伝説島遊戯

 5月6日。

 朕の連休中にザ・タックルボックスの店長も空けられる日があるとのことで、この日、電車で昭和島まで行くことになっていた。
 平日の都心部は嘘つきとビッチたちが行き交ういけ好かない場所ではあるが、シーバスフィッシングのためには避けて通れない。
 代官山だろうが恵比寿だろうが、お構いなしに剥き出しのGETTで罷り通った。

 昭和島到着。
 何という殺風景な駅。
 港湾労働者を積み降ろすためだけの溝とでもいうべきか。働く者の往来さえも生産ライン上に乗せられているかのような無慈悲、無機質感。こんなものの上成り立つ豊かさなど尊いものか、などと思ったが、朕自身は物質的に富んでいるわけではない。
 所詮、他人事だ。
 昭和島石積みスロープから始めようと見てみれば、スロープに下りるには、冒険野郎マクガイバーすることが求められることが判明。
 その身体能力に衰えを見せているとはいえ、朕はまだリチャード・ディーン・アンダーソンくらいはできる。しかし店長には不可能とのことで、昭和島を諦める。

 京浜島へ。
 曇り空、強風、小雨混じり。日中に釣りをするには理想的といってもいい。
 「今日はセントクロイ・トライアンフ86MHでシーバスが釣れるかの実験」と伝説三輪氏することは忘れない。
 下水処理場からの流れ出し、砂浜のシャローフラット、流れと流れがぶつかるところ、流れと風が当たるところ、と目につく変化を打ってゆく。
 確認できるボラのサイズはまちまちで、どのサイズがメーンベートになっているかはまったく見当がつかない。
 見せないアピールを意識し、レンジバイブ、レアリスバイブ、ザブラミノーを主に使った。
 だが、反応はない。
 倦んではろくでもない巷の諸々の真相や、バスバブル期、アメリカのルアーフィッシング事情などの話をしたりしながら三時間が経過。
 共にシーバスの反応を得られないまま夕刻に入り、そこで店長が赤エイを発見。赤エイが見えるような所に現れるのはシーバス不発のしるしである、と朕は認識している。
 朕は明日も休日なので「釣れるまで帰らん、お前も付き合え!」でもいっこうに構わなかったが、店長はそうもいかないようで、雨が強まりだしたのを機に、ノーフィッシュのまま撤退となった。
 「おめえがいいって言うから来てみたけどよお、釣れねえじゃねえか!」とはキレなかったが。

 かつて「オレはよお、釣れなくてもフィールド立ってルアーキャストできるだけで満足なんだよ」と言う人は、後輩だけが釣るのが面白くないためか、石を投げていた。
 「楽しみ方は人それぞれ」と、鷹揚な態度を示していた人は、自分だけ釣れず、ガチで不機嫌になっていった。
 ノーフィッシュに終わりながらも「今日はいい気晴らしになった」と喜ぶ店長を見て、レジェンドたちも本当にゆとりの心があれば、もっともなことを言って自分を取り繕い、自滅することもなかったろうにな、と思わずにはいられなかった。

 「シーバスはよお、ゆっくりミノー引いてくるんだよ」
 大田区の人工島は、かつてレジェンドΙとシーバス釣りを楽しんだ思い出の場所でもある。
 ヘボ時代の朕やその仲間、そしてレジェンドΙである。当然釣れはしなかったが…。
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テーマ : お仕事奮闘記
ジャンル : 就職・お仕事

tag : バスフィッシング ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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