というものは至るところにあり、例えば杭が一本立っていただけでもそれは変化のひとつになる。問題はその杭がどんな要素と絡んでいる杭なのかを洞察し、見極められるかどうかだ。
 ここでその人の腕前が問われる。
 杭にスピナーベイトを通したが反応は得られなかった。だからジグヘッドワッキーを入れ、尚反応が得られなかったのでノーシンカーワッキーを入れ、それでも反応を得られなかったので、1オンステキサスを落とし、ビーフリーズ78Sを通し、そこでここには魚が居ないと判断した…では正解をやり尽くしてきたとは言えないし、やるべきことは何ひとつやっていないとも言える。
 それ以前に、その杭が、舟を係留しておくために流れや風の影響を受けにくい、あまり水の動かない場所に設けられたものであることに気付かなかったのだろうか。
 伝説三輪氏の失敗を例にとり、変化を打つにあたっての注意点を示してみた。

 水門ポイントは現在第一級の変化を備えていると確信している朕は時の経過に賭けてみることにした。
 ナマズが産卵行動に入っていないのなら、普段通りベートを求めて徘徊するナマズが見えるはずである。ナマズが足を停めるのに十分な要素を備えているのだから。
 やがて二匹のナマズが確認され、うち一匹が「使いどころがわからねえ」と、正解をやり尽くしてきたという伝説三輪氏にひどく不評だったやつの小さい方にバイトし、キャッチ成功。
 やはりここは一級の変化なのだ、と期待し待ってみたが次は無かった。
 先ほどまでの確信は疑念に変わり、またしても外しているのか…と、久しぶりの本命釣果も素直に喜べずの終了となった。
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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