語録旋風

 3月14日。

 多くの釣り人が訪れる土曜日の登戸は伝説降臨の可能性を秘めている。
 しかし、そんな日に朕はガス欠状態となり釣りには行けず、「オレにかまうな、上手い連中と仲良くやってくれ」と、レジェンドⅡのごとく僻み根性を炸裂させ寝床に臥していたが、グランドマスターの秦明は湾奥の春を炸裂させていた。
 朕は「おめえばっかポイント独り占めしてんじゃねえよ!」と、ポイントを譲ってやったところで所詮釣れない人のように泣きキレてその功を讃えた。

 今年はシーバスゲームの出来る機会をどれだけ得られるのか。悪の枢軸国との友好(隷属)を深くするこの国が作り出してしまったフィールドの窮屈さに不安を覚えながらも、シーバスゲームに思いを馳せながら迎えた当日。
 冷たい雨が上がり次第、マルタ瀬に「今日はセントクロイ・プレミアが宿河原で釣れるかの実験」と、レジェンドⅡな、釣れなかった時の方便としてではなく、実際のホールド性能を知るつもりでタックルを組んで構えていたが終日雨は止まず、「おめえは根性がねえ」という伝説三輪氏の罵りを受け容れ、部屋に籠もるしかなかった。

 3月15日。

 温かくはならず、強い北風の予報。
 ブラックは見えなければどうにもならないだろうが、マルタを狙えばノーフィッシュだけは避けられる。
フィールドが好適な状況になっているとは考えられなかったので、「今日は○○で釣れるかの実験」などと悠長なことはいわず“本気”のタックルで多摩川に向かった。

 予報通り、冷たい北風。
 やや濁りが入り、水面は波立つ。これが南風ならどれほど良かったか、と思わずにはいられない。
 平日にもかかわらず、登戸上流側には十名ほどのバサーの姿。侯嬴こうえい馮諼ふうけんもその中に在った。
 侯嬴には、侯嬴と信陵君にまつわるエピソードを語り、今年からナマズも狙って釣ってみたいという馮諼にはナマズ釣りだからといってやってはならないことについて教えた。
 ここはブレードベイトで一流しし、流れの通り道にキャロライナリグを入れ終了。
 昨日の冷え込みと、冷たい雨の流入というマイナス要因はあったが、風の当たるシャローフラットのある下流部へ移動することにした。

 下流部では水面に現れるマルタの姿がよく見られた。ここでこれだけの数が見えるのだから、マルタ瀬に入る数も増えたことだろう。
 パンが食べられないのならケーキを食べればいいように、ブラックが釣れないならマルタを釣ればいい。
 スモールマウスに関しては何一つ掴めるものがなく、どうすれば良いのかわからぬまま途方に暮れていた。
 李立より、これから登戸へ向かうとの連絡が入るが、朕はブラックへの意欲を失っていたので、一足先にマルタ瀬に向かうことにした。

 堰下エリアに入ってみれば、瀬には簡易な石垣が組まれ水量水深が増していた。マルタが暴れているのはベイトの届かない上流の浅瀬である。
 流芯に待機組やコイ、ニゴイが入っている可能性もあるので、打ち続けてみたが、スレともバイトとも判別できないアタリがたまにある程度だった。
 掛かっても強い水勢にフックが外される上、アタリ自体少ないならどうにもならぬ。ノーフィッシュで終わるのも悔しいが帰ろうか、と思っていたところ李立登場。
 「何だ、帰るのか。だらしがねえなあ。おめえには探求心がねえ。釣れるまで帰らん、お前も付き合え!でしょ」と、伝説三輪氏の遺した名言を並べ立てる。
 まったくもってレジェンドⅡはろくでもないことばかり教えたものだ。
 伝説の威光に屈した朕は、写真が無いのも寂しいか、ということで、にわかにレジェンドⅡが降りてきた李立に付き合うことにした。
 口の悪さは伝説三輪氏譲りでも、釣りの腕前はレジェンドⅡとは似ても似つかぬものなのが救いだ。
 これまたスレともバイトともつかぬアタリに悩まされていたが、朕よりはるかに多くの魚信を捉えている。
 水勢が強く、一匹を得るまでから苦労はしたが、李立がキャッチ成功。
 朕は安心し、帰ろうとしたが、またしても「まだ釣ってないなら“釣れるまで帰らん。お前も付き合え”じゃないんですか?」という突っ込み。
 朕は、伝説三輪氏によって理不尽を強いられた李立を叱責してしまった罪滅ぼしにと少し粘ってみたが、やっと寄せてきた魚はというとスレ掛かりのノーカウントフィッシュ。
 レジェンドⅡなら、これでも釣れたと大喜びできるが、朕は逆に残念な気持ちがあふれてくる。
 また、汎用性の高いスイムベイト用フィッシュイーグルでさえ乗せ切れないのだから、セントクロイ・プレミアなら、もっと釣るのに苦労するだろう。プレミアで釣れるかの実験はビッグベイトでナマズを狙うべき時期まで先延ばしとした。
 朕はレジェンドワードを駆使する李立に「おめえが釣れるって言うから粘ってみたけどよお、釣れねえじゃねえか!」と、上手くいかないのは自分自身のせいなのに他人に八つ当たりする、これまた伝説三輪氏の得意技で対抗し、締め括った。

 ※マー語
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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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