寡人、伝説の功を知る

 5月7日。

 朕の連休最終日。
 五日間もあってニゴイ一匹ではあまりにも侘しい。
 この日、グランドマスター秦明と語らって、多摩川合流し、ナマズ狙いで“本気出す”という運びとなった。
 五本松の水路をチェックしてから、上流のアユが溜まる超シャローで勝負、というつもりでいたので、より小回りが利くよう、鉄の自転車で現地へ向かう。

 五本松入りし水路へ。
 本流からの流れ込みがあり、釣れる条件が出来上がっている。
 ニゴイとナマズを発見。軽くキャストしてみたがいずれも反応は得られず。
 四時を過ぎているとはいえ、陽はまだ高い。かの伝説三輪氏のようなガチな性格ではない朕は、ここで見たことを心に留め置くのみ。
 秦明と合流。
 先ほどまで対岸に居た釣り人は李俊とセニョールだったという。李俊がそこまで来ていたということは、登戸が死んでいたということだろう。
 今日はシーバスをやるつもりだったが、風の強さに海を断念したという釣り人に会い、多摩川バス事情を伝える。朕も秦明も知り得る情報を提供したが、何の味わいもない単なる観察データである。自分の力量の及ぶ範囲でしか他人にものは言えない。
 やはりこういった初見の者に対するのはレジェンドIIが適任であると痛感。現われなくなって改めて登戸名物の存在意義を知った。

 ベート、流れ、地形…これまでの観察結果を伝え、勝負をかけるならここだろう、と調布エリアに入る。
 「確かに暗くなってからが楽しみな場所である」と秦明はいった。
 さらに日中の気温が高いほど確率は上がり、これまでにキャッチできたのはナマズ一本のみだが、ナマズ、スモールマウス、ニゴイの反応は度々得ている場所でもある。
 陽が翳るまでは「今日は某で釣れるかの実験」とレジェンドして過ごす。
 やがてニゴイらしき捕食、スモールマウスの捕食が見られるようになるが頻発までには至らない。
 あの馬の背の先の流芯なのか、まだ光量が多いだけか。
 アユの黒い塊は岸寄りに点在していたため「必ず来ますよ」と、朕は自信満々にいった。
 だが、反応は無い。
 結局、美しい水の流れと幻想的な風景の中で、今日もまた千夜釣行か…。ふと背後に気配を感じ、デビッド・キャラダインのように振り返ったところ施恩だった。
 朕は「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」とキレられるかと覚悟した。
 しかし、向こうも思ったより早くに気取られたためか、キレるタイミングを逸したようである。
 次いで李立が駆け込んで来たので、ここは「おめえはアプローチが成ってねえ」と、釣りに対する基本的なアプローチが成ってねえ人の真似で対した。
 若い釣賊団に囲まれては釣果は望めないのか。
 秦明はバイトを出すも乗せられずに苦労していたところ、施恩がキャッチ成功。
 「突き落としてやろうか」と賞賛されたことはいうまでもない。
 一切の反応も得られずにいた朕は「おめえがいいっていうから来てみたけどよお、釣れねえじゃねえか!」と、レジェンドギレしたい気分だったが、このポイントを案内したのは他でもない朕自身であったため、押し黙るししゃなかった。

 明朝、早起きしなければならない朕が一足先に帰ろうとしていた時である。
 「おめえはそれで悔しくねえのか」と、伝説三輪氏の言葉で李立がいうので、朕は「オレはおめえと違ってガチじゃねえからよお」と、これまたレジェンドIIの言葉で返し、この場を切り抜けた。

 この日、狩野川に行っていたという史進より釣果の報が入る。
 トラウト狙いのードだという。
 朕は、自分はまったくかすりもしないのに相手を謗るのだけは上手い人に倣い「何だ、狩野川まで行ってニゴイ一匹だけか。だらしがねえなあ」といった。

 ※マー語
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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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