伝説的実験継続

 5月4日。

 師匠から拝借したDVDの中に、シュワルツネッガーの『ラストスタンド』なる一本があった。朕にとってシュワルツネッガー主演作品は『コナン』二作と『ターミネーター1』しか価値が無いので、まったく見る気がなかったが、出演俳優にジョニー・ノックスビル、吹き替え声優に立木文彦という名があり、見てあげようと再生したところ、鑑賞強要CMの長さに呆れるばかり。まったく見ようという気が失せてしまった。

 昨日、義士より、シャドウラップ・スローライジングモデルを託された。
 「今日はシャドウラップが多摩川で釣れるかの実験」と、レジェンド式マジックワードを使えると考えた朕はありがたく引き取った。

 迎えた当日。
 今日も南風が強い。
 日中から始めるなら、登戸のシャローフラットが良いかもしれない。
 風が吹き付け波立つシャローは「ワームじゃなくルアーで」釣りたい場合、外せない条件である。その理由を知るにはヒロ内藤を見るのがいちばんだ。
 しかし、強風であるため釣りそのものはしづらいだろう。釣りがしづらければ、いくら休日でも実は根性が無い伝説三輪氏が降臨してくることはないだろう。またしても登戸名物を見ることができないのは寂しいが、“ガチ”で釣りたいなら登戸へ行ってみるしかない。

 昼過ぎに登戸入りしたところ、ちょうど李立が現れる。
 ポイントに入れば張横、セニョール、下野さん、夏侯章といったオッサンたちに加え、去年までエサ釣り専門だったオッサンもオッサン軍団の中に居た。
 更に、見知らぬ釣り人数人と、若きベテランとその仲間も来ており、休日らしい登戸の賑わいであった。
 易しかろうと厳しかろうと所詮釣れない三輪氏だから、新川節を謳ったり、大言壮語を吐くだけでも来る価値はあるように思えるが、案の定というべきか、やはりその姿を見ることはなかった。

 現状を聞くと、下野さんが二本のスモールマウスをキャッチ。また、既に去ってしまったが四本のナマズを釣った者が居たという。
 やはり今日のような日はここで正解なのだ、と、しばらくキャストしていたが反応は無い。
 未明に降った雨の影響がプラスかと思ったが、増水で水門を開放したか。水位低下はこの場所にはマイナスだが、風はこの場所向きのもの。トータルでプラスなのかマイナスなのかが判定できない。
 「今日はシャドウラップが多摩川で釣れるかの実験」とレジェンドしておいて正解だった。
 先ほどまでは「新川で鍛えた本気を実釣をもって示す」と吠えていた一同も、いつしか「オレはおめえらと違ってガチじゃねえからよお」と言うようになっていた。
 シャドウラップ・スローライジングモデルは予想以上に飛びが良く気に入ったが、弛んだ空気が締まることは無い。
 「多摩川にバスは居ない」と夏侯章が言い出したのを機に誰もが理不尽な言い訳をし、レジェンドIIのごとく、釣れないことを正当化し始める。
 若きベテランとその仲間はニコチン切れにより撤退したという。李立が朕への伝言を預かったとのことで、聞けば「ヒロ内藤」「加藤誠司」というものだった。
 アントニオ猪木ばりの謎掛けである。理解するには迷走の挙げ句、プチキレて後ろ髪を少しだけ切るという暴挙に出るまでに追い詰められなければならないのかもしれない。

 光量が落ちて、スモールマウスのボイルが起きたり、ナマズが回遊して来るのを待つしゃねえなあ、と、今をちゃっていた時、気付けばセニョールがファイトしていた。
 寄せてみればグランデなナマズ。
 巻きの釣りに反応が無いので、アンダーショットリグでスローに引いていたとのこと。
 次いで李立が「当たった、放された」と言う。そして間を置かず張横がファイト。
 グランデではないが30センチ台の手頃なスモールマウス。
 釣れていない者たちは皆「突き落としてやろうか」と、伝説三輪氏のように泣いた。
 ついに機が来たか、と色めき立つが、その後は何事も起こらず、夕刻が近付いてくる。
 「今日釣れなきゃ4月以降の連続キャッチ記録が終わってしまう…ナマズやろう」と李立。
 「ということは、どこか心当たりあるのか?」と問うと、これから探すとのこと…。
 朕は原付で公道を走る煩わしさを嫌い、歩いて行ける五本松対岸を目指すことにした。
 ベートフィッシュがどれだけ集まっているかが勝負の鍵だが、構造的にナマズが入ってくる条件を備えた場所である。

 「アディオス!」
 登戸残留組に別れを告げ、五本松エリアに向かう。
 途中、登戸自由砦が更地になっているのを発見。
 小さな国が大国に併呑されるとはこういうことか。
 宋はある時期、遠い強国、秦を後ろ盾に暴れ回り、近隣諸国に大層迷惑をかけたとか。
 虎狼の国アメリカと、雉も兎も鮒もいない日本。

 五本松到着。
 波立つ水面からもコイとアユの濃さは確認できる。いずれナマズも現われよう。平坦な中にもある変化を探しながらじっくりと探ってみる。
 宇奈根エリアに行ったとばかり思っていた李立が現れる。
 「釣れるまで帰らん!お前も付き合え!」なノリで辛抱強く魚からの返答を待つが、反応は無い。
 飽かずにキャストを続けていたところ、朕は魚食モードのコイのバイトを得るがバラし、レジェンドな気合いが途切れてしまう。
 帰ろうとしたところ、李立が「おめえはそれで悔しくねえのか」とレジェンドする。そして、先ほど二匹のナマズと一匹のニゴイの姿を確認し、ナマズは食うにまでは至らなかったものの反応してきたという。
 これからか、ということで気力を取り戻し、キャスト再開。
 しばらくして李立がこちらにやってくる。
 聞けばレジェンドチャートのチャガースプークでナマズを得たとのこと。
 連続キャッチ記録を維持できた李立は余裕の体で朕の釣りを眺めている。
 「オレだってちゃんとやってるよ!」と、レジェンドネタしながらも、真面目にキャストしていたところ、後ろで亀裂音。
 見れば李立がスマート701MCをタワーブリッジで仕留めていた。
 「お前はロビンマスクか?」
 「??」
 キン肉マンに敗れてからロビンマスクはガチに走った。だからこそ背骨をへし折るという残虐もものともしない。もし李立が中西学だったらロッドを折ることもなかっただろう。
 いかに釣りは上手くとも、歴史を知らぬがために災いを招く結果となったのだ。まだまだ若いな。
 と、ロッド破損を機に納竿とした。

 いわゆる“ネタ満載”な日だった。
 「お前の釣りはつまらん」と、朕も李立も非難されてはいたが、レジェンドIIが好む“ネタ”とやらはどちらかが、或いは登戸に現れる者の誰かが度々やらかしている。
 にもかかわらず現れないところを見ると、この“ネタ”とやらも“実験”同様、不都合な事実を誤魔化すための方便か、と邪推してしまうのである。

 ※マー語
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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