降臨の幻

 3月6日。

 マルタ釣れる、の報に義士が動いていた。
 仲間と丸子へ行き、本命のキャッチは成らなかったものの、関東巨鯉倶楽部を達成しただけでなく、ニゴイもキャッチし、多摩川勝者にもなっていたのだった。

 春が目に見えて動いている。
 ここへ来て一気にターゲットが増えた。
 いったいード率が上がるのと、ノーフィッシュに終わることを秤にかけたら、どちらかアングラーとして望まれる結果かを考えてみると良い。
 スポーニングに向かうスモールマウス、水温の上昇に伴い動きが活発化するナマズ、遡上するマルタ、マルタの卵を狙って肉食が顕著化するコイ・ニゴイ。
 こちらが難しければあちらを狙い、あちらに満足すればまたこちら、という具合で、しばらくはノーフィッシュで終わるという事態は避けられるのである。

 出掛ける前に天気予報をチェック。
 15時には風速6メートルの南風。
 上昇機運の南からの強風は登戸シャローフラットでイージーキャッチのチャンス。
 また、好天の日曜日ともなれば多くの釣り人が訪れるのは必至なので、伝説三輪氏も存分に自慢話ができることだろう。

 登戸エリアに入ってみれば予想通りの人出。
 川べりにはかつてのバスバブル期を思わせるバサーの姿。しかし登戸名物の三輪車は見えない。これだけバサーが居て、近所でバスの釣れるフィールドがあるというのに「自分、根っからのバサーなもんで」と、トラウト釣堀でぶちかましていた伝説三輪氏が居ないというのも異なことである。
 ポイントに下りてみれば、レジェンドⅡの威徳を知らぬであろうバサーたちに紛れ、李俊の姿があった。
 彼もまた伝説降臨を待ちわびる一人である。
 昨日は李俊自身は来れなかったが、なかなか盛況だったようで、張横がプロップベイトで炸裂させていたとのこと。
 今日は流れが緩く、風はシャローフラットに向かって吹き付けているものの、水面を掻き乱すほどの強さが無い。
 このような時は、魚の通る道を探しながらボトム付近を丁寧にトレースするしゃない。
 時に風が強くなることもあったのでリップレスクランクなどのファストムービングなども織り交ぜながらシャローフラットに居座ること数時間…「だが、反応は無い」という千夜釣行状態のまま夕刻が近付いてくる。
ここへ来て李俊がロッドをしならせているのが目に入る。近くにいたアングラーも続いてスモールマウスをキャッチしていた。
 いよいよ来たか、と再び集中力が高まるが、こちらにまでは来なかったのか、上流側のアングラーたちのロッドが曲がることは無かった。
 相模湖常連氏が現れる。昨晩、表層で一本キャッチしたとのこと。上で釣れたのは昨日だけか…。
 バスを釣りたいという思いはあったが、現在のフィールド状況を見れば、確実に遡ってくるマルタを待った方が良策であると判断し、スモールマウスへの執着を捨てた。

 堰下エリアに向かう途中、駐輪スペースに三輪車が見えた。
 遂に伝説降臨か!?
 新しい名言を渇望する朕は喜びに胸弾ませ、川原を一望した、が、らしき姿は見えない…。訝しんで件のジャイロキャノピーに近付いてみれば、それは他県ナンバーの“似て非なるもの”だった。

 愕然とした気持ちを抱きつつ、堰下のポイントへ。
 先日はわずかながらも見えたマルタの波紋が今日は見えない。
 あの瀬は適切な場ではなかったためか、遡上個体の少なさによるものなのかは不明。
 しかし、ここがこの一帯では最も有力な変化。しばらく腰を据えてみることにする。
 そしてこれは「もしかしたら釣れるかもしれねえじゃねえかよお!」という、全く根拠の無い粘り方とは思考の根幹を異にするものである。
 李立が現れ、先ほどまで打っていた登戸下流部の様子を話す。江三子は全員キャッチしたが、李立はバラしのみとのこと。リールが壊れ、スーパーテクナが使えなくなってからこんなんばっかだ、と、フテクサレダコ・タコラ状態。
 そこで朕は、レジェンドΙの輝ける遺産「バカだなあ。道具じゃねえんだよ、腕なんだよ」という金言をくれてやった。
 かようにして、レジェンドたちは、実釣に関してはそのキャリアを疑いたくなるほどヘボかったが、釣りに関するコメントだけは立派だったのだ。
 今回、マルタの気配は希薄で、マルタのために特に用意した激安リップレスクランクを失うことも無かった。
 そんな激安ベイトのひとつ、レンジバイブのパチモンが意外な活躍。本命マルタより遥かに嬉しいゲード、ナマズと、多摩川勝者の証、ニゴイをキャッチし、満足ゆく結果を得られた。

 ※マー語
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tag : 多摩川 ルアーフィッシング バスフィッシング

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Author:dragon
天に替って道を行おうとする人。
玉帝の導きに従い、非凡なる境地を目指している。

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